『孫子』を読む:地形篇
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「敗の道」と「上将の道」――現場のリーダーの心得として
『孫子』を読む:地形篇(2)敗戦に至る「6つの特性」
田口佳史(東洋思想研究家)
「敗の道」――孫子によれば、戦いで敗れる軍隊には6つの特性があるという。具体的には「弛」「崩」「乱」などの言葉を挙げているが、6つどれもが天災などのよるものではなく、リーダーの過失だと説いている。そして、「上将の道」として、優れたトップこそ敵の状況を正確に把握して戦略を立て、知識を実戦に活用すると語る。では「戦道」、つまりこうすれば勝てるという戦略が立たないときはどうするか。現場のリーダーに求められる判断についても解説する。(全3話中第2話)
時間:11分34秒
収録日:2020年10月9日
追加日:2026年3月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●敗れる軍隊には「6つの特性」がある


 その次です。「故に兵に走る者有り、弛む者有り、陥る者有り、崩るる者有り、乱るる者有り、北(に)ぐる者有り」といっています。ここで孫子は何をいっているのかというと、敗戦に至る、敗れる軍隊の特性というものを6つ挙げて、こうなってしまってはいけないということを挙げているのです。

 (例えば)「陥る者」、つまり陥るというのは、士気が上がらないで、みんなが何かどんより曇っているようなものです。それから「崩るる者」とは、将軍の独断、リーダーの独断専行をしすぎて、自分勝手に兵を動かしたために、組織として崩壊していくということです。そして、「乱るる者」とは、いろいろなことがあり軍として組織が一体化していない、そういう乱れている状態です。それから、「北(に)ぐる者」とは敗走するということです。

 今挙げたものは6つあるのですけれど、この6つの者は「天の災に非ず、将の過なり」ですから、これは自然にこうなっているのではなく、全ての責任はリーダーにあるのです。リーダーが心得なければいけないことは、このように組織がなっているのはあなたの責任なのだということです。自分の責任として、これはしっかりさせなければいけないわけです。

 ですから、そういう意味では、将軍としてこの6つの状況は大事です。まず、組織が弛んでいる、統制力がないという状態になっていないか。それから、士気が上がらず、みんなやる気がなく意欲的ではない状況になっていないか。そして、組織力という点でバラバラになっていないか。それから、「乱るる」というところから、目的が統一され考えも統一して1つの心になって進んでいない、そういう状態になっていないか。さらにみんなが、もうこのような商売はやめようなどと逃げ腰になっていないか。このような6つの状況は絶対によくないといっているわけです。


●「敗の道」――リーダーこそ心得ておくべき注意点


 そこで孫子は、この6つの状態の1つ1つを、もう一歩中に入って説明しています。「夫れ勢均しくして、一を以て十を撃つを走と曰ふ」と。つまり、「一を以て十を撃つ」というのは何かというと、これは大きな大軍、要するに強敵に対して戦いを挑むなどというのは、それこそ敗走する軍の状態になるということをまずいっているわけです。


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
インド神話の基本を知る(1)インドの特性と神話の成り立ち
インド神話…『リグ・ヴェーダ』『マハーバーラタ』の壮絶な物語
鎌田東二
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
徳川家康と貞観政要(1)徳川家康が太宗から学んだ治世の要諦
『貞観政要』とはいかなる書か?家康は何を学んだのか?
田口佳史
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(5)「3つ」で組まれた構造分析
驚くほど似ているギリシアの『オデュッセイア』とインドの『マハーバーラタ』…その謎に迫る
松村一男
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉
司馬遼太郎のビジョン~日本の姿とは?(5)移動と破壊と自由の実現
徳川家康ではなく織田信長…司馬文学が描く「別の可能性」
片山杜秀