テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.02.28

毎年600億円が消える…休眠口座に要注意!

 使わずに放置している口座、ありませんか?子どもの頃に親が作ってくれた口座、高校生の頃にアルバイト先に指定されて作った口座、就職のときに給与受け取りのために作った口座……これまで、さまざまな機会で口座を開設してきたものの、今では使わずに放置している口座があるのではないでしょうか。なかには引っ越しのときに通帳がでてきた、突然手紙が届いて親が作ってくれた口座があったと知ったなど、本人が忘れている、知らない口座があることも少なくありません。

 10年以上資金の出し入れがない口座は「休眠口座」と呼ばれていて、最近注目を集めています。今回は誰もが持っている可能性の高い休眠口座について考えていきます。

600億円にものぼる休眠預金

 休眠口座には、数百円だけ入っていて使われていない口座もあれば、名義本人が死亡したあとで家族が口座を把握しておらず、相続されていない口座も含まれています。こうした休眠口座の預金の総額は、なんと年間で約900億円、払い戻しが行われたあとでも600億円にものぼっているのです。

 なぜこれだけの休眠預金が生まれているのでしょうか。日本銀行の発表によると、2017年9月時点、国内銀行で開設されている個人の口座数は7億口座を超えています。日本の人口が1億人強なので、平均して一人あたり7つ以上の口座を持っている計算になります。日本の銀行は手数料がかからないために気軽に口座を開設できますが、数が増えすぎた口座を管理するのは難しいです。休眠預金が莫大な額になっているのは、こうした背景から忘れられた口座があることも一因だと考えられます。

休眠預金は消えてしまう?

 では、休眠預金となったその600億円はどこへいってしまうのでしょうか?これまで休眠預金は金融機関の利益として計上されていましたが、2018年1月に休眠預金等活用法が施行され、社会貢献活動を行う団体への融資や助成に活用されることになりました。

 ここで心配してしまうのが「休眠口座になったら預金は消えてしまうのか」ということですが、口座のお金が消えてしまうわけではありません。休眠口座になったあとでもお金を引き出すことはでき、引き出されたお金は銀行の損失として計上されます。しかし、ゆうちょ銀行では、民営化前に預けた郵便貯金は最後の取り扱い日から20年2ヶ月が過ぎると権利が消滅してしまう場合もあるので、注意が必要です。

 休眠口座の権利は消えることがないとはいえ、2017年末には3メガバンクが口座維持手数料の導入を検討するなど、今後は休眠口座を持つことで損をする可能性も出てきています。自身の財産管理をきちんと行うためにも使わない口座は解約手続きをすることが大切です。一度、口座を整理してみてはいかがでしょうか。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視

ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視

第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?

「第二次トランプ政権は、第一次政権とは全く別の政権である」――そう見たほうが良いのだと、柿埜氏は語る。ついつい「第1次は経済重視の政権だった」と考えてしまいがちだが、実は第2次政権では「経済」の優先順位は低いのだと...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/10
柿埜真吾
経済学者
2

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

デモクラシーの基盤とは何か(2)明治日本の惑溺と多元性

アメリカは民主主義の土壌が育まれていたが、日本はどうだったのだろうか。幕末の藩士たちはアメリカの建国の父たちに憧憬を抱いていた。そして、幕末から明治初期には雨後の筍のように、様々な政治結社も登場した。明治日本は...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/16
3

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

編集部ラジオ2025(8)会員アンケート企画:トランプ関税

会員の皆さまからお寄せいただいたご意見を元に考え、テンミニッツTVの講義をつないでいく「会員アンケート企画」。今回は、「トランプ関税をどう考える?」というテーマでご意見をいただきました。

第2次トランプ...
収録日:2025/05/07
追加日:2025/05/15
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

今や化学兵器の主流…「バイナリー」兵器とは?

今や化学兵器の主流…「バイナリー」兵器とは?

医療から考える国家安全保障上の脅威(3)NBC兵器をめぐる最新情勢

2006年ロシアのKGB元職員暗殺には「ポロニウム210」というNBC兵器が用いられた。これは、検知しやすいγ線がほとんど出ない放射線核種で、監視の目を容易にすり抜ける。また、2017年金正男氏殺害に使われた「VX」は、2種の薬剤を...
収録日:2024/09/20
追加日:2025/05/15
山口芳裕
杏林大学医学部教授
5

生と死が明確に分かれていた…弥生人が生きていた世界とは

生と死が明確に分かれていた…弥生人が生きていた世界とは

弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(9)弥生人の「生の世界」

弥生時代の衣食住には、いったいどんな文化があったのだろうか。土器やスタンプ痕の分析から浮かび上がる弥生人が生きていた世界、その生活をひもとくと、農耕の発展の経路や死生観など当時のさまざまな文化の背景が見えてくる...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/14
藤尾慎一郎
国立歴史民俗博物館 名誉教授