社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
今の小学生は「視力1.0未満」が〇割超!
スマホを用いた育児(スマホ育児)に関してはさまざまな意見が出ており、感情的な反発から医学的検証までさまざまな論点があります。また「子供とスマホ」に関しては、デジタルデバイスの過度な利用による視力低下という問題もあるようです。この視力の問題もスマホ育児の延長線上にある問題と考えていいかもしれません。ここで何が起こっているのか見てみましょう。
この子供の視力低下の問題に関しては、日経新聞の取材に対して、日本小児眼科学会の前理事長で川崎医療福祉大の田淵昭雄名誉教授は、「幼いころからスマホなどの画面を長時間近くで見ていることが原因。家庭内でルールを作ったり、なるべく外で遊ばせたりして、目を酷使させないでほしい」とコメントしています。
その理由は、簡単にいえば、いつも近くを見ていると、手前を見やすいように目が順応するからです。いつも手元を見ていると、眼球全体の屈折力(目の度数)が手元よりに変化するのです。実験では、狭い空間で育てたヒヨコが近視化することがわかっています。
仮性近視(単に調節力が働いたままの状態)であれば、トレーニングや点眼治療で回復できます。しかし状態が長く続き、眼軸長(目の前後の長さ)が伸び、眼球全体の屈折力(目の度数)が固定してしまった場合、回復が期待できません。こうなる前にしっかりした習慣づけが必要です。
なるべく画面をみないことが望ましいようですが、現代的生活ではそうもいかないですよね。しかし、景色や星空をぼーっと眺めるだけでも毛様体筋を弛緩させる効果があるそうです。また運動したり、散歩して体を動かしたりすることも、毛様体筋や目を動かす外眼筋にいい影響があります。もちろん、早寝早起き、栄養バランスの良い食事に気をつけることも忘れてはなりません。
子供の視力は低下している
平成27(2017)年度の文科省の調査によると、裸眼視力1.0未満の割合は、小学生で30.97%、中学生は54.05%、高校生は63.79%となっており、各学校段階で徐々に増加します。この数字は前年度と比較すると各学校段階で微増しています。また10年前の平成17(2007)年度の調査では、小学生は、26.46%、中学生は47.77%、高校生は58.42%、となっています。つまり、この10年で、小学生はプラス4.51%、中学生はプラス6.28%、高校生はプラス5.37%とどの学校段階でも増えていることがわかります。スマホの普及は2010年以降に加速
総務省の調査(2016年)によると、スマートフォンは2010年の時点での世帯保有率は9.7%でしたが、翌2011年には29.3%、2012年には49.5%と急速に普及し、2016年では71.8%となっています。ちなみにソフトバンクがiPhoneを販売し始めたのは2008年、ドコモが日本で初のAndroid搭載スマホを発売したのは翌2009年です。裸眼視力1.0未満の割合は、データのある昭和54年(1979年)から時代を追うごとに少しずつ上昇していますが、特に高校生のデータに限っては平成22年(2010年)から急上昇します。ここから推測してもスマホの普及と子供の視力の低下に関係性はありそうです。この子供の視力低下の問題に関しては、日経新聞の取材に対して、日本小児眼科学会の前理事長で川崎医療福祉大の田淵昭雄名誉教授は、「幼いころからスマホなどの画面を長時間近くで見ていることが原因。家庭内でルールを作ったり、なるべく外で遊ばせたりして、目を酷使させないでほしい」とコメントしています。
なぜスマホで視力が落ちるのか
視力の低下は主に近視によるものですが、近視とは、焦点が網膜の手前で結ばれてしまう状態です。この近視になる原因には「遺伝要因」と「環境要因」がありますが、軽度の近視では「環境要因」が強いと考えられています。この「環境要因」による近視化でもっとも影響を与えているのが、スマホやパソコン、携帯ゲーム機ではないかと思われます。その理由は、簡単にいえば、いつも近くを見ていると、手前を見やすいように目が順応するからです。いつも手元を見ていると、眼球全体の屈折力(目の度数)が手元よりに変化するのです。実験では、狭い空間で育てたヒヨコが近視化することがわかっています。
仮性近視(単に調節力が働いたままの状態)であれば、トレーニングや点眼治療で回復できます。しかし状態が長く続き、眼軸長(目の前後の長さ)が伸び、眼球全体の屈折力(目の度数)が固定してしまった場合、回復が期待できません。こうなる前にしっかりした習慣づけが必要です。
どう予防すればいいのか
近視を予防するにはとにかく目を休ませ、長時間「毛様体筋」を緊張させないことが大切です。そのためには、画面を見るときにできるだけ目との距離をとり、背筋を伸ばした姿勢を心がけること、時々、遠くを見たり、意識的にまばたきをしたりすることも効果があるようです。なるべく画面をみないことが望ましいようですが、現代的生活ではそうもいかないですよね。しかし、景色や星空をぼーっと眺めるだけでも毛様体筋を弛緩させる効果があるそうです。また運動したり、散歩して体を動かしたりすることも、毛様体筋や目を動かす外眼筋にいい影響があります。もちろん、早寝早起き、栄養バランスの良い食事に気をつけることも忘れてはなりません。
<参考サイト>
・文部科学省:学校保健統計調査-平成27年度(確定値)の結果の概要 調査結果の概要
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2016/03/28/1365988_03.pdf
・総務省:情報通信機器の普及状況 第2部 基本データと政策動向
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc262110.html
・日本経済新聞:小学生の視力低下止まらず 1.0未満が30.9%に スマホなど原因か
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H5A_S6A120C1CR8000/
・文部科学省:学校保健統計調査-平成27年度(確定値)の結果の概要 調査結果の概要
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2016/03/28/1365988_03.pdf
・総務省:情報通信機器の普及状況 第2部 基本データと政策動向
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc262110.html
・日本経済新聞:小学生の視力低下止まらず 1.0未満が30.9%に スマホなど原因か
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H5A_S6A120C1CR8000/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
チベット、内モンゴル、新疆ウイグルなど、少数民族に対する深刻な人権侵害をめぐって欧米諸国から強い批判を浴びている中国。しかし、こうした人権問題は今に始まったことではない。中華人民共和国建国の経緯と中国共産党の思...
収録日:2021/10/15
追加日:2021/12/24
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
高度成長のために頑張った日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の評価を得たが、その後の日本企業の凋落、競争力の低下を考えると、その弊害を感じずにはおられない。読書人口が減っている現状をみると、いつのまにか「世界...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/12/01
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントが世界的に普及し始めたのは1990年代。ソフトウェア産業の発展とともに拡大を続け、時代のニーズを受けて多くのシーンに定着してきた。今回は、その基本に立ち返り、国際標準をもとに、プロジェクトと...
収録日:2025/09/10
追加日:2025/12/03
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
歴史上の出来事の本質を知るには、その真贋を見定めなければいけない。そのためにはどうすればいいのか。記述の異なる複数の本がある場合、いかにして真実を見極めるか。また、司馬遼太郎の作品が「歴史事実」として認識されて...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/12/02
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
お酒やコーヒーなど世の中には睡眠に良くないのではないかといわれるものがある。また、現代においては特に、スマホの「ブルーライト」が睡眠には大敵だといわれているが、それらは本当に悪者なのか。一般に良い睡眠を妨げると...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/30


