「危機の時代」の気候変動
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ロシアの天然ガスが鍵?地政学と絡むエネルギーの安定供給
「危機の時代」の気候変動(5)ネットゼロと地政学的駆け引き
小原雅博(東京大学名誉教授)
COP26でも各国が「ネットゼロ」を表明し、動き出している。だが、これは実に遠い目標であり、各国がネットゼロにどの程度インセンティブをもって取り組むのかについては疑念が残る状態である。さらに大国間における地政学の駆け引きも絡み、それらが問題をさらに難しくしている。(全6話中5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分36秒
収録日:2022年2月16日
追加日:2022年5月5日
≪全文≫

●多くの国が「長期目標」にとどまっている


小原 いよいよ最後の議論に入っていきますが、「ネットゼロを考える」ということで皆さんにお話ししたいことがあります。これまでざっくりと説明をしてきましたが、CO2排出を削減するという世界的な流れは定着しています。ですが、そこにはやはりいろいろな課題も見えてきます。

 例えばCOP26では、132カ国がネットゼロを表明しました。『日本経済新聞』を読むと多くの国は「国民と約束をした」と書いてあるのですが、132カ国の表明を見ると、すでに立法措置を取っている国は12カ国しかありません。検討中の国は4カ国ありますが、残りの116カ国は政治的な目標、かつ長期目標にとどまっているのです。

 長期目標とは、今責任を持っている政治家が政治家でなくなっている、あるいはこの世に生きていないというほど先の目標です。であれば、その目標を実現するため、今の責任者が政治活動をできる間にどこまで短期的に削減する努力(インセンティブ)が残るのか。そういった懸念、疑問がわいてくるのです。

 またパリ協定の長期目標(各国が表明した目標)が未達成、あるいは実現しなくても、罰則はありません。そのため、これが本当に実現していくのかについては懐疑的な見方もあります。

 そういう意味でいうと、われわれ国民も政治家も、目の前に大きな経済問題が起きたときに、果たして未来の地球を救うためにそれなりの犠牲を払えるのかどうか。この究極的な問いかけにも答えなければいけないことになってきます。


●オフセットはあくまで「従」


小原 それから、先ほども再生可能エネルギーの話をしましたが、あくまで「実質」です。オフセットという制度を作ると、「とにかく金で買えばいいではないか」ということになりかねない。とくに先進国、あるいは巨大企業の中には、「CO2排出を削減するよりも、利益追求をして、その利益でもってクレジットを買って埋め合わせていくほうが楽でいい」というケースも出てくるかもしれません。

 そうならないために前提となるのは、やはり「CO2排出を削減するのだ」という努力です。その努力が主であり、従ではない。ここは常に外してはいけない点だと思います。

 それから、エネルギー安全保障との関係があります。例えば、本当に風が吹かなかったらどうするか。202...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文

人気の講義ランキングTOP10
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
独裁の世界史~未来への提言編(1)国家の三つの要素
未来を洞察するために「独裁・共和政・民主政」の循環を学べ
本村凌二
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(8)秀長の死の影響と秀吉政権の瓦解
「家康対奉行」の構図は真っ赤な嘘!? 秀吉政権瓦解の真相
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIは間違いが分からない…思考で大事なのは訂正可能性
中島隆博
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