テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.01.16

「女性トイレの行列問題」なぜ解消されないのか

 大型イベント会場やショッピングセンターに行ったとき、男性トイレは行列してないのに、女性トイレだけは長蛇の列になっている光景を目にしたことがある方も多いでしょう。なぜ女性トイレは男子トイレに比べて行列してしまいやすいのでしょうか? そして、多くの人が困っているのに、なぜ解消されないのでしょうか。

女性トイレが行列しやすい理由

 行列の理由として、設置できる器具の数の違いがあります。女性トイレはすべて個室なので、男性トイレと同じスペースがあっても設置できる数は少なくなってしまいます。一度に使用できる人数が限られるため回転が悪くなってしまっているのです。

 また、男性に比べて用を足す際の工程が多いことも理由として挙げられます。服と下着をおろすにしても、女性の場合はタイツやストッキングを着用していたら脱ぎにくいので余計に時間がかかってしまいますし、用を足したあとに紙で拭き取る必要があります。さらに生理の場合にはさらに工程が増えてしまったりと、男性よりもトイレで行う作業が多いという現実があるのです。実際、中日本高速道路会社が2014年度にトイレにかかる時間を調査したところ、男性が小便器を利用した場合は平均37.7秒だったのに対し、女性が個室を利用した場合には平均93.1秒と2.5倍の時間がかかるという結果も出ています。

 さらに周りの目がないことを良いことに、個室内でメイクをしたり携帯電話を操作したり、居眠りをしてしまう女性もいるといいます。こうした非常識な振る舞いをする人がいると個室1つを占領されてしまうので、ただでさえ悪い回転が悪化して長い列ができるのもやむを得ないですよね。

解消に向けた取り組みも

 多くの女性を悩ませ苦しめているトイレの行列問題ですが、解消に向けた取り組みも進められています。

 例えば、トイレの数が多い場合にはどこが空いているか分からない状況になることも珍しくありません。その事態を避けるために、空いているときは分かるようにドアに設置した青のランプが点灯する、「空」の文字が見えるような工夫がされているのを見たことがある人もいるでしょう。高速道路のサービスエリアなどでは、トイレの入り口に使用中か空室かを電子パネルで一目で分かるようにしているところもありますね。

 また、商業施設やスポーツ観戦のスタジアムでは入り口と出口を分けることで人のすれ違いを避け、スムーズに動けるような配慮がされている場合もあります。

 日本同様、海外でも女性トイレの行列は問題となっていますが、イギリスでは女性向けの小便専用トイレ「PEEQUAL(ピークアル)」が開発され、話題を呼んでいます。このトイレは個室ではなく、立ち上がると上半身が見える高さの仕切りで分けられているだけ。しゃがんで用を足し、使用した紙はゴミ箱に捨てる、といういたってシンプルなつくりになっています。トイレは汲み取り式になっていて、タンクにたまった尿はリサイクル技術によって発電に使用されるといいます。便器に触れないので衛生的であること、環境にも配慮された仕組みであることから注目を集めていて、すでにマラソン大会や音楽フェスなどで導入されています。

 女性トイレの行列はさまざまな取り組みも進んでいますが、何より大切なのはひとりひとりが譲り合いの精神を持つことでしょう。女性トイレの個室は休憩所ではないので、特に待っている人がいる場合には用を足したらすぐ退出して、周りに迷惑をかけないように心がけたいものですね。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

全ては運か!?良い運を引っ張ってくるために心がけること

全ては運か!?良い運を引っ張ってくるために心がけること

運と歴史~人は運で決まるか(4)「全ては運で決まる」という疑問

「全ては運で決まる」という考え方がある。しかし、この見方に疑義を唱える山内氏。歴史を振り返ってみれば、「運をつかんだ」といえるケースでは、確実に運をつかむ、あるいは味方につけるための方法が見えてくるからだ。では...
収録日:2024/03/06
追加日:2024/05/09
山内昌之
東京大学名誉教授
2

グローバル・ウエスト対中露、努力むなしい日本の現実

グローバル・ウエスト対中露、努力むなしい日本の現実

グローバル・サウスは世界をどう変えるか(6)グローバル・ウエストと中露の戦略

世界の勢力図を変えつつあるグローバル・サウスの影響力は、G7をはじめとするグローバル・ウエストの国々に深く浸透しつつある。また、中南米や中東、そしてアフリカのグローバル・サウスを取り込もうとする激しい争いは、グロ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/05/08
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
3

法曹界の『人間観』は間違い?脳の働きから考える「善悪」

法曹界の『人間観』は間違い?脳の働きから考える「善悪」

ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として

“ヒトの罪とは何か”――この問題について、法学や哲学的アプローチでなく、進化生物学・進化心理学的視点から考察するのが今回の講義の趣旨である。ヒトが社会的動物として集団生活を送る中で個人間に利害対立が生じ、これを調整...
収録日:2023/12/11
追加日:2024/02/25
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長
4

地球儀を俯瞰する!?国際政治を読むために重要な地図の見方

地球儀を俯瞰する!?国際政治を読むために重要な地図の見方

地政学入門 歴史と理論編(2)なぜ地理が重要なのか

国際政治を地理的要素に着目して分析するのが地政学だが、なぜ地理が国家間の政治を考える上で重要な要素になるのか。その理由は地理が持つ「不変性」にあると小原氏は言う。また、地理を考えるときに欠かせないのが地図で、見...
収録日:2024/03/27
追加日:2024/05/07
小原雅博
東京大学名誉教授
5

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景

民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教

ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26
橋爪大三郎
社会学者