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DATE/ 2018.11.11

50代でも転職可能?成功する人と失敗する人の違い

 転職といえば30代が限界という話をよく聞きます。年齢を重ねれば、錬磨された能力と経験の自信が、プライドの高さと柔軟性に欠けるという視点から、逆にマイナスに働くことが指摘されたりしています。年齢相応に高い年収についても、それに見合った成果が期待できるのか、厳しい評価に晒されることも少なくありません。

 再雇用する経営者サイドにとっては、可塑性が高くコストもおさえられる20代から30代の人材と比較して、40代から50代はハイリスクな人材リソースという見方が定着しているようです。

 しかし、実際はどうなのでしょうか?今回は特に、50代で転職活動をしている、また、転職したという知人のエピソードを集めてみました。

転職について50代の声

 何をもって転職の成功とみるかは、難しいところですが、いくつかの声をもとに検証してみましょう。

・「過度な労働時間、クライアントへのオーバーコミット、パワハラから、スタッフが定着せず、中間管理職としては耐えきれない状況で、転職活動を開始しました。50代を超えているせいか、書類選考がなかなか通らず、消耗しています」(53歳、男性、製造)

・「それなりの規模のゲーム会社でエンジニアをしていたのですが、年齢があがると管理的な業務が多くなり、人間関係もギクシャクしてきたので転職しました。現場でコードにさわれるところを希望して、業界知人情報を頼りに、今の会社に潜り込みました。年収はだいぶ下がりましたが、ゲームがヒットしたときのインセンティブも期待できるので、若い人に囲まれながら、今のところ満足です」(51歳、男性、エンジニア)

・「問題は少なくない職場だったが、田舎の親が倒れて介護のために退職。その3年後にで親が亡くなり、再就職を決意したのが55歳。ここからが大変だった。求人も少なく、応募しても書類選考でNGつづき、自信もなくなってきたところで転職エージェントに相談したところで、よいアドバイスをもらい現職へ。こうしたマッチングは、自分視点ではなかなか難しいと実感した次第」(55歳、男性、生産管理)

・「長らく医療事務のパートを務めていたのですが、子どもの進学にあわせてフルタイムの仕事に就こうとハローワークで探しました。さすがにアラフィフで同じ職種の求人は少なく、応募しても惨敗で...結局、知人のアドバイスもあり、少しは知っている介護系の勉強をして、50歳になって介護職に就けたのですが、最初の職場が家族経営のかなりブラックな環境で...それから、条件としては避けていた夜勤ありの今の職場に再転職しました。大変な職場でもありますが家族の協力もあり、お給料的にはかなりラクになりました」(52歳、女性、介護)

50代転職の成功の鍵

 具体的に話を聞きながらみえてきた、中高年転職の成功・失敗、その明暗をわけるのは、「個人のこだわり」にありそうです。同じ職種や、同じ役職・年収など、過度にこだわらないことがポイントになります。

 自力より他力ということで、転職エージェントを利用すると、いろいろとみえてくることがあるようです。ハローワークでもいろいろとアドバイスがもらえます。新たな領域にチャレンジできるように、スキル・ワークショップ・プログラムもあるので、それらを利用することもよいでしょう。

 取材からみえてきた転職アドバイザーの言葉も含めて少しまとめると、

・これまでの経験が活きる、異業種にも目を向ける!
・こだわりを捨て、あらたな専門性を勉強するか、専門性を求められない職種を探す!
・自力ではなく他力!友人知人、転職エージェントの活用を!
・面接において不利になりかねない転職理由は複合的なものにして本音をいわない!
・転職先が求めている人材像と自分のマッチングポイントを探す!

 50代からは、リストラだけでなく、両親介護、自身の病気やケガのリスクも高まります。突然の失職から転職に際しては、過去の実績にこだわることなく、新たな人生へチャレンジしていけるメンタリティを持つことが転職成功者のカギということができそうです。
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授