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DATE/ 2023.12.11

「モバイルバッテリー」が爆発?安全な使い方とは

 モバイルバッテリーの発火による事故はたびたびニュースになります。現在のモバイルバッテリーの多くはリチウムイオン電池ですが、この電池は熱や衝撃に弱いという特性があります。また場合によっては、過充電や過放電にも気をつける必要がありそうです。では、特にどういった場面や状況に気をつければいいのでしょうか。ここで安全な使い方を知っておきましょう。

まず避けるべきは熱と衝撃

 熱に弱いという点に関して言えば、過去には自動車に放置されたモバイルバッテリーが発火する事故が起きています。モバイルバッテリーが安全である周囲の温度は、最低0度で最高は45度です。これ以外の温度環境になると、急速に劣化したり安全装置が故障したりして、発火、爆発といった事故が起きるリスクが高まります。特に日差しの入る車の車内などにおくことには、大きなリスクがあることが分かります。また炎天下での使用ももちろん危険です。

 衝撃に関して言えば、高いところから落とすことはもちろん危険です。日常の場面でも、モバイルバッテリーやスマホをポケットに入れたまま座ったことで大きな圧力が加わり、バッテリーが破損することがあります。へこんだ部分はショートが起きやすくなるので、これが異常な発熱につながります。同様にペットが噛むことによって衝撃が加わって問題が起きた事例もあるようです。すぐには発熱しなくとも電池が変形したり膨張したりすることもあります。こうなったら決して使用しないようにしましょう。

過充電・過放電、劣化した状態での使用に要注意

 主にPSEマークのない海外製の安価なモバイルバッテリーや、古くなったバッテリーなどにおいては、過充電が大きな問題となる場合があります。ちなみにPSEマークのない商品については現在、国内での販売が禁止されています。購入時にはよく確認しましょう。もちろん、きちんと設計されたモバイルバッテリーでは過充電防止機能がついており、満充電になると充電はストップするようになっています。

 ただし古くなって機能が故障していたり、そもそもこういった機能のない(PSEマークのない)バッテリーを使っていたりした場合、ACアダプターをつなぎっぱなしにしておくと過充電が起き、発熱、発火、爆発のリスクが生じます。また、新しい正規品であっても衝撃を与えたりして故障していた場合にも、過充電防止機能が働かない可能性があります。過充電の状態は直接事故にならなくとも、バッテリーを劣化させます。充電し終わったらACアダプターを外すことを忘れずに。

 一方、バッテリーを使い切って放置した「過放電」の状態にあるバッテリーにも注意が必要です。過放電の状態になると、その後充電した際にはショートが発生するリスクが高くなっています。いずれにしても、モバイルバッテリーに異常が発生した状態、たとえば「膨らんでいる」「異常に熱くなっている」「異臭がする」といったことがあれば、すぐに使用を停止しましょう。

<参考>
リチウムイオン電池の基礎 電池の学校ーリチウムイオン電池の安全な使い方って?|東芝
https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/battery/scib/product/module/sip/download/batteryschool/episode3.html
正しく知ろう! モバイルバッテリーの安全な使い方。|BUFFALO
https://www.buffalo.jp/topics/knowledge/detail/mobile-battery.html
リチウムイオン電池の爆発原因と仕組みについて|武蔵エナジーソリューションズ株式会社
https://www.musashi-es.co.jp/blog/2021/05/60a29fa130828968f064e149f8f3251351f5cdc4.html
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