社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
『見えない大気を見る』から考える「異常気象」の意味
今年の夏は「異常気象」が異常に連発していたことをみなさん、ご存知ですか。
「日本列島で観測された異常気象…平均湿度85%、今夏は89年ぶりの高湿度だった!?」という記事を報じた「週プレNEWS」によると、たとえば、7月初旬に九州北部に襲った集中豪雨により、福岡県朝倉市で観測史上最大となる雨量を記録、また、東京でも8月に40年ぶりに連続21日間の雨を観測し、都内で2時間に約1000発の雷が観測された日(8月19日)もありました。その他にも、たくさんの異常気象が報告されています。
地球温暖化問題は、その対策の国際的枠組であるパリ協定からトランプ大統領が脱退を表明したことで最近も話題を呼びました。
注目すべきは、気象予報が政治とも強く結びついているという点です。
地球全体の気温が4度上昇すると言われても、あまりピンとこないかもしれません。そこで具体的な例を挙げると、8月の「野外での運動禁止日数」、すなわち「暑くて熱中症にかかってしまう危険が高いなどの理由で野外では運動しない方がよいとされる一か月の日数」が、東京においては今のところ2日間なのですが、2050年代には15日間に増加すると予測されています。つまり、1か月の半分は外出するのが億劫になるほどの猛暑日となるのです。
ところで、『見えない大気を見る 身近な天気から、未来の気候まで』の著者・日下博幸先生は筑波大学計算科学研究センターの教授で、2002年から2004年までただ一人の日本人として、アメリカ国立大気研究所にて、気象予測のための次世代シミュレーションモデルWRF(ワーフ)の開発プロジェクトに参加。また、2011年には国際都市気候学会(IAUC)の日本人唯一の理事に選出された、いわば日本の気象学者のトップランナーなのです。
こうした華々しい経歴を見ると、本書は、アカデミックで難解な本なのかなと思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。それどころか、実は児童書なのです。なお、児童書ではありますが、大人も意外と知らない風や虹や雲の正体から、AIなどの最新テクノロジーを用いた気象予測の未来まで、大人でも十分にワクワク楽しめる内容になっています。
先述した通り、環境も政治も経済も横断する気象予報の知識は、ビジネスパーソンにとっても目が話せない分野となっているといえるでしょう。もし、これから気象予報について楽しく学びたいという方にとって、本書はとっておきの入門書になることでしょう。
「日本列島で観測された異常気象…平均湿度85%、今夏は89年ぶりの高湿度だった!?」という記事を報じた「週プレNEWS」によると、たとえば、7月初旬に九州北部に襲った集中豪雨により、福岡県朝倉市で観測史上最大となる雨量を記録、また、東京でも8月に40年ぶりに連続21日間の雨を観測し、都内で2時間に約1000発の雷が観測された日(8月19日)もありました。その他にも、たくさんの異常気象が報告されています。
そもそも「異常気象」とは?
ところで、そもそも「異常気象」とはどういったことを指すのでしょうか。『見えない大気を見る 身近な天気から、未来の気候まで』(日下博幸著、くもん出版)によると、異常気象とは「一生の間でまれにしか経験しないような、めったに起こらない天気、気象、天候のこと」。また「気象庁では、三十年に一回発生するかしないかくらいの現象のこと」と定義しているのだそうです。気象予報は、政治とも強く結びついている
「一生の間でまれにしか経験しないような、めったに起こらない」はずなのに、なぜ、これほどまでに異常気象が連発するのか。一概には言い切れませんが、その理由としては、「ヒートアイランド現象」や「地球温暖化」を挙げることができます。地球温暖化問題は、その対策の国際的枠組であるパリ協定からトランプ大統領が脱退を表明したことで最近も話題を呼びました。
注目すべきは、気象予報が政治とも強く結びついているという点です。
50年後、東京の8月の熱中症の危険日だらけ
さて、先述の『見えない大気を見る 身近な天気から、未来の気候まで』では、地球温暖化現象に対して、私たちが取るべき対策を実行できなければ、100年後に地球全体の気温が4度上昇すると伝えています。地球全体の気温が4度上昇すると言われても、あまりピンとこないかもしれません。そこで具体的な例を挙げると、8月の「野外での運動禁止日数」、すなわち「暑くて熱中症にかかってしまう危険が高いなどの理由で野外では運動しない方がよいとされる一か月の日数」が、東京においては今のところ2日間なのですが、2050年代には15日間に増加すると予測されています。つまり、1か月の半分は外出するのが億劫になるほどの猛暑日となるのです。
気象予報がビジネスパーソンの基礎教養に
