地球温暖化問題~温室効果と異常気象
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台風予測の精度がスーパーコンピュータで飛躍的に上がる
地球温暖化問題~温室効果と異常気象(3)季節予報の精度向上へ
住明正(理学博士/東京大学名誉教授/東京大学未来ビジョン研究センター 客員研究員)
近年、強い大型台風やゲリラ豪雨が頻発し、毎年、大きな被害を出している。2~3週間先、あるいは1カ月から半年前後の時間スケールで、より正確な気象予報ができれば、そうした災害対策にも有用性は高い。地球温暖化予測の研究をそうした短期予測に応用することで、何が見えてくるのか。国立研究開発法人国立環境研究所理事長・住明正氏のシリーズ「地球温暖化問題」第3回。(全4話中第3話目)
時間:9分58秒
収録日:2015年9月28日
追加日:2015年12月7日
≪全文≫

●短期の季節予報への活用


 ただ、「50年先、100年先もいいけれど、もっと利益につながる話をしろ」というのが最近の風潮でもあります。それで結局、人間というものは、また現代のビジネス社会においては、やはり100年先、200年先を考えるというよりも、半期、半年、1年といった期間の収益を基本的には考えています。そういう中で、長期のことを言っても、ほとんど行動指針にはならないのが現実です。やはり、長期の話をすると同時に短期的な目標を出してかないと、なかなか社会は変わっていかないというのが、われわれの実感です。

 そういう観点で、現在われわれの気象・気候の分野では、1カ月から半年前後の時間スケールの予測情報が、非常に大事なのではないかと考えています。それは、たかだか半年や1カ月と言いますが、やはり1カ月先が分かっていれば非常に役に立ちます。例えば、特に発展途上国等インフラの弱い所ではやはり台風の発生などが非常に重大で、2週間前でも1週間前もいいので事前に分かっていれば、それなりに対応がとれるわけです。そういう点では、やはり短期とはいえ、1カ月程度の予測は非常に大事だと考えています。

 そういう観点で、最近、とても大きな発展があります。日本では京コンピュータなどの大きな計算機も導入され、台風などの擾乱のエンジンとなる積乱雲なども十分に表現できる全球モデルが可能になってきました。それを使って計算してみると、思いのほか熱帯域の大きな変動がよく再現できることが分かってきました。

 皆さん、お気づきと思いますが、台風にしても、のべつ幕なしに出るわけではなく、あるとき台風が発生したら、少し休んで、また次の台風が発生するというように、熱帯の気候はいつも同じというわけではありません。およそ約1カ月から1カ月半程度の時間スケールで大きく変わっています。

 それは、地球規模の変動で、40~60日ぐらいかけて地球を一周します。そこで、発見者の名前を冠して「マッデン・ジュリアン振動」と呼んでいます。その変動を予測すると、それに伴って起きるような台風の発生などが割と予測できることが最近の結果で分かってきました。


●2~3週間先の台風発生を予測する


 実際の長期予報の基本は、地球規模の大きな流れによって、天候のベースを予測します。雨や低気圧などが、どこで起きるか、どのぐらいの...

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