社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
世帯あたりの車の保有台数が最も多い都道府県は?
保有台数が最も多いのは愛知県ですが…
自動車関連の情報提供や統計作成を行う自動車検査登録情報協会(自検協)がまとめた「わが国の自動車保有動向」平成30年版が、2018年10月22日に発表されました。この統計によると、都道府県別の軽自動車を含む自家用乗用車の普及状況で保有台数が最も多いのは愛知県。保有台数のトップ3は以下のようになっています。1位:愛知県(416万4071台)
2位:埼玉県(319万5629台)
3位:東京都(311万4811台)
愛知県は2位の埼玉県を100万台近く上回ってダントツの1位です。さすが、世界の売上高でも常に上位にランクインするトヨタ自動車のお膝元ですね。トヨタ自動車の乗用車は国内で広く愛用されており、同統計のメーカー別保有台数によれば全体の47.39%と、ほぼ半数を占めています。
しかし当然ながら、都道府県別の保有台数は人口が多いところほど多くなりますよね。このため、より個人レベルでの自動車の保有状況を知るには、1世帯当たりの保有台数のほうが参考になります。では、そのトップ5を見てみましょう。
1位:福井県(1.746台)
2位:富山県(1.694台)
3位:山形県(1.677台)
4位:群馬県(1.634台)
5位:栃木県(1.611台)
単純な都道府県別の保有台数とはまったく違うことがわかりますね。東海地方や首都圏は含まれず、北陸地方や北関東が多くなっており、車がないと移動に不便な地域ほど保有率が高いようです。
また、総務省統計局が毎年発表している「明日への統計」の2018年版には、このランキングと関連しそうな興味深い統計が出ています。それは持ち家住宅率。最も高いのは富山県の79.4%で、さらに3位には76.6%で山形県、4位には76.5%で福井県がランクインしています。この結果と照らし合わせてみると、自動車を自宅に駐車しておける環境が整っていることも保有率の高さにつながっているのかもしれません。
逆に世帯あたりが最も少ない都道府県は?
それでは、逆に世帯あたりの保有台数が少ないワースト5はどのようになっているでしょうか。その結果は以下になります。43位:兵庫県(0.915台)
44位:京都府(0.825台)
45位:神奈川県(0.714台)
46位:大阪府(0.648台)
47位:東京都(0.439台)
大都市を擁する都道府県が軒並みランクインしていることがわかります。中でも東京都は0.5台にも満たずダントツのワースト1位。2世帯に1台もない計算になります。しかし都内は鉄道網が発達しており、運行本数もとても多くなっていますよね。さらにタクシーは呼び出しをしなくても、道路の横で少し待てばすぐつかまえられます。移動手段が充実しているので、自動車がなくても特に不便を感じない人が多いのでしょう。
実は、「明日への統計」2018年版の持ち家住宅率ワースト1位も東京都で、なんと45.8%。地価が高く土地が狭いこともあって駐車場の確保が難しいため、自動車を持つとむしろ面倒が増えてしまうパターンも珍しくありません。自動車が生活に欠かせない地域もあれば、逆に邪魔になってしまう地域もあるのですね。
一人あたりの保有台数はまた違った結果に
世帯あたりの自動車保有台数ランキングを見てきましたが、この統計では一人あたりの保有台数も発表されています。そのトップ5は以下のようなもの。1位:群馬県(0.691台)
2位:栃木県(0.671台)
3位:茨城県(0.667台)
4位:富山県(0.663台)
5位:山梨県(0.660台)
世帯あたりの保有台数とはかなり違う結果になっています。この理由は、北陸地方よりも北関東に単身世帯が多いからと考えられます。たとえば、世帯あたりの統計なら4人世帯でも単身世帯でも1台保有していたら1台とカウントされます。しかし、一人あたりの統計では単身世帯が1台保有していたら1台ですが、4人世帯が1台保有していたら0.25台というカウントになりますよね。つまり、最も多くの人が自動車を愛用している都道府県は群馬県といえるでしょう。
このように上位は結果に違いが出た一人あたりの保有台数ですが、ワースト5位は世帯あたりのランキングとまったく同じ結果に。最下位・東京都の保有台数はわずか0.228台でした。こんなにも世帯や個人の保有台数が少ないのに、都道府県別の保有台数では3位に入っている東京都には驚きですね。いかに東京都に人口が集中しているかもわかる統計になっているのではないでしょうか。
<参考サイト>
・自動車検査登録情報協会 わが国の自動車保有動向
https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html
・自動車検査登録情報協会 都道府県別の自家用乗用車の普及状況
https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000m224-att/r5c6pv000000m22j.pdf
・総務省統計局 今年度実施予定の主要統計調査
https://www.stat.go.jp/info/guide/asu/2018/pdf/2018asu_1.pdf
・統計メモ帳 単独世帯割合
https://ecitizen.jp/ssds/Indicators/_A06205
・くるまえらびドットコム えっ、その県?!自家用車保有率がトップな県って?
https://www.kurumaerabi.com/car_mag/list/20/
・自動車検査登録情報協会 わが国の自動車保有動向
https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html
・自動車検査登録情報協会 都道府県別の自家用乗用車の普及状況
https://www.airia.or.jp/publish/file/r5c6pv000000m224-att/r5c6pv000000m22j.pdf
・総務省統計局 今年度実施予定の主要統計調査
https://www.stat.go.jp/info/guide/asu/2018/pdf/2018asu_1.pdf
・統計メモ帳 単独世帯割合
https://ecitizen.jp/ssds/Indicators/_A06205
・くるまえらびドットコム えっ、その県?!自家用車保有率がトップな県って?
https://www.kurumaerabi.com/car_mag/list/20/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(2)江藤淳の「リアリズムの源流」
文芸評論を再考するに当たり、江藤淳氏の「リアリズムの源流」を振り返ってみる。一般的に日本で近代小説が始まった起源は坪内逍遥だといわれるが、江藤氏はそれに疑問を呈す。そして注目したのが、夏目漱石の「坊ちゃん」であ...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/07/02
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
国際政治の戦略を考える上で今やかかせない地政学の視座。今回のシリーズではヨーロッパに焦点を当て、地政学の観点から情勢分析をする。第1話目では、まず地政学の要点をおさらいし、常に揺れ動いてきた「ヨーロッパ」という領...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/05/05
アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは
日本の財政と金融問題の現状(4)日本が目指すべき成熟国家への道
機関投資家や経営者の生の声から日本の金融市場の問題点を見ていくと、リスクマネーを供給するための市場づくりや人材育成等の課題が浮き彫りになる。良質なスタートアップ企業を育てるにはどうすればいいのか。今こそアジア的...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/07/01
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
キリスト教とは何か。「文明の衝突」が世界中で現実化する中、この問題は日本人にとっても重要なものになっている。上智大学神学部教授・竹内修一氏は、「キリスト教とは何か」という問いは、同時に「イエスとは誰なのか」も意...
収録日:2016/12/26
追加日:2017/02/28
最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか
第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ
反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28