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スマホやお金に「除菌」は必要なのか?
除菌グッズや抗菌製品があふれている現在ですが、いったい除菌はどのくらい、もしくは本当に必要なのでしょうか。
今回はスマホやお金といった日々多用する物に付着する菌、さらにはそれらの菌の除菌について、考察してみたいと思います。
2015年にサウジアラビアのキング・アブドゥルアズィーズ大学で行われた研究では、105人の医学生のスマホからコアグラーゼ陰性ブドウ球菌68.6%、バシラス属菌20.0%、黄色ブドウ球菌16.2%、パントエア属菌0.95%、レンサ球菌0.95%といった、食中毒や扁桃炎などの疾患の原因菌を含む多くの細菌が検出されました。
さらに、2017年のエストニアのタルトゥ大学での高校生を対象にして行われた調査からも、便座の約10倍にあたる約1万7000個もの細菌が、スマホに付着していたことが判明しました。
また、キャッシュレスが増えて触る機会が減った人も多いとはいえ、それでも日々手に取ることも多く、同時にたくさんの人に介されるお金も細菌の温床になっているようです。
2013年に工業製品や環境の汚染微生物について調査研究を行っている衛生微生物研究センターが、東京23区内の飲食店や物販店で採取したお金を調査した結果、食中毒の原因菌であるセレウス菌をはじめ、多くの汚染細菌が付着していることが確認されました。
このように、スマホやお金だけでなくあらゆる物には菌が常在していることがわかりますが、医師で「日本うんこ学会」会長の石井洋介氏は「手やスマホに付着している菌のほとんどは無害(人間と共生している“常在菌”と呼ばれる菌)」であるため、スマホだけでなく日常的に触れるものに付着している菌は「一般的には毒性をもたない」と述べています。
同様に、感染免疫学が専門の医師・医学博士で東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏は、「現代の日本では、私たちの生活環境にいて免疫力の強化に働いている細菌も、皮膚の健康を守り、感染症を予防してくれている常在菌も、病気を起こす本当に怖い病原体も、すべてをひっくるめて“バイ菌”扱いし、化学合成された薬剤を使って排除しようと熱心になっている」と、行き過ぎた除菌による免疫力の低下を危惧しています。
そう考えていくと、スマホやお金といった日常に使用する物自体の過剰な除菌や消毒には、健康な人であればそれほど神経質にならなくてよいといえるのではないでしょうか。
例えば、オフィスであれば過剰な菌の放置を防ぐために、定期的にキーボード・電話・電気のスイッチなどのホコリをはらったり拭いたりすることも有効です。他方、図書館に書籍消毒機が設置されていれば利用したり、スマホや財布の中身など日常でよく使う自分の持ち物も定期的に拭くなどメンテナンスしたりすることも、よい試みといえるでしょう。
それらを踏まえたうえで、多くの人にとって最も手軽かつ効果的な“適度な除菌行為”は「手洗い」、具体的には藤田氏の推奨する「両手を軽くこすりながら、流水で10秒間流す」手洗いといえるのかもしれません。適切な手洗いが習慣化できれば、自身に有効な常在菌を保持しつつも有害な菌を排除でき、そのことによって有害な菌をほかに広めないように予防することにも役立ちます。
生物においても社会においても、ますますの多様性が求められている現代。自身の免疫力を高めつつ、菌に抵抗力の少ない人にも配慮できる、化学的知識と社会的良識がより必要となってきています。
今回はスマホやお金といった日々多用する物に付着する菌、さらにはそれらの菌の除菌について、考察してみたいと思います。
日々携帯するスマホとお金、プラス雑菌?
