テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.03.12

電車での居眠り…体に良い?悪い?

 なぜか電車に乗っていると眠くなります。ガタンゴトン、ガタンゴトンと揺れるリズムが気持ちいいからでしょうか。

 眠った後、なぜか目的の駅で起きることができます。電車で居眠りは謎だらけ。ただの謎で済めばいいのですが、実は電車で居眠りは体に悪いという噂も。さて、真相はいかに。

なぜ、電車に乗っていると眠くなるのか

 そもそもなぜ電車に乗っていると眠くなるのか。不眠とつきあう方法を提案するフミナーズというウェブメディアでは、さまざまな睡眠に関する話題が取り上げられているのですが、そのひとつに「電車で寝過ごすのには2つの理由があった」という記事があります。

 その記事で、東京睡眠医学センターの院長・遠藤拓郎さんは電車で眠くなる理由について、「暖かさ」と「揺れ」を挙げています。

 でも、なぜ「揺れ」によって眠くなるのか。電車の揺れが単調であることが秘密のようです。単調な揺れが継続してそれに慣れてくると、2つのことが起こります。

 まず、電車の揺れ以外の刺激を受けにくくなります。さらに、電車の揺れに慣れてくると、電車の揺れによる刺激もだんだん感じなくなります。そうやって、眠りの障害となる外部からの刺激がなくなって、睡眠に最適な状況がつくられていくのだそうです。

なぜ、目的の駅に到着したことに気がつくのか

 もうひとつ、気になるのは、眠落ちした後でもなぜか目的の駅に到着すると起きられるということ。この理由は簡単で、遠藤先生によると、眠りが浅いからだそうです。

 眠りが浅いときは、眠っていてもちゃんと周囲の情報をキャッチしているんですね。逆に、深い眠りモードに入っていると寝過ごしてしまいます。

 寝過ごしたことに目覚めて気づいた時のあの「やってしまった」という心境。想像するのも嫌ですね。とくに終電で寝過ごしたりするともう最悪です。

電車で居眠りは体に悪いか

 同じ記事で遠藤先生は「デキるビジネスマンは電車で寝る!? 通勤を快眠タイムに」として、通勤の電車内で眠ることを推奨しています。

 通勤の電車で眠るのは良い面もあるのですが、その反対に悪影響もあると語るのは国立精神・神経医療研究センターであり睡眠学のスペシャリストの三島和夫さん。三島先生は「プレジデントオンライン」や「日経グッデイ」などの記事で、通勤の電車内で眠ることについて述べています。

 三島先生は朝の出社時の通勤電車で眠ることは、睡眠不足を補えるとして、遠藤先生と同様に推奨しています。ただし、帰りの電車に関しては最悪だとしています。

 帰りの電車で眠ってしまうと夜の睡眠の質を下げてしまうのだそうです。その点、出社時の朝寝は夜の睡眠にほとんど影響しません。夜の睡眠の質が下がると、健康上のリスクがあります。帰りの電車ではいくら眠くても睡魔に負けないでください。なんとか踏ん張って、帰ってから眠るようにしましょう。

眠気対策、睡眠不足対策

 眠気対策、睡眠不足対策は、まず出社の通勤時に朝寝すること。どうしても眠くて我慢できない場合は昼寝すること。そのとき、「できるだけリラックスした姿勢で」、「時間は30分以内」に決め、「直前にコーヒーを飲む」ことを三島先生は勧めています。そうすると、上手に昼寝をすることができるということです。そして、繰り返しますが、帰りの電車では眠らないこと。

 先述した通り、電車のせいで眠くなるのは、単調な揺れのせいなので、単調さを崩すように体を刺激してあげると少しは眠けが失せるかもしれません。遠藤先生も同様のことを指摘しています。

 あらゆる手段で睡眠と戦い、仲良く付き合って行く方法を探っていきましょう。
 
<参考サイト>
・PRESIDENT Online:なぜ"帰宅電車での居眠り"は体に悪いのか
http://president.jp/articles/-/24268?display=b
・日経Gooday:睡眠不足でも、帰りの電車で寝るのはご法度!
http://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/14/091100017/102700013/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

日本の財政と金融問題の現状(4)日本が目指すべき成熟国家への道

機関投資家や経営者の生の声から日本の金融市場の問題点を見ていくと、リスクマネーを供給するための市場づくりや人材育成等の課題が浮き彫りになる。良質なスタートアップ企業を育てるにはどうすればいいのか。今こそアジア的...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/07/01
木下康司
元財務事務次官
2

相互依存で平和は保てるか…EUの深化・拡大の難題とは

相互依存で平和は保てるか…EUの深化・拡大の難題とは

地政学入門 ヨーロッパ編(9)EUの深化・拡大とトルコの問題

国際政治の理論として国同士の経済交流、相互依存が安全保障、つまり平和を維持できると伝統的に考えられてきたが、今般の国際政治ではそれは必ずしも当てはまらないようだ。そこでEUの問題である。国の垣根を越えて世界国家に...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/06/30
小原雅博
東京大学名誉教授
3

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ

反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28
柿埜真吾
経済学者
4

江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事

江藤淳と加藤典洋――AI時代を生きる鍵は文芸評論家の仕事

AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(1)AIに代わられない仕事とは何か

昨今、生成AIに代表されるようにAIの進化が目覚ましく、「AIに代わられる仕事、代わられない仕事」といったテーマが巷で非常に話題となっている。では、AIに代わられない事とは何であろうか。そこで、『江藤淳と加藤典洋』(文...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/06/25
與那覇潤
評論家
5

寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由

寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由

睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション

私たちに欠かせない「睡眠」。そのメカニズムや役割についていまだ謎も多いが、それでも近年は解明が進み、私たちの健康に大きく関与することが明らかになっている。まずは最新情報を盛り込んだ睡眠が果たす5つの役割を紹介し、...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/06/05
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授