「危機の時代」の気候変動
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
CO2排出削減へ技術革新の二本柱は「EVと水素」
「危機の時代」の気候変動(3)技術革新とEVの普及
小原雅博(東京大学名誉教授)
CO2排出削減の重要なカギを握るのが技術革新である。その大きな柱として挙げられるのが「電気自動車(EV)への転換」と「燃料としての水素の活用」の2つだ。日本はこれまで“カイゼン”を得意とし、技術改良を進めてきたが、今ドラスティックな変化も必要とされている。(全6話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分05秒
収録日:2022年2月16日
追加日:2022年4月21日
≪全文≫

●カイゼンか、ドラスティックな変化か


―― 今まで日本の場合は、例えば脱石炭については高効率石炭火力発電を進めたり、あるいは再生可能エネルギーについてはハイブリッドを進めるなど、ドラスティックな変化というよりは、「今までより良くする」という“カイゼン”的な取り組みでやってきたと思います。ですが、もはや“カイゼン”レベルではなく、ドラスティックに全てを変えていくというようにギアチェンジしたと見たほうがいいでしょうか。

小原 私は日本の強みの1つは“カイゼン”だと思います。一気に再生可能エネルギーにはもっていけません。今も述べたように(第2話)、電力供給の安定性は非常に重要です。今もエネルギー危機とまでいわれるように、石油にしろ天然ガスにしろ、化石燃料価格が非常に上がっている。そういった中で電力の安定供給、特に電力のバックアップといったことになると、どうしても天然ガスなどに頼らざるを得ない面があります。

 そうした難しい状況の中で、日本としては、やはりエネルギー効率を上げていく必要があります。そうした技術革新は日本が非常に得意です。また同時並行的に、そのカイゼンも行う。そして同時に、新しいエネルギーである再生可能エネルギーへの転換も急ぐ。その全てが必要だと思います。

―― ありがとうございます。


●ガソリン車から電気自動車への転換


小原 CO2排出をどう削減していくかについて、きわめて大事になってくるのが「技術革新」です。「技術革新」を取り上げるとき、ポイントが2つあると思います。

 1つは電気自動車(EV)です。独自動車大手メルセデス・ベンツの社長による「EVファーストからEVオンリーに動いていく」という言葉に象徴されるように、将来的には電気自動車がこれまでのエンジン自動車に取って替わるでしょう。そうした流れが今、できあがっていると思います。

 COP26でもイギリスが「主要市場は2035年までに、世界は2040年までにエンジン車の販売を終了しましょう」と提案しました。こうした提案に対して、世界24カ国とアメリカのGMなど自動車メーカーが賛同しています。

 今、電気自動車の市場はどうなっているかというと、世界の販売台数はテスラが圧倒的に世界一です。2021年は93万台という数字もあります。右の写真はもっとも売れている「モデル3」です。

 ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