多くの人の日常に欠かせないアイテムとなっているスマホですが、いろいろな研究によってさまざまな細菌が多量に付着していることが判明してきました。2015年にサウジアラビアのキング・アブドゥルアズィーズ大学で行われた研究では、105人の医学生のスマホからコアグラーゼ陰性ブドウ球菌68.6%、バシラス属菌20.0%、黄色ブドウ球菌16.2%、パントエア属菌0.95%、レンサ球菌0.95%といった、食中毒や扁桃炎などの疾患の原因菌を含む多くの細菌が検出されました。
さらに、2017年のエストニアのタルトゥ大学での高校生を対象にして行われた調査からも、便座の約10倍にあたる約1万7000個もの細菌が、スマホに付着していたことが判明しました。
また、キャッシュレスが増えて触る機会が減った人も多いとはいえ、それでも日々手に取ることも多く、同時にたくさんの人に介されるお金も細菌の温床になっているようです。
2013年に工業製品や環境の汚染微生物について調査研究を行っている衛生微生物研究センターが、東京23区内の飲食店や物販店で採取したお金を調査した結果、食中毒の原因菌であるセレウス菌をはじめ、多くの汚染細菌が付着していることが確認されました。
身体にも環境にも菌はあふれている
『菌・カビを知る・防ぐ60の知恵』(日本防菌防黴学会編、化学同人)によると、そもそも私たちが暮らす環境には多種多様な菌が生息しているといいます。そして私たちの身体も「常在菌」とよばれる細菌に覆われており、さらに身体の表面である皮膚にはブドウ球菌やアクネ菌、唾液にはレンサ球菌などがいると述べられています。それらの菌は、特に人の手が触れやすい物や場所、会話やくしゃみなどを通して生活空間に広がりつつ、さまざまな物に付着していきます。このように、スマホやお金だけでなくあらゆる物には菌が常在していることがわかりますが、医師で「日本うんこ学会」会長の石井洋介氏は「手やスマホに付着している菌のほとんどは無害(人間と共生している“常在菌”と呼ばれる菌)」であるため、スマホだけでなく日常的に触れるものに付着している菌は「一般的には毒性をもたない」と述べています。
同様に、感染免疫学が専門の医師・医学博士で東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏は、「現代の日本では、私たちの生活環境にいて免疫力の強化に働いている細菌も、皮膚の健康を守り、感染症を予防してくれている常在菌も、病気を起こす本当に怖い病原体も、すべてをひっくるめて“バイ菌”扱いし、化学合成された薬剤を使って排除しようと熱心になっている」と、行き過ぎた除菌による免疫力の低下を危惧しています。
そう考えていくと、スマホやお金といった日常に使用する物自体の過剰な除菌や消毒には、健康な人であればそれほど神経質にならなくてよいといえるのではないでしょうか。
適切な除菌で免疫力を高め、多様性を育む
ただし、上述した例にもあるように、日常に使う物であっても有害な細菌が全くいないわけではありません。特に、オフィスのキーボードや電話、電車やバス等の手すりやつり革、スーパーの買い物かごや図書館の本など、多くの人が集まる場所で長時間使用する物や不特定多数の人が接触して利用する物には、自他ともに注意やマナーが求められます。例えば、オフィスであれば過剰な菌の放置を防ぐために、定期的にキーボード・電話・電気のスイッチなどのホコリをはらったり拭いたりすることも有効です。他方、図書館に書籍消毒機が設置されていれば利用したり、スマホや財布の中身など日常でよく使う自分の持ち物も定期的に拭くなどメンテナンスしたりすることも、よい試みといえるでしょう。
それらを踏まえたうえで、多くの人にとって最も手軽かつ効果的な“適度な除菌行為”は「手洗い」、具体的には藤田氏の推奨する「両手を軽くこすりながら、流水で10秒間流す」手洗いといえるのかもしれません。適切な手洗いが習慣化できれば、自身に有効な常在菌を保持しつつも有害な菌を排除でき、そのことによって有害な菌をほかに広めないように予防することにも役立ちます。
生物においても社会においても、ますますの多様性が求められている現代。自身の免疫力を高めつつ、菌に抵抗力の少ない人にも配慮できる、化学的知識と社会的良識がより必要となってきています。
<参考文献・参考サイト>
・『菌・カビを知る・防ぐ60の知恵』(日本防菌防黴学会編、化学同人)
・『手を洗いすぎてはいけない』(藤田紘一郎著、光文社)
・“スマホ雑菌” ウイルス感染・細菌感染の危険性は?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181125-00006436-weather-soci
・現金の清潔度調査を実施 ~日常的に使用する紙幣と硬貨の汚染細菌付着実態が判明~
https://www.atpress.ne.jp/news/36512
・『菌・カビを知る・防ぐ60の知恵』(日本防菌防黴学会編、化学同人)
・『手を洗いすぎてはいけない』(藤田紘一郎著、光文社)
・“スマホ雑菌” ウイルス感染・細菌感染の危険性は?
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181125-00006436-weather-soci
・現金の清潔度調査を実施 ~日常的に使用する紙幣と硬貨の汚染細菌付着実態が判明~
https://www.atpress.ne.jp/news/36512
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