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DATE/ 2020.01.16

真面目で努力家?「ストイック」な人の特徴は

ストイックな人とは

 ストイックに生きる人は尊敬できるし憧れますよね。このストイックという言葉の語源は、古代ギリシアで誕生した哲学の一派である「ストア派」からきています。哲学者ゼノンがストアと呼ばれる列柱の下で講義を行ったのでストア派と呼ばれ、これが英語の「ストイック」となりました。和訳すると「禁欲的な」という意味になりますが、これはストア派哲学が理性で感情を抑制し、揺るぎない心で自己を確立することを目ざしたためです。

 現代でもストイックな人といえば「欲に流されない人」を指しますが、ここからさらに「自分を律して目標達成のために前進する人」を指すことも多いです。具体的には次のような人がストイックな人といえるでしょう。

 真面目:何事も手を抜かず、時間がかかっても一歩一歩前進を重ねて成功にたどりつきます。物事の過程を重視するので、時短や効率化よりも堅実さを大切にします。

 努力家:失敗しても諦めず、他のアプローチ方法を考えて何度でもチャレンジします。少しずつでも着実に前進する点は、「真面目」にも通じる部分です。

 ルーティンを持っている:一流のスポーツ選手のような、「スイッチ」が入る習慣を持っています。これを実行することですぐに集中モードに入れます。

ストイックな人の行動理論

 ストイックな人は、まさに「揺るぎない心」の持ち主といえますね。どうすればここまで強い心を持てるのでしょうか。ストイックな人が内面に持っている行動理論を分析してみます。

 失敗しても最終的に成功すればいいと考える:多くの人は失敗すると心が折れて諦めてしまいがち。しかしストイックな人は、失敗から学んで成功に役立てようとします。これは目標をしっかり持っているからといえるでしょう。失敗は目標達成のための通過点に過ぎず、最終的に成功すれば失敗は成功の糧になると考えているのです。

 他人の評価を気にしない:周囲の評価に左右されてしまう人が多い中、ストイックな人は他人の言葉を気にしません。自分が目ざしているものを信じているので、軸がぶれないのです。自分の心は自分にしかわからないですよね。「自分は自分、他人は他人」という考え方が徹底しているからこそストイックに生きられるのです。

 時間の大切さを知っている:失敗を恐れないからこそ、ストイックな人の歩みは時間がかかることが多くなります。このため、限られた時間の重みをよく知っており、目標達成以外のことには極力時間を使わないように行動します。普通の人は欲に負けて遊んだり怠けたりしがちですが、ストイックな人はそこを律することができるのです。

 このような行動理論を持つストイックな人は、仕事でもしっかり目標を立てて取り組むので、「デキる人」と思われることが多いです。一方で、恋愛は仕事や勉強の邪魔になると考えるので、四六時中一緒にいたがる恋人より自立した恋人を望む傾向にあります。

ストイックな生き方のメリットとデメリット

 ストイックな人は着実に目標を達成して周囲から信頼と尊敬を集めますが、本人にとってはどんなメリットとデメリットがあるでしょうか。まずメリットから見てみましょう。

 人生に生きがいができる:怠惰にぼんやり生きるよりも断然、生きがいややりがいを感じられます。そして、後世に名を残すこともあるでしょう。それはもちろん、目標に向かって一心不乱に歩んだ結果ですが、達成感を味わえる人生は充実したものになるはずです。

 メンタルが強くなる:目標を持って努力すれば、失敗しても成功のヒントと思えるようになり、精神が強くなります。さらに、周囲からとやかく言われても気にしないと考えることで、他人に流されない自立した心も得られます。

 一方のデメリットには次のようなものがあります。

 他人と疎遠になりやすい:目標達成が優先順位の上位にあるストイックな人は、家族や友人でも一緒に遊んだり食事したりする時間を惜しむので、人との関係が希薄になりがちです。また自分にも他人にも厳しいので、人から苦手意識を持たれやすいタイプでもあります。

 燃え尽き症候群を起こしやすい:目標達成が生きがいになると、実際に目標が達成されたときにやることがなくなって燃え尽き症候群になってしまうことがあります。さらに、休息を忘れてしまうことが多いため、気づかないうちに疲労が蓄積して糸が切れたように動けなくなる危険性もあります。

 ストイックな人であっても、他人とのコミュニケーションや休息は必要といえるでしょう。しかしストイックな人はその生き方を当たり前と思っているので、本人がストイックと気づいていないことが多いのです。このため、周囲の人が気遣って適度な息抜きを勧めることも大切といえるでしょう。

<参考サイト>
・マイナビウーマン ストイックな人の心理と特徴とは。恋愛傾向も解説!
https://woman.mynavi.jp/article/191012-2/
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