●中国の輸出低下傾向が下げ止まりを迎えた2014年
さて、次に、足元のGDPの主な構成要素である輸出投資、消費等について、簡単にご説明を差し上げたいと思います。
まず、輸出については、次のグラフを見てください。太い青い実線の折れ線グラフが、輸出の推移(前年比)を示しています。2010年をピークにして、ずっと低下傾向が続いてきています。
実は2014年の年初まで、「輸出はどこまで下がるのか」という懸念がありました。伸び率はマイナスに落ち込み、黄色の棒グラフが示す貿易収支もマイナスに近づいてきたため、エコノミストの間では貿易赤字に陥る懸念すら、かなり共有されていたほどです。
ところが、2014年に入ると状況は一変します。欧米や日本などの先進国が景気回復するとともに、輸出が回復し始め、その上に最近の原油安が加わりました。黄色い貿易収支の数字を見ていただくと、第2クオーターから第3クオーターと、貿易黒字がすごい勢いでまた膨らんできています。
●史上最高額の貿易黒字だが、輸出主導の時代は終幕
足元1月から11月までの数字を計算すると、すでに3000億ドルの大台を超え、3500億ドルも超えようという勢いで、貿易黒字が増えつつあります。2008年に記録した過去最高の貿易黒字額2981億ドルの数字すらすでに超えてしまい、史上最高の黒字額をたたき出しているのが、現在の中国の輸出入の動向です。現在の原油安の動向は、そう簡単には収束しそうもないため、2015年も貿易黒字基調に大きな変化はないものと考えられます。
ただし、以前のように、輸出が前年比20パーセントも伸びて中国経済を牽引するという時代は、すでに終わっていますので、大体0~10パーセントの間ぐらいを緩やかに推移する格好を取るでしょう。輸出主導でGDP成長率を引き上げる時代は、すでに終わっているとご理解いただければと思います。
●過剰設備削減によって、固定資産投資の伸び率も鈍化
さて、中国のGDPに占める次の主要コンポーネントは、固定資産投資です。このグラフでは、太い黒の実線が固定資産投資累計額の伸び率(前年比)推移になります。ご覧いただくと、2004年ごろから2010年ごろまで、ずっと前年比25パーセントから30パーセントぐらいの非常に高い伸びを示してきて、2010年あたりを境に、緩や...