テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.03.27

プロが選んだ日本の温泉ランキング第1位は?

 忙しい毎日、ほっとする癒しのひとときを求めるなら、やっぱり温泉ですよね!2019年、旅行会社員など“旅のプロ”が厳選した「にっぽんの温泉100選(観光経済新聞社主催)」の全ランキングが発表されました。果たして第1位に選ばれたのはどこの温泉なのでしょうか? 日本の温泉トップ10とともにご紹介!

「にっぽんの温泉100選」ランキングとは

 年に1回、旅行業者による専用ハガキ投票で選ばれ、日本旅館協会ら観光8団体が認定した全国100箇所の温泉(温泉旅館含む)のランキングです。どのような温泉が人気なのか、その温泉地域の活性化や顕彰を目的に開始されました。今回で33回目となります。

 投票ハガキには、その温泉地を選んだ理由(①雰囲気、②見所・体験の充実、③泉質、④郷土の食文化)、またはその宿を選んだ理由(①料理、②接客、③風呂、④施設、⑤雰囲気)を記入する項目があり、項目別のランキングも発表されています。

 では数ある温泉地のなかから、第1位に輝いた温泉地はどこでしょうか?

プロが選ぶ温泉第1位は「草津」

<「にっぽんの温泉100選」ランキングトップ10>
カッコ内は昨年の順位
第1位(1):草津(群馬県)
第2位(2):別府八湯(大分県)
第3位(4):指宿(鹿児島県)
第4位(6):有馬(兵庫県)
第5位(5):道後(愛媛県)
第6位(3):下呂(岐阜県)
第7位(7):登別(北海道)
第8位(8):湯布院(大分県)
第9位(17):箱根(神奈川県)
第10位(10):城崎(兵庫県)
(2019年12月14日「観光経済新聞社」掲載)

 堂々の1位は群馬県の草津温泉! 自然湧出量日本一を誇り、壮大な光景の「湯畑」や、お湯をかきまわして温度を調節する「湯もみ」で有名ですね。草津は17年連続の1位となっており、もはや殿堂入りといえそうです。2位は大分県の別府八湯。「八湯」という名称は、別府温泉を含んだ別府市内にある8箇所の温泉のこと。名称通り、いろいろな泉質を楽しめるのが魅力です。3位は鹿児島県の指宿温泉。温泉熱を使った砂蒸し風呂は、海外の観光客にも大人気です。

 神奈川県の箱根温泉は前回17位だったところ、今回は9位と大幅に順位を上げています。これは「箱根湯本」「強羅」など、域内の温泉地を今回から「箱根」としてまとめて集計したことが、ランクアップに大きく影響したとのことです。

11位以下は大荒れ! 北陸と栃木の温泉地が大苦戦も……

 トップ10内は比較的常連ともいえる顔ぶれですが、11位以下では前回から5ランク以上の変動の大きい温泉地が多かったようです。11~30位で5ランク以上の変動があったのが12温泉地、31~50位で10ランク以上の変動があったのが9温泉地。このうち、5ランク以上の下降をしたのが7温泉地となっており、特に石川県の和倉温泉(8位→12位)や福井県のあわら温泉(25位→41位)といった北陸の温泉地や、板室温泉(30位→60位)などの栃木県の温泉地が大きくランクを落す結果になり、今回のランキングの特徴となっているようです。

 12位の和倉温泉は、項目別で「雰囲気」が11位、「見所・体験の充実」が9位、「泉質」が20位と、たしかに他の大温泉地とやや遅れを取る形になっているものの、「郷土の食文化」部門においては、堂々の第1位。ノドグロや寒ブリなどの海産物やブランド牛の能登牛、地酒など、能登半島で育まれた豊かな食文化が、温泉のプロの胃袋をがっちり掴んだと考えられます。

 また、栃木県の温泉で唯一ランクアップした鬼怒川・川治温泉(21位→15位)は、「見所・体験の充実」部門で10位とトップ10入り。鬼怒川周辺には日光江戸村や東武ワールドスクウェアが、川治周辺には景勝地「龍王峡」があり、見どころが多い点が高評価につながった可能性があります。

前回ランク外から初入選も

 いっぽう、前回はランク外だった温泉地のうち16箇所が100位内に新しく入選。あまり聞きなじみのない温泉地ばかりですが、プロが注目している温泉とあって、知られざる魅力がありそうですね。

