社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「みどりの窓口」はなぜ「緑」なのか
JRの駅に設置されている「みどりの窓口」では、どんな業務を行っているのでしょうか。なんとなく、「遠方に出かけるときに利用する窓口」というイメージがありますが、具体的には主に次のような業務を担当しています。
・鉄道乗車券の発売、変更および払い戻し
・レンタカー券の発売、変更および払い戻し
・宿泊券の発売、変更および払い戻し
レンタカー券や宿泊券は基本的にJRの利用とセットで取り扱っている商品で、このほかにも航空券や旅行のパック商品などの受け渡しができます。このようにいろいろな業務を行っているみどりの窓口ですが、なんといってもJRグループが発売しているすべての乗車券を購入できるので、ほとんどの場合は鉄道乗車券の購入で訪れることになります。このため、旅行や出張のときに利用することが多くなり、「遠方に出かけるときに利用する窓口」というイメージにつながりやすいのですね。
この窓口が「みどり」と名づけられた理由は、通常の切符の券面が赤や青であることに対して、みどりの窓口で発券した切符は券面が緑だから。これは、「マルス端末」という機械で発券した切符の特徴です。マルス端末とは「Multi Access seat Reservation System」の略称で、JRグループ内で共通して使用されている、座席予約のためのコンピューターシステム。つまり、マルス端末の導入がみどりの窓口のはじまりというわけです。
1・利用者が指定券の発売を各駅の窓口で申し込む。
2・窓口の担当者が管理センターに電話で問い合わせる。
3・管理センターの担当者が台帳で空席を照会する。
4・空席がある場合、窓口の担当者が切符に車両や座席を手書きで書いて利用者に渡す。
5・管理センターの担当者が台帳に発売完了のチェックをつける。
こうしてやっと、座席指定券が買えたのです。この方法では手間がかかるうえに、聞き取りミスやキャンセルのチェック忘れなどによって同じ席の切符を重複して発売してしまうこともありました。また、1964(昭和44年)年には新幹線が開通したこともあり、窓口の業務負担はさらに増していました。このためマルス端末が導入され、みどりの窓口が開設されたのです。すでに60年近い歴史があるのですね。
実は、JRグループ内で東海地方を担当するJR東海は、みどりの窓口という名称を使っていません。このため、東海地方に住む方たちにはあまりなじみがない呼び方なのです。JR東海でもマルス端末は使用していますが、みどりの窓口の役割を果たす窓口は「JR全線きっぷうりば」という名称になっています。JR東海がこのようにしている主な理由は、現在はみどりの窓口に限らず駅の窓口ならどこでも座席指定券が購入できるからなのだとか。また、JR全線きっぷうりばという名称のほうが、どんな業務を行っているのかわかりやすいという理由もあるそうです。
そしてもうひとつ、他のJRグループと見分けがつきやすいという理由もあります。JRグループは現在、北海道・東北・東日本・東海・西日本・四国・九州の6つの旅客鉄道と1つの貨物鉄道の7グループに分かれていますが、もともとは国営の日本国有鉄道というひとつのグループでした。これが1987(昭和62)年に民営化されて、7つに分かれた経緯があります。JR東海は東日本と西日本の間に位置しているので、たとえば東京駅は東海と東日本、新大阪駅は東海と西日本のように、ふたつのグループの窓口があります。そこでJR東海は、他のJRと見分けやすいように窓口の名前を変えているのです。
しかし最近は、JRグループ全体でみどりの窓口を減らす方向に動いています。大きな要因は、ネットでの乗車券購入が普及して有人窓口の利用客が大きく減少しているから。また、座席指定券や特急券を購入できる高性能の自動券売機「みどりの券売機」が導入されたことも理由のひとつです。JR西日本では高性能自動券売機の導入を進めて、みどりの窓口を順次終了する方針を発表しています。乗車券の発売方法も、時代に合わせて日々変化しているのですね。
・鉄道乗車券の発売、変更および払い戻し
・レンタカー券の発売、変更および払い戻し
・宿泊券の発売、変更および払い戻し
レンタカー券や宿泊券は基本的にJRの利用とセットで取り扱っている商品で、このほかにも航空券や旅行のパック商品などの受け渡しができます。このようにいろいろな業務を行っているみどりの窓口ですが、なんといってもJRグループが発売しているすべての乗車券を購入できるので、ほとんどの場合は鉄道乗車券の購入で訪れることになります。このため、旅行や出張のときに利用することが多くなり、「遠方に出かけるときに利用する窓口」というイメージにつながりやすいのですね。
この窓口が「みどり」と名づけられた理由は、通常の切符の券面が赤や青であることに対して、みどりの窓口で発券した切符は券面が緑だから。これは、「マルス端末」という機械で発券した切符の特徴です。マルス端末とは「Multi Access seat Reservation System」の略称で、JRグループ内で共通して使用されている、座席予約のためのコンピューターシステム。つまり、マルス端末の導入がみどりの窓口のはじまりというわけです。
「みどりの窓口」はいつからある?
