家族主義を経営の中に持ち込んで成功したのは日本しかない。家族主義とはいつも道理と情愛がせめぎ合っている状態で、情愛、つまり言い換えると縁故や不平等などが入り込んでいることが日本の経営である。道理だけでは成功しないことが経験上、わかっているのだ。だから、組織は一流大学出身の優秀な人ばかりになるとダメになるということである。日本の経営はこの50年ほど批判されてきたが、実は正しかったのだ。(全10話中第9話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツ・アカデミー論説主幹)
≪全文≫
●道理と情愛がせめぎ合っている状態が日本の経営
執行 最後が経営です。経営は神藏さんも専門ですが、松下政経塾の専門でもあります。(日本の経営は)「道理と情愛」です。つまり家族主義。この家族主義を経営の中に正式に持ち込み、世界で一番成功した文明は日本しかありません。フランスやドイツなど全部調べていくと、家族主義をマネージメントの中に取り入れて、世界的経済を築いた国は日本以外ない。
家族経営だから当然、道理と情愛があって、この2つがいつでもせめぎ合っている。この2つが、いつも喧嘩している。その状態が日本の経営なのです。
―― これもさきほどと同じですね。
執行 同じものの経営版です。ただ私が言いたいのは、西洋から見ると悪いと言われる情愛がマネージメントの中に入り込んでいるからこそ、日本文明ということです。なまじアメリカで勉強した人が会社を立てると、今でも全部潰れている(笑)。
―― 大体おかしくなりますね。
執行 今の日本人は相当アメリカナイズして、日本文明を忘れていると言われますが、やはり日本人は血の深いところに2000年来の日本文明が入っています。だから、アメリカのハーバード大学のビジネススクールで教えていることをそのままやれば、日本の商店に至るまで潰れています。
日本の大学を出てからハーバード・ビジネススクールに行ってMBA(経営学修士)を取るといったことが、けっこう流行りました。その人たちが後継ぎで日本の老舗など、いろいろなところを継いだケースをたくさん知っていますが、みんな潰れました。アメリカを信じて、ハーバードのビジネススクールの理論をそのまま出した人です。
―― MBAは合っていないのですね。
執行 ここは日本だから、経営の中に日本教がなければダメなのです。日本教が経営の中に入り込んでいる、つまり道理だけでなく、先ほど言った情愛、家族主義、悪く言うと縁故であり、裏口入学であり、不平等。そういうものが入り込んでいなければダメなのです。
―― 本当にそうですよね。縁故であるし、裏口入学もあるし、と。
執行 それがないとダメです。確かに二世議員、三世議員がダメということで大騒ぎされています。特に立憲民主党が言っています。自民党はそれが多いと。確かに多いけれど、多いからこそ自民党だと思うのです。
立憲には(ほとんど)いません。左派だから。つまり...