トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
佐橋亮(東京大学東洋文化研究所教授)
トランプ大統領は同盟国の役割を軽視し、むしろ「もっと使うべき手段だ」と考えているようである。そのようななかで、ヨーロッパ諸国も大きく軍事費を増やし、「負担のシフト」ともいうべき事態が起きている。そのなかでアジアと日本はどうか。国際経済秩序が崩壊し、普遍的価値も推進力を失いつつある今、どうすればいいのだろうか。そこで考えておくべきことは、正常化バイアスを外して「常に最悪を考えて行動すること」=中国の習近平流に言うならば「底線思考」ではないか。(全3話中第3話)
時間:10分14秒
収録日:2025年6月23日
追加日:2025年8月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●トランプ政権にとっての同盟国の役割は?


 最後の話に移りたいと思います。

 トランプ政権は、これから4年間で世界をどう変えていくのだろうか。このことについて、最後に考えてみたいわけです。まず二つ、大きなことをお話ししてから、まとめに移りたいと思います。

 まず一つは、日本を含めた同盟国はこれからどうなっていくのだろうかということです。

 同盟国はアメリカの視点に立てば「最大の資産」だと、私も思います。こんなによく付き合ってくれる相手はいないわけです。日本や、ヨーロッパのほとんどを占めるNATO諸国がそうですが、アメリカといつも話し合って、アメリカとビジョンも同じで、協力してくれる国、これはもう最大の戦略的資産だと思います。

 しかし、トランプ政権はそのようには見ないのです。同盟国がアメリカの「負債」になってきたのではないかとすら思っている。自分たちアメリカが同盟の傘を差し出し、安全保障の傘を差し出して──核兵器だけではなく通常の軍事力もそうです──その傘に甘えていたのではないかと思っている。

 今のトランプ政権にとってみると、同盟は「もっと使うべき手段」だということです。もっと負担させなくてはいけない。もっと彼らを働かせなくてはいけない。それでこそ、自分たちは自分のやりたいこと、やるべきことに専念できると思っているわけです。

 今のトランプ政権も孤立主義ではないのです。世界に関わらなければいけないということはよく分かっている。しかし、その負担を自分たちだけが中心で背負ってきた、今の世の中の在り方が不満なのです。だから、同盟国に「もっと働け」と迫るわけで、しかも同盟国からの注文は受け付けない。道義的なコメントをされても、どこ吹く風なのです。


●「負担の共有」から「負担のシフト」へ


 こういう状況の中、確かにアメリカと、例えばNATO(北大西洋条約機構)──ヨーロッパやカナダ──のような同盟国の関係には、すきま風が吹きかねなくなっている。他方でウクライナ戦争もあるし、NATO諸国は今、一気に大軍拡の方向に向かっています。軍事予算でGDPの3.5パーセント、それ以外の安全保障に関わるインフラ整備で1.5パーセント、合わせてGDPの5パーセントを一つの目標にするということが今いわれていて、調整が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
『貞観政要』を読む(2)著作に登場する人物たち
房玄齢・杜如晦・魏徴・王珪―太宗の四人の優れた側近
田口佳史
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(2)“変わり者”の生かし方と後継者選び
「人材の組み合わせ」こそ「尖った才能」を輝かせる必勝法
水野道訓
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己