アゼルバイジャン訪問に学ぶ
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ヘイダル・アリエフ―アゼルバイジャン建国の父のカリスマ
アゼルバイジャン訪問に学ぶ(3)資源大国アゼルバイジャンの政治史
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2006年のBCTパイプライン完成以来、3倍の経済発展を成し遂げたアゼルバイジャンは世界有数の資源国である。ヨーロッパとアジア、中東とロシアの十字路として、地政学的に古くから高い意味を持つ土地柄とともに、島国日本とはちょうど対極にある国と言えるかもしれない。(2014年10月2日開催島田塾第117回勉強会島田晴雄塾長講演より、全4話中第3話目)
時間:13分21秒
収録日:2014年10月2日
追加日:2015年7月13日
≪全文≫

●救国の政治家、ヘイダル・アリエフはKGB出身


 この時に、「誰か国を救う人はないのか」と、国民は考え始めます。他の14の周辺国家、皆そうですが、アゼルバイジャンのような国はロシアとあからさまに対立して存続することはできません。ウクライナも同様です。ソ連は解体した後も、これらの諸国に強力な支配的影響を与え続けているのです。

 国民の総意はヘイダル・アリエフという人物に向かいます。アリエフは、アゼルバイジャンKGBでキャリアを積んで頭角を現し、1967年にはアゼルバイジャンKGBの委員長になった人です。その後、アゼルバイジャン共産党書記長になり、トップの政治家として腐敗の解消と経済発展のために非常に活躍しました。

 政治家としての資質が高く評価されたために、彼は1982年にソ連中央政治局に抜擢されます。ソ連の内閣委員会議長、ソビエトロシア政府第一副首相、そしてソ連共産党中央政治局員を歴任。これはイスラム教徒としては初めてのことです。

 ロシアは周辺からいいところを吸収する国で、実はスターリンもグルジア出身、コサック兵は皆ウクライナ出身です。アリエフの場合も、同じでした。ところが1987年、アリエフは当時の共産党書記長だったミハイル・ゴルバチョフと腐敗解消運動の方法論で対立して、政治局を去ります。


●「建国の父」が示したカリスマ・リーダーシップ


 故郷のナヒチェヴァンという自治州に帰って静かにしていたアリエフは、支持者たちから「救国のために立ち上がってほしい」と要請を受けます。これを受けた彼はナヒチェヴァン自治州の最高会議長になり、同時にアゼルバイジャン共和国最高会議副議長に就任します。そして1993年、ナゴルノ・カラバフ戦争で大混乱が生じた時の大統領選挙に臨み、前任者アブルファズ・エルチベイを破って大統領に就任しました。エルチベイは非常に人気のある社会学者でしたが、ナゴルノ・カラバフの問題から国を救えなかったのが敗因とされています。

 その後、アリエフは1998年の大統領選にも圧倒的多数の支持を得て、2期10年を務めますが、2003年に病気のため引退します。この時に彼は息子のイルハム・アリエフを首相に指名します。数カ月後、イルハムは選挙に圧勝。その2カ月後に父のヘイダルは死去します。

 このヘイダル・アリエフはカリスマ的なリーダーで、今のア...

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