 今回から入選した温泉地の特徴について、簡単にまとめてみました。

<今回から100位内にランクインした温泉地>
・山鹿・平山(熊本県)68位:熊本山麓の自然美と、美容液のような美肌の湯が名物。
・下田(静岡県)73位:黒船来航に由来する歴史情緒あふれる街並みと、海の眺望が人気。
・玉川(秋田県)76位:1カ所からの湧出量は日本一。強酸性の泉質が特徴。
・上諏訪(長野県)77位:日本最古の温泉保養施設「片倉館」はレトロな雰囲気で一見の価値あり。
・おごと(滋賀県)79位:天台宗開祖の最澄が開いたといわれる、琵琶湖畔の名湯。
・湯田(山口県)80位:難病を治すという白虎の湯で知られる。
・堂ヶ島(静岡県)83位:西伊豆の美しい自然が臨める硫酸塩泉。
・洲本(兵庫県)85位:淡路島最大の温泉地。最近は新たな源泉も発見され話題に。
・湯郷(岡山県)87位:平安時代から続く古湯で、「岡山県美作三湯」のひとつ。
・浅虫(青森県)89位:青森有数の温泉地。周辺で海のレジャーやアクティビティが楽しめる。
・松江しんじ湖(島根県)93位:国宝の松江城はもちろん、宍道湖に映る夕陽は絶景。
・長湯(大分県)94位:さまざまな泉質の温泉と、ドイツ風の街並みが楽しめる。
・扉(長野県)95位:「天岩戸伝説」に連なる、里山渓谷の中に佇む温泉地。
・層雲峡(北海道)97位:北海道最大規模で、温泉街はカナダのカントリーリゾートを思わせる。
・蔦(青森県)同97位:奥入瀬渓流近くの蔦温泉旅館は、大正ロマンあふれる風情。
・戸倉上山田(長野県)100位:善光寺詣でにおける、精進落としの湯として親しまれる。

 いかがでしたか? 今回は宿泊施設のない温泉地は除外となりましたが、食事や観光も含めて、温泉の楽しみ方はいろいろ。2020年はメジャーな温泉地からニッチな温泉地まで調べながら、自分なりの楽しみ方を模索してみてはいかがでしょうか。

<参考サイト>
・第33回「にっぽんの温泉100選」全ランキングを発表 (観光経済新聞)
https://www.kankokeizai.com/第33回「にっぽんの温泉100選」全ランキングを発表
https://www.kankokeizai.com/wp-content/uploads/OK0430019121400701.pdf
https://www.kankokeizai.com/wp-content/uploads/OK0430020010101501.pdf
・にっぽんの温泉100選とは(観光経済新聞)
https://www.kankokeizai.com/index_100sen/what100/
・草津首位も上位は混戦 「にっぽんの温泉100選」中間集計 (観光経済新聞)
https://www.kankokeizai.com/草津首位も上位は混戦%E3%80%80「にっぽんの温泉100選」/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

石田梅岩が唱えた「商売の基本」、不足の共有化が鍵

石田梅岩が唱えた「商売の基本」、不足の共有化が鍵

石田梅岩の心学に学ぶ(4)商売の基本と梅岩教学

石田梅岩の大きなテーマである「商売の基本」はどこにあるか。それは「不足」についての認識を共有化することだと田口氏は言う。20年の探究が実を結び、石田梅岩が講席を開いたのは1729年。以後、講席は15年続くが、本人の講義...
収録日:2022/06/28
追加日:2024/04/29
田口佳史
東洋思想研究家
2

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
3

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(2)「夜の街」新宿の原点

歌舞伎町を筆頭に、東京でも有数の繁華街を持つ新宿だが、その礎は江戸時代の内藤新宿にあった。遊女が働く飯盛旅籠(めしもりはたご)によって、安価に遊興できる庶民の「夜の街」として栄えた内藤新宿の様子を、『江戸名所図...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/28
堀口茉純
歴史作家
4

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(3)電力の部分最適と全体最適

サステナブルな電力の供給と消費が求められる現代社会。太陽光発電のように電力の生産拠点が多元化する中で、それぞれの電力需給と国全体の電力需給のバランス調整が喫緊の課題となっている。実はヨーロッパなどの「再エネ比率...
収録日:2024/02/07
追加日:2024/04/27
岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者
5

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

イーロン・マスクと対立…ChatGPT大ブームまでの紆余曲折

サム・アルトマンの成功哲学とOpenAI秘話(2)ChatGPT開発秘話

仕事をはじめさまざまな生活シーンで多様な役割をこなすチャットボットとなった「ChatGPT」。OpenAIが公開したこのサービスが世界中を驚かせるまでには、その創業に携わったサム・アルトマンとイーロン・マスクの対立など紆余曲...
収録日:2024/03/13
追加日:2024/04/26
桑原晃弥
経済・経営ジャーナリスト