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DATE/ 2022.08.17

かき氷のシロップは同じ味って本当?

 夏祭りの屋台といえば、たこ焼き、フランクフルト、りんご飴……たくさんありますが、忘れてはならないのが暑い夏の定番デザート「かき氷」ではないでしょうか。かき氷の色彩は目にするだけで夏を感じます。イチゴ、メロン、ブルーハワイ……色とりどりのフレーバーが並んでいますが、実は「全部同じ味」という話もあります。これは本当なのでしょうか。

香料と着色料以外は同じであることが多い

 この点に関して、ウェブの記事でシロップ製造を手がけるサンクラウン果精株式会社の回答がありました。「かき氷シロップの味は実は、どれも同じです。厳密に言うと、香料と着色料以外が同じ原材料になります(「みぞれ」は除く)。ただし、これはあくまで弊社の話ですので、他のメーカーさんが必ずしも同じとは言えません」とのこと。

 かき氷フレーバーは全て同じ味、というのはデマではないようです。実際にスーパーの市販品の内容物を確認してみると、「果糖ぶどう糖液糖」を筆頭に「着色料」「酸味料」「保存料」「香料」といったところでした。ほかにも「甘味料」や「調味料」といった記載があるものもあるようですが、フレーバーによって大きく異なるものは「香料」と「着色料」ではないでしょうか。

人は目からも味を判断している

 いや、そんなはずはない!本当に味が違う!と感じている人も多いかもしれません。もちろんそれも間違いではありません。実はかき氷の味が違うと感じるポイントは、この「香料」と「着色料」にあるのです。味を感じるのはもちろん舌がメインですが、それ以外にも香り(嗅覚)はもちろん、色(視覚)でも人は食べ物を味わっています。

 たとえば、赤い色をした液体の容器に「いちご」と書かれていれば、人はその情報をもとにいちごだろうと判断して口にします。またこのラインナップに、黄色で「レモン」、緑で「メロン」と書かれていて、そのフルーツの匂いと甘い味がすれば、もはや疑うべくはありません。味は周囲の情報とともに人の脳が決定しています。こうして色とりどりのフレーバーが並ぶことで、お祭り屋台は賑やかになります。その賑やかな気分で食べるかき氷はやはりおいしいはずです。

 ちなみに「ブルーハワイ」だとか「ハワイアンブルー」というフレーバーのかき氷も昔からあります。青いハワイの味、となるとちょっと抽象的ですが、多くの場合この味わいには「ラムネ」や「サイダー」などの香りが使われているとのこと。つまりかき氷シロップは、「いちご」でも「レモン」でも、また「ブルーハワイ」であっても、すべからくイメージの再現味と言えるでしょう。

果実を絞ったオリジナルシロップもある

 ただし、全てのシロップがイメージというわけではありません。高級なシロップやお店で食べるオリジナルかき氷のシロップなどは、フルーツ果実からオリジナルで作っているものもあります。特にそのフルーツのご当地で食べるかき氷は、果汁や果肉がふんだんに使われているようです。市販品でも福岡県産のあまおう(いちご)の果肉と果汁を使ったものや長野県産の長野パープル(ブドウ)を使ったシロップなどもあります。スーパーなどでシロップを見かけたら、ぜひその原材料をみてみましょう。

 また無色透明の「みぞれ味」は関西の定番シロップで、昔から親しまれています。東京では「すい」、名古屋では「せんじ」などと呼ばれるものですが、これは砂糖水を煮詰めたもの。つまりガムシロップです。ちなみに「白みつ」も同じものと言えます。ネット上には簡単に作れるレシピなども公開されています。

 こういったかき氷シロップにフルーツをトッピングすれば、オリジナルでちょっと贅沢なかき氷に。さらにあずきや白玉、ミルクなどさまざまなトッピングで楽しめるのもかき氷の醍醐味です。一杯程度であれば、カロリーはそこまで高くはならないはず。イメージを楽しんだり、贅沢にアレンジしたり、かき氷はかなり万能なスイーツかもしれません。

<参考サイト>
衝撃! 色とりどりのかき氷、実は同じ味だって知ってた!?【素朴な疑問をメーカーの人にぶつけてみた!】│Domani
https://domani.shogakukan.co.jp/552205
かき氷はシロップ手作りでもっとおいしく! 自家製かき氷のすすめ|Sweeten the Future
https://www.kanro.co.jp/sweeten/detail/id=960
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