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日本は世界何位?人口、寿命、教育で比較してみた
ここ数年、テレビや書籍、さらにはネットなどで、「日本礼賛」モノを見かけることが多くなった気がします。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。
人口や平均寿命、産業国内総生産に国民総所得、さらには民主主義度や幸福度から、文化や教育に関するさまざまなデータや数値を比較しつつ、世界における日本のランキングをみていきたいと思います。
しかしその一方で、少子化も11位・女性一人当たりの平均出産子ども数1.45人(2015)と高く、同様に人口増加率は低い国として16位・変化率-1.8%(2010-20)となっています。
そのため、中位数年齢(人口を年齢順に並べた際、その中央で人口を2等分する境界の年齢)も1位・46.3歳と高く、かつ、老年齢率(70歳以上の人口割合)も2位・18.9%(2015)と高度な少子高齢化社会を表しています。
さらにGDPの要となる、製造業とサービス業のランキングと金額をピックアップ。工業生産額の大きさ3位・12,240億ドル(2015)、製造業生産額の大きさ3位・8,510億ドル(2015)、サービス業生産額の大きさ3位・35,280億ドル(2015)とすべてベスト3入りを果たしてはいますが、工業生産額ならびに製造業生産額1位中国、2位アメリカ(サービス業生産額の1位アメリカ・2位中国)の大国と大きな差がついています。
具体例として製造業の主要商品である自動車についてみてみると、販売台数3位・5,046,511台(2015)、同じく生産台数3位・9,278,238台(2015)と上々ではありますが、しかしこちらの数値も、1位中国、2位アメリカに大差で後塵を拝する結果となっています。
そして、他方の大きな課題として、GDP比における政府債務が1位・233.7%(2016)となっている現状もあります。これらのことを検証すると、正しい生産性の見直しならびに向上、および財政の適切かつ大胆な運用の転換が求められます。
そのうえで、社会の安定の基盤ともいえる民主主義に関する数値をみてみると、民主主義の高さは18位・75.5(最も民主的=100、2016)とベスト20位入りのまずまずの結果が出ていますが、民主主義の基本を支える国民議会選挙の投票率は158位・52.66%(2014)であり、かつジェンダー・ギャップ指数114位・0.657(2017)と残念な結果となっています。
さらに生活の根幹である、安全な食の供給についても、主要農産物5品目中安定している産物は米の13位・8,044千トン(2016)だけで、ほかの4品目である大豆は22位・238千トン(2016)、ジャガイモは27位・2,158千トン(2016)、小麦は56位・791千トン(2016)、とうもろこしに至ってはそれ以下のランク外となっており、不足分の多くを輸入にたよっています。
また、インフラの土台といえる、エネルギーの原材料である石油の消費は4位・4,037千バレル(2013)でありながらも国内供給はほぼ無理なため、こちらも大半を輸入に依存しています。そのうえ、二酸化炭素排出の多さも5位・11.912億トン(2016)と、他国の資源に依存しつつ、地球環境に負担をかけている現状がうかがえます。
なお、国民の健康と安全を守るための要である医療費と防衛費については、対GDP比の医療費支出は18位・10.2%(2014)、国防費は6位・473億ドル(2016)となっています。
まずは文化と娯楽に関する項目として、書籍出版は人口百万人当たりの新刊点数が26位・603冊(2015)、新聞(日刊紙)の発行数・3位44.2百万部(2015)、映画館動員数は8位・161.1百万人(2015)。そして、観光立国をめざす日本の訪問観光客数は16位・19,737千人(2015)、観光収入は13位・273億ドル(2015)に対し、観光支出は11位・232億ドル(2015)となっています。
教育関連ついては、初等教育における在学者一人当たり学校教育費は14位・9,062ドル(2014)、同様に初等教育における教員一人当たり生徒数18位・17.8人(2010)と、まずは標準的な順位となっているといえます。しかし、国内総生産に対する学校教育費における公財政支出教育費は35位・3.2%(2014)は、データのあるOECD加盟各国中最下位という大変残念な結果となっており、早急な改善が求められます。
いかがでしたでしょうか。世界と比較したデータで細かくみていくと、よい面と同時に課題も多くみえてきます。もちろん、祖国に誇りと愛着を抱くことはとても大切で重要なことです。その志をさらに高めて生かすためも幅広い視野をもち、正確で新しい情報を常に内部に取り込める柔軟性や客観性も育んでいきたものです。
人口や平均寿命、産業国内総生産に国民総所得、さらには民主主義度や幸福度から、文化や教育に関するさまざまなデータや数値を比較しつつ、世界における日本のランキングをみていきたいと思います。
人口=多・平均寿命=高、しかし少子高齢化は深刻
まずは人口と平均寿命からみてみましょう。人口の多さは11位・126.7百万人(2017)と上位であり、平均寿命の長さは堂々の1位・84歳(2015)という長寿大国といえるデータが出ています。しかしその一方で、少子化も11位・女性一人当たりの平均出産子ども数1.45人(2015)と高く、同様に人口増加率は低い国として16位・変化率-1.8%(2010-20)となっています。
そのため、中位数年齢(人口を年齢順に並べた際、その中央で人口を2等分する境界の年齢)も1位・46.3歳と高く、かつ、老年齢率(70歳以上の人口割合)も2位・18.9%(2015)と高度な少子高齢化社会を表しています。
GDP・製造業・サービス業=良、ただし課題あり
次は経済や産業の動向を取り上げます。産業国内総生産(GDP)の高さは3位・4,947,359百万ドル(2016)で、購買力平価で換算したGDPも4位・5,266,443百万ドル(2016)と上位にランクインしています。ただし、一人当たり国民総所得(GNI)は22位・38,000ドルとGDPに比べて低い結果となっています。さらにGDPの要となる、製造業とサービス業のランキングと金額をピックアップ。工業生産額の大きさ3位・12,240億ドル(2015)、製造業生産額の大きさ3位・8,510億ドル(2015)、サービス業生産額の大きさ3位・35,280億ドル(2015)とすべてベスト3入りを果たしてはいますが、工業生産額ならびに製造業生産額1位中国、2位アメリカ(サービス業生産額の1位アメリカ・2位中国)の大国と大きな差がついています。
