テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.02.05

1個250万円!世界の「高級フルーツ」とは?

 最近はスーパーでも、世界中のフルーツをたくさん見かけるようになりました。中でも目を引くのが、ひとつ数千円はくだらないブランドものの高級フルーツですよね。

 実は日本ほどフルーツの高級化に熱心な国はないといわれており、世界でも日本のフルーツは大人気。中には一箱、数十万の高値で取引されるフルーツもあるとか……。

 それでは、世界で最も高価なフルーツといえば何でしょうか? 調べてみました!

一個140万円!幻の技法で育ったイギリス伝統のパイナップル

 イギリスに「ロスト・ガーデンズ・オブ・ヘリガン(The Lost Gardens of Heligan)」という観光庭園があります。ここにはヨーロッパで唯一、寒冷地での栽培を目的にした温室「パイナップルピット」と呼ばれる施設があり、そこでパイナップルが栽培されています。

 この「パイナップルピット」はビクトリア王朝時代に発明されたといわれますが、収穫までに肥料や温度管理などあまりにコストがかかるため、廃れてしまった技術でした。しかしこのガーデンでパイナップルピットが発見されて以来調査・改修が進み、パイナップル栽培が始まったのです。初めて実を結んだのは、栽培を始めてから2年後の1997年。現在は2種類の品種が栽培されていますが、収穫までに数年を要するといいます。

 研究用のため現状市場に出回ることはないのですが、もし取引されるのであれば10,000ポンド、日本円にして約140万円の値が付くだろうといわれています。

 とっても珍しくて貴重なイギリスのパイナップル。どんな味がするのか……ちょっと食べてみたい気がしますね。

名実ともに最高峰!高級フルーツの代名詞「夕張メロン」

 贈答用の高級フルーツとして代表的なものといえばメロンですよね。そのメロンの中でも王様といわれるのが、オレンジ色の果肉が印象的な日本の北海道夕張市のブランドメロン、夕張メロンです。正式な品種を「夕張キング」といい、その見た目の美しさ、芳醇な香りと甘さは、世界でも大変な人気を誇ります。

 サイズや等級にもよりますが、値段は1個3,000~20,000円ほど。種は金庫に保管されるほど厳重に管理されており、加えて大変な手間暇をかけて育てられるため、値段も高くなるのです。

 毎年の初競りでは高値で取引され、2019年の初競りでは史上最高価格の500万円(一玉250万円!)という金額をたたき出しました。

値段よりも見た目のインパクト大!「四角いスイカ」

 日本の香川県で毎年、四角いスイカが売りに出されるのをご存じでしょうか。この四角いスイカは香川県善通寺市でつくられている観賞用のスイカで、四角いプラスチック容器の中に未成熟のスイカを入れて育てることで四角い形になるのだそう。

 箱の中で育てる難しさや生育しづらさがある分値段は高く、一玉10,000~20,000円前後。海外では日本円にして約90,000円で取引されたこともあるとか。なお、観賞用のため味はあまりよくないそうです。

世界からも熱視線!真っ赤な姿がまぶしい「太陽のタマゴ」

 某県知事が推しだしたことで全国に広く知られるようになった宮崎県のマンゴー。その中でも最高級品といわれるのが、宮崎県宮崎市の「太陽のタマゴ」です。糖度15度以上、重さ350g以上などの厳しい条件をクリアしたものだけがそう呼ばれ、真っ赤な皮とふっくらとした楕円形、食べたときに広がる濃厚な甘みが特徴です。

 こちらも毎年の初競りで高額の値がつき、2019年の初競りでは過去最高額の50万円(2個入りケース、約1kg)という高値になったそうです。

なぜ日本には高級フルーツが多い?

 筆者が調べる限り、高級フルーツと呼ばれるものは日本に多く集中していました。日本のフルーツを高く評価する海外メディアの記事も多く散見されます。なぜ日本のフルーツはここまで高品質なのでしょうか。それは海外と日本では、フルーツに対する認識の違いがあるためだと考えられます。

 その昔の日本では砂糖は非常に手に入りづらく、お菓子などの甘いものは上流階級でも滅多に口にできない贅沢品。旬の季節だけ食べられるフルーツも「水菓子」と呼んで珍重しました。農業技術が進歩するにつれ、次第にフルーツ生産量も増加しましたが、いっぽうで「高級品」「贈答品」としての意識が根強かったために品種改良も盛んになり、結果高級なフルーツがどんどん生まれるようになったのです。

 いっぽう、欧米などの海外ではフルーツは「贅沢品」ではなく、あくまで穀物や野菜と同じ「生活必需品」でした。水源が豊富な日本と違い、フルーツで水分やミネラルを補う必要があったからです。そのため日本とは真逆で、安く大量に生産するほうに進化したと考えられています。そういえば海外ではフルーツは、料理や飲み物、お菓子にと、積極的に使われていますよね。

 日々進化し続ける高級フルーツ。大切な人へのギフトとしてはもちろん、がんばった自分へのごほうびとして、おひとついかがですか?

<参考サイト>
・Pineapple Success!(The Lost Gardens of Heligan公式HP)
https://www.heligan.com/news/pineapple-success
・夕張メロン 史上最高額2玉500万円(日テレNEWS24)
https://www.news24.jp/articles/2019/05/24/07440712.html
・高いのには理由がある!魅惑の【高級フルーツ】の世界(オリーブオイルをひとまわしHP)
https://www.olive-hitomawashi.com/column/2020/03/post-9838.html
・車と同じくらい高級なメロン!米国人記者が驚いた日本の“高級果物贈答文化”(クーリエジャポン)
https://courrier.jp/news/archives/89560/
・完熟マンゴー最高値50万円 宮崎「太陽のタマゴ」(日本経済新聞HP)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43458790Y9A400C1ACX000

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

繁華街・新宿のルーツ、江戸時代の遊女が働く飯盛旅籠とは

『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(2)「夜の街」新宿の原点

歌舞伎町を筆頭に、東京でも有数の繁華街を持つ新宿だが、その礎は江戸時代の内藤新宿にあった。遊女が働く飯盛旅籠(めしもりはたご)によって、安価に遊興できる庶民の「夜の街」として栄えた内藤新宿の様子を、『江戸名所図...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/28
堀口茉純
歴史作家
2

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者
3

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本は再エネが難しい!?再エネ比率が高い国との相違点

日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(3)電力の部分最適と全体最適

サステナブルな電力の供給と消費が求められる現代社会。太陽光発電のように電力の生産拠点が多元化する中で、それぞれの電力需給と国全体の電力需給のバランス調整が喫緊の課題となっている。実はヨーロッパなどの「再エネ比率...
収録日:2024/02/07
追加日:2024/04/27
岡本浩
東京電力パワーグリッド株式会社取締役副社長執行役員最高技術責任者
4

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

陰の主役はイラン!?イスラエル・ハマス紛争の宗教的背景

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(4)サウジアラビアとイランの存在感

中東のグローバル・サウスといえば、サウジアラビアとイランである。両国ともに世界的な産油国であり、世界の政治・経済に大きな存在感を示している。ただし、石油を武器にアメリカとの関係を深めてきたのがサウジアラビアであ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/04/24
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授