マルス端末の本格的な導入は、1965(昭和45)年のこと。この年からみどりの窓口が各駅に設置されるようになりました。それ以前の座席指定券は、なんと指定席管理センターの台帳を使って手作業で発売されていました。発売の手順は次のようになります。1・利用者が指定券の発売を各駅の窓口で申し込む。
2・窓口の担当者が管理センターに電話で問い合わせる。
3・管理センターの担当者が台帳で空席を照会する。
4・空席がある場合、窓口の担当者が切符に車両や座席を手書きで書いて利用者に渡す。
5・管理センターの担当者が台帳に発売完了のチェックをつける。
こうしてやっと、座席指定券が買えたのです。この方法では手間がかかるうえに、聞き取りミスやキャンセルのチェック忘れなどによって同じ席の切符を重複して発売してしまうこともありました。また、1964(昭和44年)年には新幹線が開通したこともあり、窓口の業務負担はさらに増していました。このためマルス端末が導入され、みどりの窓口が開設されたのです。すでに60年近い歴史があるのですね。
消えていく「みどりの窓口」
マルス端末の登場でJRの座席指定券はよりスピーディに、より正確に購入できるようになりました。しかし、なかには「みどりの窓口ってなに?」とか「聞いたことはあるけど見たことはない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、JRグループ内で東海地方を担当するJR東海は、みどりの窓口という名称を使っていません。このため、東海地方に住む方たちにはあまりなじみがない呼び方なのです。JR東海でもマルス端末は使用していますが、みどりの窓口の役割を果たす窓口は「JR全線きっぷうりば」という名称になっています。JR東海がこのようにしている主な理由は、現在はみどりの窓口に限らず駅の窓口ならどこでも座席指定券が購入できるからなのだとか。また、JR全線きっぷうりばという名称のほうが、どんな業務を行っているのかわかりやすいという理由もあるそうです。
そしてもうひとつ、他のJRグループと見分けがつきやすいという理由もあります。JRグループは現在、北海道・東北・東日本・東海・西日本・四国・九州の6つの旅客鉄道と1つの貨物鉄道の7グループに分かれていますが、もともとは国営の日本国有鉄道というひとつのグループでした。これが1987(昭和62)年に民営化されて、7つに分かれた経緯があります。JR東海は東日本と西日本の間に位置しているので、たとえば東京駅は東海と東日本、新大阪駅は東海と西日本のように、ふたつのグループの窓口があります。そこでJR東海は、他のJRと見分けやすいように窓口の名前を変えているのです。
しかし最近は、JRグループ全体でみどりの窓口を減らす方向に動いています。大きな要因は、ネットでの乗車券購入が普及して有人窓口の利用客が大きく減少しているから。また、座席指定券や特急券を購入できる高性能の自動券売機「みどりの券売機」が導入されたことも理由のひとつです。JR西日本では高性能自動券売機の導入を進めて、みどりの窓口を順次終了する方針を発表しています。乗車券の発売方法も、時代に合わせて日々変化しているのですね。
<参考サイト>
・東洋経済オンライン なぜJR東海の駅に「みどりの窓口」はないのか
https://toyokeizai.net/articles/-/114181
・Oggi.jp 知ったら話したくなる!「みどりの窓口」はなぜ「みどり」? ない駅もある?
https://oggi.jp/6402173
・CHANTO WEB JRの「みどりの窓口」って何ができる場所か説明できますか?
https://chanto.jp.net/articles/-/93692?display=b
・ねとらぼ みどりの窓口って、なんで「みどり」なの?
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1812/20/news016.html
・東洋経済オンライン なぜJR東海の駅に「みどりの窓口」はないのか
https://toyokeizai.net/articles/-/114181
・Oggi.jp 知ったら話したくなる!「みどりの窓口」はなぜ「みどり」? ない駅もある?
https://oggi.jp/6402173
・CHANTO WEB JRの「みどりの窓口」って何ができる場所か説明できますか?
https://chanto.jp.net/articles/-/93692?display=b
・ねとらぼ みどりの窓口って、なんで「みどり」なの?
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1812/20/news016.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
グローバル・ウエスト対中露、努力むなしい日本の現実
グローバル・サウスは世界をどう変えるか(6)グローバル・ウエストと中露の戦略
世界の勢力図を変えつつあるグローバル・サウスの影響力は、G7をはじめとするグローバル・ウエストの国々に深く浸透しつつある。また、中南米や中東、そしてアフリカのグローバル・サウスを取り込もうとする激しい争いは、グロ...
収録日:2024/02/14
追加日:2024/05/08
地球儀を俯瞰する!?国際政治を読むために重要な地図の見方
地政学入門 歴史と理論編(2)なぜ地理が重要なのか
国際政治を地理的要素に着目して分析するのが地政学だが、なぜ地理が国家間の政治を考える上で重要な要素になるのか。その理由は地理が持つ「不変性」にあると小原氏は言う。また、地理を考えるときに欠かせないのが地図で、見...
収録日:2024/03/27
追加日:2024/05/07
法曹界の『人間観』は間違い?脳の働きから考える「善悪」
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
“ヒトの罪とは何か”――この問題について、法学や哲学的アプローチでなく、進化生物学・進化心理学的視点から考察するのが今回の講義の趣旨である。ヒトが社会的動物として集団生活を送る中で個人間に利害対立が生じ、これを調整...
収録日:2023/12/11
追加日:2024/02/25
新宿の歴史…かつては馬糞臭い宿場町だった「内藤新宿」
『江戸名所図会』で歩く東京~内藤新宿(1)内藤新宿の誕生と役割
江戸時代後期に書かれた地誌『江戸名所図会』(えどめいしょずえ)をひもとくと、江戸時代の街の様子や人々の暮らしぶりが見えてくる。今回は、五街道の宿場町として重要な役割を果たした「内藤新宿」を取り上げ、新宿のかつて...
収録日:2024/02/19
追加日:2024/04/21
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
ロシアや中華人民共和国など、自由と民主主義を否定する権威主義国の脅威の増大。一方、日本、アメリカ、西欧など自由主義諸国における政治の劣化とポピュリズム……。いま、自由と民主主義は大きな試練の時を迎えている。このよ...
収録日:2024/02/05
追加日:2024/03/26