地球温暖化問題~温室効果と異常気象
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
地球温暖化問題は大気という衣が地表を暖めて発生している
地球温暖化問題~温室効果と異常気象(1)気温の問題と温室効果
住明正(理学博士/東京大学名誉教授/東京大学未来ビジョン研究センター 客員研究員)
「大気があるから、地球の温度は安定している」と、国立研究開発法人国立環境研究所理事長・住明正氏は語る。それはなぜか。「温室効果」とはどういうものか。シリーズ「地球温暖化問題」第1回。(全4話中第1話目)
時間:7分36秒
収録日:2015年9月28日
追加日:2015年11月23日
≪全文≫

●温暖化問題にはいろいろな切り口がある


 今日はこれから、「地球温暖化」をめぐる最近の話題を少しお話ししようと思います。最初に、地球温暖化問題とは何かをご説明します。人々が普段話している地球温暖化問題には、実はいろいろな切り口があります。一つは、地表の気候システムに関するエネルギー収支の問題。それから、気候システム内部でエネルギーがどのように分配されるかという問題。そして、地球が温暖化していくことによる社会への影響と、われわれがどのように対応するかという問題の三つがある。これらはしばしば一緒くたに議論されがちですが、分ける必要があります。

 気候の問題は、基本的には「気温の問題」です。気温とはエネルギーのことですから、物理法則で考えることができます。多くの物理学にそういった自然法則がありますので、地球全体のエネルギーバランスの問題は、物理的に捉えることができるのです。


●可視光を使うよう、生物の目が進化した


 地球全体の気候システムに関するエネルギー構造を考えると、まず全てのエネルギーは太陽から来ています。太陽から入ってくるばかりだと、地球はどんどん温まってしまいます。地球の気候が安定しているのは、入ってくるエネルギーと出ていくエネルギーが釣り合っているからです。一瞬一瞬で釣り合っているのか、それとも1年、10年、100年で釣り合っているのかには議論の余地がありますが、一定の時間の中でバランスしていると考えることができます。

 現在、われわれ気象学者が主に考えているのは、地球の表層、地面付近で、地球に入ってくるエネルギーが気候システムの中でどのように分配されるかという問題ですが、それについては後で詳しくお話しします。

 太陽はだいたい6000度の物体が対応する黒体放射を出し、そのエネルギーはさまざまな電磁波となって地球に届きます。地球は大気という衣を着ていますが、幸せなことに、太陽光線の大部分は大気の主成分である酸素や窒素に吸収されずに地表に到達します。これは非常に大事なことです。

 太陽光線の主な部分を可視光といいます。人の目に見える光という意味ですが、これは逆に、地上に最もたくさん存在する光を使うよう、生物の目が進化してきたと考えるべきです。同じことを海について考えると分かりますが、水蒸気が多くの太陽光を透過させる一方で、液体となった水...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