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裁判員に選ばれたら一体どうなる?
2018年5月21日で、裁判員制度が施行から9年を迎えました。この制度は「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」により、国民から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加するもの。これによって裁判が国民にとって身近な存在となり、より理解しやすくなるとの考えで導入されました。2018年の3月末までに8万3401人が裁判員や裁判員の補欠要員である補充裁判員に選ばれています。
しかし現在、裁判員候補者の辞退率は過去最高の66.0%、選任手続きの出席率は過去最低の63.9%となっており、多くの人が「かかわりたくない」と感じていることがうかがえます。
ではそもそも、裁判員はどのようにして選ばれるのでしょうか。そのプロセスは次のようなものです。まず秋ごろ、地方裁判所ごとにくじ引きで選ばれた翌年の裁判員候補者名簿がつくられます。そして11月ごろ、この名簿に登録された候補者に通知が届きます。これは裁判員に選ばれる候補になったことを知らせるものなので、まだ裁判に参加するかはわかりません。辞退はこのタイミングから可能です。
翌年になると、裁判員裁判を実施する事件ごとに候補者名簿からくじ引きが行われ、裁判員候補者が選ばれます。この候補者に選任手続きの期日を記載した「呼出状」が送られ、辞退をしなかった候補者は期日に裁判所へ行きます。ここで裁判官と面談を行い、最終的に裁判員と補充裁判員が決定します。
選任手続きを無断欠席すると10万円以下の罰金と定められていますが、実際に適用されたことはありません。これが選任手続きの出席率低下につながっていると考えられます。
多くの人が心配なのは、裁判員裁判に参加するという理由で仕事が休めるのかという点でしょう。しかし現在では、ほとんどの企業がこれを認めています。特別有給を出してくれる場合もあるので、裁判員になったことは上司や人事にきちんと報告するのが得策です。
また、自分の身元が被告人に知られて報復されるのではないかと心配な人も多いでしょう。しかし裁判員の氏名や住所は非公開なので、他人に知られることはありません。被告人や事件関係者が裁判員に接触することも法律で禁じられており、裁判員の安全は確保されています。あまり心配せず、裁判員としての職務を果たしてください。
裁判員裁判で扱う事件は重い犯罪が対象ですが、たとえば殺人であってもきっかけはちょっとした言い合いのようなささいなものがほとんど。少し譲り合えば避けられたはずのことで被害者も被告人も人生が大きく狂ってしまったという事実を、裁判員は細部まで吟味して量刑を決めるのです。
この結果、「人生観や価値観が変わった」と語る経験者もいれば、「たくさんの人が裁判員を経験すれば、犯罪はもっと減ると思う」と感じた経験者もいます。実は、裁判員経験者でも年が変わると再び裁判員候補者に選ばれる可能性があるのですが、過去5年以内に裁判員を務めた人は辞退できます。しかし、「再び選ばれたらまた裁判員をやりたい」と考えている裁判員経験者は多いのです。それほどに得られるものが多い裁判員。機会が巡ってきたら思い切って引き受けて、人生の糧にしてください。
しかし現在、裁判員候補者の辞退率は過去最高の66.0%、選任手続きの出席率は過去最低の63.9%となっており、多くの人が「かかわりたくない」と感じていることがうかがえます。
多くの人が裁判員を辞退したいと思っている
その理由は「法律の素人なのに他人を裁くなんて荷が重すぎる」、「仕事が忙しいのに何日も拘束されるのは困る」など。また裁判員裁判は重大性の高い事件が対象なので殺人事件を担当することもあり、その場合は現場写真などの悲惨な証拠品と向き合わなければなりません。このような「心の負担に耐えられる自信がない」という人も多いです。裁判員に選ばれるまで
とはいえ裁判員に選ばれると、そう簡単には辞退できません。20歳以下は対象にならず、70歳以上は辞退できますが、その間の年齢だと重い病気やケガをしているか妊娠しているなど、指定された理由に当てはまらない限り断れないのです。ではそもそも、裁判員はどのようにして選ばれるのでしょうか。そのプロセスは次のようなものです。まず秋ごろ、地方裁判所ごとにくじ引きで選ばれた翌年の裁判員候補者名簿がつくられます。そして11月ごろ、この名簿に登録された候補者に通知が届きます。これは裁判員に選ばれる候補になったことを知らせるものなので、まだ裁判に参加するかはわかりません。辞退はこのタイミングから可能です。
翌年になると、裁判員裁判を実施する事件ごとに候補者名簿からくじ引きが行われ、裁判員候補者が選ばれます。この候補者に選任手続きの期日を記載した「呼出状」が送られ、辞退をしなかった候補者は期日に裁判所へ行きます。ここで裁判官と面談を行い、最終的に裁判員と補充裁判員が決定します。
選任手続きを無断欠席すると10万円以下の罰金と定められていますが、実際に適用されたことはありません。これが選任手続きの出席率低下につながっていると考えられます。
もし選ばれてもあまり心配しなくて大丈夫
裁判員候補者名簿に登録される人数は地域ごとに規模が違うので一定ではありません。2018年の日本全体で23万600人。461人に1人という計算になります。その中から事件ごとに6人の裁判員と2人の補充裁判員を選出することが多いです。このデータを見ると裁判員になる可能性はとても低く感じますが、毎回必ず誰かがなっているのも事実。やはり、選ばれたらどうなるのかという不安はありますよね。多くの人が心配なのは、裁判員裁判に参加するという理由で仕事が休めるのかという点でしょう。しかし現在では、ほとんどの企業がこれを認めています。特別有給を出してくれる場合もあるので、裁判員になったことは上司や人事にきちんと報告するのが得策です。
また、自分の身元が被告人に知られて報復されるのではないかと心配な人も多いでしょう。しかし裁判員の氏名や住所は非公開なので、他人に知られることはありません。被告人や事件関係者が裁判員に接触することも法律で禁じられており、裁判員の安全は確保されています。あまり心配せず、裁判員としての職務を果たしてください。
経験者は「ぜひ引き受けてほしい」と語る
どうしても不安やわずらわしさが先に立ってしまう裁判員ですが、経験した人の多くは「裁判員に選ばれたらぜひ引き受けてほしい」と思っています。裁判員裁判で扱う事件は重い犯罪が対象ですが、たとえば殺人であってもきっかけはちょっとした言い合いのようなささいなものがほとんど。少し譲り合えば避けられたはずのことで被害者も被告人も人生が大きく狂ってしまったという事実を、裁判員は細部まで吟味して量刑を決めるのです。
この結果、「人生観や価値観が変わった」と語る経験者もいれば、「たくさんの人が裁判員を経験すれば、犯罪はもっと減ると思う」と感じた経験者もいます。実は、裁判員経験者でも年が変わると再び裁判員候補者に選ばれる可能性があるのですが、過去5年以内に裁判員を務めた人は辞退できます。しかし、「再び選ばれたらまた裁判員をやりたい」と考えている裁判員経験者は多いのです。それほどに得られるものが多い裁判員。機会が巡ってきたら思い切って引き受けて、人生の糧にしてください。
<参考サイト>
・産経ニュース:裁判員制度、施行9年 辞退率が過去最高の66%
https://www.sankei.com/affairs/news/180520/afr1805200017-n1.html
・裁判員制度 裁判員制度の紹介
http://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/index.html
・産経ニュース:裁判員制度、施行9年 辞退率が過去最高の66%
https://www.sankei.com/affairs/news/180520/afr1805200017-n1.html
・裁判員制度 裁判員制度の紹介
http://www.saibanin.courts.go.jp/introduction/index.html
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