アゼルバイジャン訪問に学ぶ
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ナゴルノ・カラバフ問題―アゼルバイジャン最大の問題
アゼルバイジャン訪問に学ぶ(2)ボリシェヴィキ革命とナゴルノ・カラバフ問題
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
アゼルバイジャンの現代史を語る上で重要な1918年。この年、ボリシェヴィキ革命により帝政ロシアが倒れ、アゼルバイジャンの歴史は大きく動き出す。その後、最大の問題となるナゴルノ・カラバフ問題が発生。カラバフ地方をめぐり、アゼルバイジャンとアルメニアが対立。やがて紛争は戦争へと発展していく。(2014年10月2日開催島田塾第117回勉強会島田晴雄塾長講演より、全4話中第2話目)
時間:11分42秒
収録日:2014年10月2日
追加日:2015年7月9日
≪全文≫

●ボリシェヴィキ革命で帝政ロシアを倒したレーニンがドイツと異例の講和


 現代史はこういうことになっています。やはり1918年がとても重要です。1918年は第一次世界大戦の終わり頃で、ボリシェヴィキ革命が起きた年です。レーニンが帝政ロシアを倒したのです。これにアゼルバイジャンの民族主義者たちは「獰猛なロシアが倒れたぞ」と歓呼して、アゼルバイジャン人民共和国の独立宣言をするのですね。

 ところが、これに私はすごく関心があるのですが、長く続かないのです。ボリシェヴィキ革命は、1917年の10月革命のことで帝政ロシアを倒すのですが、ボリシェヴィキを率いていたレーニンはもともとユダヤ人だという説もあるのです。そのレーニンが、ロシアの支配体制を確立したと宣言するのです。

 国民は第一次世界大戦で疲弊していて、厭戦気分で嫌になったことが一つの理由で帝政ロシアが倒れたのですが、それに悪乗りしたのがレーニンです。この時、何が起きるかというと、ドイツと講和条約を結ぼうとするのです。そうすると、ロシアは連合国側ですから、イギリス、フランス、その他の国々に「何をやっているのだ、お前は」と憎まれることになったのです。しかし、ロシアは、共産党が万国平和という信じられないポリシーを打ち出していくのです。他の国は戦争中なのに気でも狂ったのかと思うのですが、ドイツは乗るのです。領土を変えないことを約束するのですが、それは嘘で、それに乗ったドイツは領土を取られてしまうのです。イギリス、フランス、アメリカはそれを見ていて、「ロシアがそういうことをするなら」とロシアに皆進駐するのです。なんと日本まで進駐します。かの有名なシベリア出兵ですね。チェコスロバキアまでロシアに進出するのです。


●武力でアゼルバイジャンを征服したロシア、バクーにソビエト政府を樹立


 一方、ロシアですが、農業生産がストップしているので、国の中は満身創痍になっているはずなのですね。そこで、ボロボロに弱っているロシアがどういうことをしたかというと、これがよく分からなくて、私はアゼルバイジャンでロシア研究をしている大使館の人にもさんざん質問したのです。すると、こういうことです。レニングラードに権力が集中していたソビエトのリーダー・レーニンが、「アゼルバイジャンは生意気だから、赤軍に対し、アゼルバイジャンに行け」と言うの...

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