社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.10.20

残業時間ランキング―最も残業の多い職種は?

 求人票では勤務時間が「9時~17時(くじごじ)」と書いてあっても、残業なしで帰れる日なんてないよ...という会社員の皆さんもたくさんいることでしょう。果たして自分の残業は他の会社、仕事と比べて多いのか、それとも少ないのか。転職サービス「doda(デューダ)」が15,000人のデータから124の職種に分類し、残業時間ランキングを発表しました。

残業時間が長いのは需要が高い証拠?

 それによると、残業がもっとも多いのはゲーム(制作・開発)で45.3時間。2位がインターネット/広告/メディアで42.4時間。ゲームの開発やインターネット/広告/メディアなどはユーザーからの需要が高い分野で、ある種、現代の花形とも言える仕事かもしれません。今回の調査では大きな「ゲーム」というくくりでしたが、特にモバイルゲーム市場はiPhoneが登場した2007年以降毎年2桁の伸びをマーク。日本だけでも2018年の市場規模は約2兆円と予測されています。それだけに仕事量が多く、残業時間も長くなってしまうということなのでしょう。

 3位につけたのは建築施工管理の41.5時間。5位にも同じ建築業界の設備施工管理が39.4時間でランクインしました。どちらも建設業界が好況というのが大きな要因。2020年の東京五輪はもちろん、老朽化が進んだインフラの更新工事も需要が根強いと見られています。

 一方、残業時間が短いのは、1位から経理事務・財務アシスタントの11.1時間、秘書/受付(11.6時間)、医療事務(12.1時間)。どの仕事も比較的定時に近い時間に上がれる傾向が強いと言えそうです。ただ、経理や秘書は業務の繁忙期には仕事量も増えるというケースも多いので、「残業が短くてラクチン」とはいかないでしょう。

プレ金、ノー残業デー実施率は?

 今では死語でしょうか?以前は「花金」なんて言葉もありましたが、働き方改革や消費拡大を狙って2017年から「プレミアムフライデー(プレ金)」が始まりました。実施から1年たった今年2月、経済産業省が調査したところ、「実際に早帰りした人は1割、取り組んだ企業は800社」にとどまっていたのだとか。「プレ金」の先輩格(?)、ノー残業デーに関しては市場調査会社のマーシュが行った調査によると「制度はあり、実施されている」企業が23.4%。ただしプレ金もノー残業デーも他の日にしわ寄せが及び残業時間が結局減らないという声が出ているのも事実です。

 冒頭のdodaのアンケートとは調査主体が違うため単純に比較することはできませんが、国家公務員が月平均100時間以上の残業をしている可能性がある、という研究レポートもあります。国家公務員が働き方改革の見本になるどころか、超絶ブラックとも言える環境で働いている日本。改革が実現するのはまだまだ先になりそうですね。

<参考サイト>
・doda:残業時間ランキング
https://doda.jp/guide/zangyo/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制

「バイアスがかかる」と聞くと、つい「ないほうが望ましい」という印象を抱いてしまうが、実は人間が生きていく上でバイアスは必要不可欠な存在である。それを今井氏は「マイワールドバイアス」と呼んでいるが、いったいどうい...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/09
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
2

日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?

日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?

内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か

アメリカは一体どうなってしまったのか。今後どうなるのか。重要な同盟国として緊密な関係を結んできた日本にとって、避けては通れない問題である。このシリーズ講義では、ほぼ1世紀にわたるアメリカ近現代史の中で大きな結節点...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/10
3

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム

デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム

初めて会った人なのになぜか好意を抱いてしまうことがある。だが、なぜそうした衝動が生じるのかは疑問である。デカルトが友人シャニュに宛てた「愛についての書簡」から話を起こし、愛をめぐる精神と身体の関係について論じる...
収録日:2018/09/27
追加日:2019/03/31
津崎良典
筑波大学人文社会系 教授
4

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題

保守的な軍国化によって、内戦への機運が高まっているアメリカだが、MAGAと極左という対立図式は表面的なものにすぎない。その根本に横たわっているのは白人とユダヤ人という人種の対立であり、それはカーク暗殺事件によって露...
収録日:2025/09/24
追加日:2025/11/06
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
5

「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの

「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの

徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために

10年の修行で自我を手放し宇宙と一体化する境地に達すると、自分中心からホリスティックな視点に変わり、物事の表と裏の共通点が見えてきて、その本質がつかめるという田口氏。人生は常に新たな命題を解き明かし続ける旅である...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/11/08