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DATE/ 2024.02.28

「ベルマーク」は今も集められているのか?

 「PTA活動」と聞いて、みなさんはどんなイメージがあるでしょうか。保護者が積極的に学校に関わるものとして評価すべき活動ではと思う反面、働いている保護者にはちょっと負担になっているという面は否めませんよね。

 そんなPTA活動の一環として、特に古くから行われているのが「ベルマーク集め」。参加しないのは感じが悪い、しかしとにかく時間が取られて悩ましいと思っている人も多いはず。これは本当に必要なのでしょうか。そもそも、今も集められているのでしょうか。ベルマークとは何なのかというところから考えてみましょう。

いつからどんな活動をしている?

 ベルマーク教育助成財団の年表を見ると、1960年に、へき地にある学校の教育設備の整備・充実を目的とする「財団法人教育設備助成会」(現・ベルマーク教育助成財団)が設立、翌1961年に全国のPTAに運動の参加を呼びかけたことからベルマーク運動が広がったようです。

 活動としては、1984の「三宅島噴火(83年10月)の被災校を支援、2002年には「緊急友愛援助」でアフガンの戦災孤児救済、といったように現在では初期の枠組みを越えているようです。かなり本格的なボランティア団体ですよね。

ベルマークは集めるとどうなる?

 ベルマーク教育助成財団によると、お金の流れは次の通りです。ベルマーク運動には、2つの機能があり、1)自分たちの学校づくり、 2)困っている地域の教育を支援、となる仕組みです。

 まず「協賛会社」が商品に付けているマークを登録参加のPTAや公民館などが集め、整理・計算して財団に送ると1点につき1円に換算されてベルマーク預金になります。その預金で、自分たちの学校に必要な設備や教材が「協力会社」から購入でき、その購入金額の10%が自動的に財団に寄付、そして厳しい環境にある学校や特別支援学校の支援、アジアの子どもたちを助けるNPOへの支援などに使われます。

 つまり、自分たちの学校で使う備品を買うことが、他の地域の教育を支援することにもなる、というたいへん考えられた仕組みになっています。

ベルマーク活動はなぜなくならないのか

 ベルマーク教育助成財団のホームページを見ると、「大台達成校アンケート」というコーナーに比較的多く集めている学校の情報が掲載されています。ざっと見るだけで50万点から多いところでは1500万点集めた学校もあるようです。

 ベルマークの仕分け作業はそもそもたいへんな労力を要する作業で、この点数の背景に保護者たちの苦労まで含まれていると考えると、簡単にやめるわけにはいかないという点も頷けます。

<参考サイト>
・ベルマーク教育助成財団
http://www.bellmark.or.jp/
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小原雅博
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