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不眠の原因としてのうつ、睡眠時無呼吸
「眠れない」と思えば思うほど眠れなくなる?
明日の予定が気がかりだったり、誰かの言動がいつまでも尾を引いたり、ときには読みかけの本の続きが気になって、なかなか眠れないことはよくみられます。眠れないこと自体は病気ではありませんが、病気によって不眠が伴うことはあると、名古屋大学大学院医学研究科教授で附属病院精神科長を務める尾崎紀夫氏はいいます。たとえば、うつ病の場合はどんな特徴があるのでしょうか。
よくあるのは「寝つくのに時間がかかって、なかなか眠れない」という訴えですが、実際に睡眠ポリグラフィで測ってみると、それほどでもない。うそをついたり大げさに話したりしているわけではなく、いったん「眠れない」と思い込んでしまうと、睡眠負債の害や明日への影響など、雪だるま式に不安がふくらんでいくのが、うつ病に特有のものの考え方だといいます。
こんなに眠れないと、明日もちゃんと起きられず、一日気分が悪いかもしれない。そう思うことが眠りを妨げるわけですから、どこかで悪循環を断ち切る必要があります。ものの見方の整理をする認知行動療法をしてみることは、選択肢の一つ。自分一人で物事を抱え込む傾向のある人にはお勧めです。
花粉症や睡眠時無呼吸も不眠の原因
なんとなく頭がぼーっとして、頭痛がする。朝なのに、何かやりたい意欲が湧いてこない。そんなスッキリしない起き抜けが続く人は、睡眠時無呼吸を疑ってみる必要があります。睡眠時無呼吸を引き起こすのは中年男性に多く、肥満がリスクファクターであることが分かっています。二重あごや三重あごの人は、就寝中に喉が圧迫されることになるからです。
分かりやすいサインは、夜間のいびき。一人で寝ている人であっても、今は無料睡眠アプリが数種類出回っているので、手軽にいびきのチェックをできるようになりました。
これから本格化する花粉症の時期だけ睡眠時無呼吸を起こしてしまう人もいます。アレルギー性鼻炎による鼻詰まりは、夜間に悪化するからです。昼間のパフォーマンスが下がり、人付き合いさえわずらわしくなるイライラのため、うつ病を疑って受診する人も増えているとのこと。睡眠の質の悪さが花粉症の症状を悪化させているかもしれません。
睡眠薬よりもマウスピースが効果的
何が原因であれ、睡眠時に無呼吸になると、身体は必死で酸素をかき集め行き渡らせようとするため交感神経が高まります。そのまま進むと、脳血管障害や心臓病のリスクが高まりますが、治療を受ければ改善できるので、放っておく手はありません。ただし、自己流でアルコールを睡眠薬代わりに使ったり、睡眠剤でもGABAにはたらくタイプのベンゾジアゼピン系のものを用いると、無呼吸が悪化してしまいます。筋緊張を落とし、リラックスさせると、余計に喉がふさがってしまうからです。
重症の人の場合、特別の器具が必要ですが、軽症であれば歯科口腔外科で作ってくれるマウスピースをはめて眠るのが効果的だと尾崎氏はいいます。思い当たる人は、一度主治医に相談してみてはいかがでしょうか。
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