アゼルバイジャン訪問に学ぶ
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ウクライナ問題は戦後世界の国際法違反
アゼルバイジャン訪問に学ぶ(4)グルジア・チェチェン・ウクライナからアゼルバイジャンを顧みる
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2014年現在、ウクライナ問題をめぐり、欧米はロシアに対し「19世紀的暴力」と批判し、経済制裁の反撃を加えている。では21世紀初頭の「民主化ドミノ現象」は旧ソ諸国に何をもたらしたのか。そこから日本は何を学ぶべきか。その問いに島田晴雄氏が答える。(2014年10月2日開催島田塾第117回勉強会島田晴雄塾長講演より、全4話中第4話目)
時間:12分54秒
収録日:2014年10月2日
追加日:2015年7月16日
≪全文≫

●ウクライナ問題は戦後世界の国際法違反、世界は経済制裁で反撃


 ウクライナは、なぜあれほど問題になっているのでしょうか。すでに世界中で書かれていることですが、あれは19世紀的手法だからです。暴力、威嚇の下にクリミアを併合します。これは、明らかに戦後世界の国際法違反なのです。

 では、何が国際法なのかと言うと、1928年にパリで世界15カ国(その後63カ国に増加)が参加し、「不戦条約」が締結されました。これが歴史的に大きな意味を持つものなのです。

 これより前の世界は「帝国主義」ですから、戦争は「国権の発動」と見なされていました。ところが、不戦条約以降は、戦争は国権の発動ではなく、「犯罪行為」と位置付けられました。そして、犯罪行為を取り締まる役目は国連にあり、国連軍だけ取り締まることができるとして、連合国が戦後世界を設計したのです。

 しかし、不戦条約を交したにもかかわらず第二次世界大戦が起きたことは、慚愧に堪えない事実です。

 そうして今、ロシアがそれを平然と破っているのです。欧米諸国は、不戦条約があるため、爆撃はできず、経済制裁に入ったわけです。「フィナンシャルタイムズ」等では連日、「19世紀的暴力に対して、世界は20世紀的手法で反撃を加えている」と報道しています。日本も経済制裁に参加するのは当然ということになっているのです。


●オレンジ革命から100万人集会への紆余曲折


 ウクライナでは、2004年に「オレンジ革命」という非暴力革命が起こります。これは、「バラ革命」「オレンジ革命」「チューリップ革命」と起きていく民主化ドミノ現象の一部です。アゼルバイジャンでは、その余波を受けたくないために、国内政治が強化されました。

 「オレンジ革命」の立役者は、ヴィクトル・ユシチェンコという当時50歳になったばかりの若い政治家でした。金髪美人のユーリヤ・ティモシェンコが彼を応援し、時の権力者を追い払いました。

 ユシチェンコ政権がEU加盟を模索し始めたため、警戒したウラジーミル・プーチンは傀儡政権としてヴィクトル・ヤヌコヴィッチを送り込みます。大統領となったヤヌコヴィッチは、自宅にゴルフコースをつくったりゴミ箱が黄金だったりと、贅沢三昧の暮らしだったようです。また、ティモシェンコなどが失脚させられ、牢獄の中で拷問を受けたりしたことは、全てプーチン...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫

人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
中国共産党と人権問題(5)そもそも人権思想と憲法とは?
中華人民共和国憲法は人権型ではない
橋爪大三郎
『貞観政要』を読む(1)長期政権を目指す者の必読書
北条政子も愛読した長期政権のバイブル『貞観政要』
田口佳史
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子