具体例として製造業の主要商品である自動車についてみてみると、販売台数3位・5,046,511台(2015)、同じく生産台数3位・9,278,238台(2015)と上々ではありますが、しかしこちらの数値も、1位中国、2位アメリカに大差で後塵を拝する結果となっています。
そして、他方の大きな課題として、GDP比における政府債務が1位・233.7%(2016)となっている現状もあります。これらのことを検証すると、正しい生産性の見直しならびに向上、および財政の適切かつ大胆な運用の転換が求められます。
社会の安定と生活水準の維持に対する不安
つぎに、幸福度や生活の質(QOL)を見てみましょう。まずは近年話題となっている国連の発表する「世界幸福度ランキング」は54位・5.915(2018)で昨年の51より後退する結果となりました。また、QOLに深く関係している、人間開発指数の高さは17位・90.3(2015)、不平等調整済み人間開発指数21位・79.1(2015)と、どちらもGDPの順位に対してあまり芳しくない順位となっています。そのうえで、社会の安定の基盤ともいえる民主主義に関する数値をみてみると、民主主義の高さは18位・75.5(最も民主的=100、2016)とベスト20位入りのまずまずの結果が出ていますが、民主主義の基本を支える国民議会選挙の投票率は158位・52.66%(2014)であり、かつジェンダー・ギャップ指数114位・0.657(2017)と残念な結果となっています。
さらに生活の根幹である、安全な食の供給についても、主要農産物5品目中安定している産物は米の13位・8,044千トン(2016)だけで、ほかの4品目である大豆は22位・238千トン(2016)、ジャガイモは27位・2,158千トン(2016)、小麦は56位・791千トン(2016)、とうもろこしに至ってはそれ以下のランク外となっており、不足分の多くを輸入にたよっています。
また、インフラの土台といえる、エネルギーの原材料である石油の消費は4位・4,037千バレル(2013)でありながらも国内供給はほぼ無理なため、こちらも大半を輸入に依存しています。そのうえ、二酸化炭素排出の多さも5位・11.912億トン(2016)と、他国の資源に依存しつつ、地球環境に負担をかけている現状がうかがえます。
なお、国民の健康と安全を守るための要である医療費と防衛費については、対GDP比の医療費支出は18位・10.2%(2014)、国防費は6位・473億ドル(2016)となっています。
文化と娯楽、そして教育は?
最後に文化と娯楽、そして教育についてもみていきましょう。まずは文化と娯楽に関する項目として、書籍出版は人口百万人当たりの新刊点数が26位・603冊(2015)、新聞(日刊紙)の発行数・3位44.2百万部(2015)、映画館動員数は8位・161.1百万人(2015)。そして、観光立国をめざす日本の訪問観光客数は16位・19,737千人(2015)、観光収入は13位・273億ドル(2015)に対し、観光支出は11位・232億ドル(2015)となっています。
教育関連ついては、初等教育における在学者一人当たり学校教育費は14位・9,062ドル(2014)、同様に初等教育における教員一人当たり生徒数18位・17.8人(2010)と、まずは標準的な順位となっているといえます。しかし、国内総生産に対する学校教育費における公財政支出教育費は35位・3.2%(2014)は、データのあるOECD加盟各国中最下位という大変残念な結果となっており、早急な改善が求められます。
いかがでしたでしょうか。世界と比較したデータで細かくみていくと、よい面と同時に課題も多くみえてきます。もちろん、祖国に誇りと愛着を抱くことはとても大切で重要なことです。その志をさらに高めて生かすためも幅広い視野をもち、正確で新しい情報を常に内部に取り込める柔軟性や客観性も育んでいきたものです。
<参考文献・参考サイト>
・『世界の統計 2018』(総務省統計局編集、日本統計協会)
・『世界年鑑 2018』(共同通信社編著、共同通信社)
・『世界統計年鑑 2018』(英『エコノミスト』誌編集部編、宮本裕樹訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
・jetro :2015 年 主要国の自動車生産・販売動向
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/fb1244a72d16a4c3/20160068.pdf
・World Happiness Report 2018
https://s3.amazonaws.com/happiness-report/2018/WHR_web.pdf
・Voter Turnout Trends around the World
https://www.idea.int/sites/default/files/publications/voter-turnout-trends-around-the-world.pdf
・内閣府:『共同参画』(2018年1月号)
http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2017/201801/pdf/201801.pdf
・『世界の統計 2018』(総務省統計局編集、日本統計協会)
・『世界年鑑 2018』(共同通信社編著、共同通信社)
・『世界統計年鑑 2018』(英『エコノミスト』誌編集部編、宮本裕樹訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
・jetro :2015 年 主要国の自動車生産・販売動向
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/fb1244a72d16a4c3/20160068.pdf
・World Happiness Report 2018
https://s3.amazonaws.com/happiness-report/2018/WHR_web.pdf
・Voter Turnout Trends around the World
https://www.idea.int/sites/default/files/publications/voter-turnout-trends-around-the-world.pdf
・内閣府:『共同参画』(2018年1月号)
http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2017/201801/pdf/201801.pdf
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