異常気象と温暖化について述べてきましたが、実は気象予報は環境分野だけのテーマではありません。トランプ大統領と温暖化に関するニュースは政治分野ですし、経済分野においても、AIと結びついた気象予報は成長産業として、いま大きな注目を浴びています。ところで、『見えない大気を見る 身近な天気から、未来の気候まで』の著者・日下博幸先生は筑波大学計算科学研究センターの教授で、2002年から2004年までただ一人の日本人として、アメリカ国立大気研究所にて、気象予測のための次世代シミュレーションモデルWRF(ワーフ)の開発プロジェクトに参加。また、2011年には国際都市気候学会(IAUC)の日本人唯一の理事に選出された、いわば日本の気象学者のトップランナーなのです。
こうした華々しい経歴を見ると、本書は、アカデミックで難解な本なのかなと思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。それどころか、実は児童書なのです。なお、児童書ではありますが、大人も意外と知らない風や虹や雲の正体から、AIなどの最新テクノロジーを用いた気象予測の未来まで、大人でも十分にワクワク楽しめる内容になっています。
先述した通り、環境も政治も経済も横断する気象予報の知識は、ビジネスパーソンにとっても目が話せない分野となっているといえるでしょう。もし、これから気象予報について楽しく学びたいという方にとって、本書はとっておきの入門書になることでしょう。
<参考文献・参考サイト>
・『見えない大気を見る 身近な天気から、未来の気候まで』(日下博幸著、くもん出版)
http://kumonshuppan.com/ehon/ehon-syousai/?code=34551
・「週プレNEWS」
http://wpb.shueisha.co.jp/2017/09/04/91192/2/
<関連サイト>
・筑波大学 日下博幸研究室ホームページ
http://www.geoenv.tsukuba.ac.jp/~kusakaken/
・『見えない大気を見る 身近な天気から、未来の気候まで』(日下博幸著、くもん出版)
http://kumonshuppan.com/ehon/ehon-syousai/?code=34551
・「週プレNEWS」
http://wpb.shueisha.co.jp/2017/09/04/91192/2/
<関連サイト>
・筑波大学 日下博幸研究室ホームページ
http://www.geoenv.tsukuba.ac.jp/~kusakaken/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
忠犬ハチ公で哲学する…人と犬の関係から見えてくる道徳論
東大ハチ公物語―人と犬の関係(1)上野英三郎博士とハチ
東京大学大学院人文社会系研究科教授・一ノ瀬正樹氏が、海外でも有名な「ハチ公」の逸話を例に、人と犬の関係について考察する。第一回目は、ハチの飼い主・上野英三郎博士について触れ、東大とハチ公の結びつきや、東大駒場キ...
収録日:2017/04/04
追加日:2017/06/13
使えるデータで「健康のプラットフォーム」を実現しよう
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(3)健康産業イニシアティブ実装に向けて
「プラチナ社会」の実現には、人々の健康もその重要な指標になる。それを支える「健康産業イニシアティブ」とは、いったいどのような構想なのか。日本の弘前大学をはじめ、アジアの周辺諸国で集められるビッグデータを資源に、...
収録日:2025/04/21
追加日:2025/10/29
変人募集中…0から1を生める人、発掘する人、育てる人
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(4)エンタメで一番重要なのは「人」
エンタメビジネスにおいて一番大切なのは「人」である。さらに、「0から1を生める」クリエイターが必須であることはいうまでもないが、そのような人材だけではエンタテインメントビジネスは成立しない。時として異能で多様なク...
収録日:2025/05/08
追加日:2025/10/28
正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの
徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直
『書経』を研究する中で発見した真理について理解を深めていく今回。徳は天をも感動させる力を持ち、真の和合は神を動かす。そして、宇宙は人間のように、また人間も宇宙のように構成されており、その根底には「正直」がある。...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/10/25
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
「習近平中国」「習近平時代」における中国内政の特徴を見る上では、それ以前との比較が欠かせない。「中国は、毛沢東により立ち上がり、鄧小平により豊かになり、そして習近平により強くなる」という彼自身の言葉通りの路線が...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/09/25


