社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「酒は百薬の長」はウソ?アルコールと健康の関係は
「酒は百薬の長」 、つまり適度な飲酒なら体にいい、とよく言われています。酒飲みに免罪符のようにも使われているフレーズですが、実は最新の研究によると、アルコール摂取量は少ないに越したことはない、という説も出てきています。事実であれば、量をわきまえて楽しんできたお酒好きにとってもショックでしょう。さて、実態はどうなのでしょうか。
冒頭で述べた「最新の研究」ですが、「世界の疾病負担研究(Global Burden of. Diseases)」によるもので、195の国と地域を対象に行われました。それによると、健康上の害が最小になるアルコールの摂取量は0、つまりまったくお酒を飲まないのが一番良い、ということでした。もちろん飲むか飲まないかの二択ではなく、飲まない、適量を飲む、大量に飲む、と段階によってリスクの差はありますので、「適量なら良いと思っていたのに…」と悲観してがぶ飲みしたりはしないでくださいね。
では適量とはどのくらいなのでしょうか?厚生労働省は「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては『節度ある適度な飲酒』として、1日平均純アルコールで約20g程度」としています。純アルコールで約20gというのは、具体的にはビールだと中瓶1本(500ml)、日本酒やワインなら180ml、ウイスキーならダブル60ml程度です。その他のお酒については、「摂取量(ml) × 度数または % / 100 × 0.8(比重) = 純アルコール量(g)」で計算してみてください。例えば最近ブームのストロング系チューハイの場合、度数9%の500ml缶だと500ml×0.09×0.8=36gとなります。つまり1本で「適量」の2倍近いアルコールを摂取していることになるわけですね。お酒好きからしたら上記の目安は「まだまだ序の口だよ」「そんな量じゃ酔えない」なんて文句も言いたくなる量ですが、裏を返せば酔っぱらうほど飲むのは体に悪いというわけです。
お酒に強くてもたくさん飲んでいいという理由にはなりませんが、そもそも日本人はお酒に弱い人が多い人種だということが科学的に証明されています。お酒を飲んだときに発生するアセトアルデヒドという物質が二日酔いなどの原因になるのですが、この物質を分解する「ALDH(アルデヒド脱水素酵素)」の一種「ALDH2」を持たないか、働きが弱いという人が日本人のうち44%を占めるといいます。中国人は41%、韓国人は28%と東アジアはお酒に弱い人が多い一方、アフリカ系やヨーロッパ系の人種はALDH2を持たない人はいないそうです。
お酒好きにとって何のフォローにもならない情報ばかり並べてしまいましたが、過度に健康リスクを気にして、お酒が飲めなくなってしまうのもストレスですよね。そうしたストレスで体を壊してしまっては意味がないので、ストレスをためない程度に、でも体もいたわってお酒をたしなむようにしてください。言うは易く行うは難し、なのですが。
健康上の害が最小になるアルコールの摂取量は
そもそも「酒は百薬の長」という言葉自体は、中国の「漢書・食貨志下」で、漢を簒奪した王莽の言葉と言われており、約2000年前から伝わってきた考え方です。一方日本では、吉田兼好が「徒然草」の中で「百薬の長とはいへど、万の病は酒よりこそ起れ」と指摘しているように、飲酒にくぎを刺していた、という過去もあります。冒頭で述べた「最新の研究」ですが、「世界の疾病負担研究(Global Burden of. Diseases)」によるもので、195の国と地域を対象に行われました。それによると、健康上の害が最小になるアルコールの摂取量は0、つまりまったくお酒を飲まないのが一番良い、ということでした。もちろん飲むか飲まないかの二択ではなく、飲まない、適量を飲む、大量に飲む、と段階によってリスクの差はありますので、「適量なら良いと思っていたのに…」と悲観してがぶ飲みしたりはしないでくださいね。
では適量とはどのくらいなのでしょうか?厚生労働省は「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては『節度ある適度な飲酒』として、1日平均純アルコールで約20g程度」としています。純アルコールで約20gというのは、具体的にはビールだと中瓶1本(500ml)、日本酒やワインなら180ml、ウイスキーならダブル60ml程度です。その他のお酒については、「摂取量(ml) × 度数または % / 100 × 0.8(比重) = 純アルコール量(g)」で計算してみてください。例えば最近ブームのストロング系チューハイの場合、度数9%の500ml缶だと500ml×0.09×0.8=36gとなります。つまり1本で「適量」の2倍近いアルコールを摂取していることになるわけですね。お酒好きからしたら上記の目安は「まだまだ序の口だよ」「そんな量じゃ酔えない」なんて文句も言いたくなる量ですが、裏を返せば酔っぱらうほど飲むのは体に悪いというわけです。
休肝日があれば飲んでもいい?実際は
酒飲みの免罪符その2、「でも、休肝日を設ければいいのでは…?」。厚生労働省のe-ヘルスネットでの休肝日の説明を一部抜粋すると「休肝日を設けると飲酒総量が減るので肝障害が予防できる可能性があります。しかし、反動で飲酒する日の飲酒量が増えるかもしれません。休肝日を設けられるか否かで、肝障害の進展を予防するという科学的根拠はありませんが、アルコール依存症のような問題飲酒の顕在化には役立ちます」とのこと。つまり、飲酒の総量を減らせれば休肝日に意味はあるものの、休肝日さえあればそれ以外の日にたくさん飲んでいい、という根拠にはならない、という厳しい現実があるのです。お酒に強くてもたくさん飲んでいいという理由にはなりませんが、そもそも日本人はお酒に弱い人が多い人種だということが科学的に証明されています。お酒を飲んだときに発生するアセトアルデヒドという物質が二日酔いなどの原因になるのですが、この物質を分解する「ALDH(アルデヒド脱水素酵素)」の一種「ALDH2」を持たないか、働きが弱いという人が日本人のうち44%を占めるといいます。中国人は41%、韓国人は28%と東アジアはお酒に弱い人が多い一方、アフリカ系やヨーロッパ系の人種はALDH2を持たない人はいないそうです。
お酒好きにとって何のフォローにもならない情報ばかり並べてしまいましたが、過度に健康リスクを気にして、お酒が飲めなくなってしまうのもストレスですよね。そうしたストレスで体を壊してしまっては意味がないので、ストレスをためない程度に、でも体もいたわってお酒をたしなむようにしてください。言うは易く行うは難し、なのですが。
<参考サイト>
・酒は百薬の長 | 大和薬品株式会社
http://www.daiwa-pharm.com/info/kakugen/465/
・「お酒は少しなら体にいい」がちょっと違うワケ 「酒は百薬の長」はもはや時代遅れ | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
https://president.jp/articles/-/29999
・Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016 - The Lancet
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)31310-2/fulltext
・アルコール|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
・休肝日 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-063.html
・お酒の代謝能力の違い|人とお酒のイイ関係|アサヒビール
https://www.asahibeer.co.jp/csr/tekisei/health/mechanism.html
・酒は百薬の長 | 大和薬品株式会社
http://www.daiwa-pharm.com/info/kakugen/465/
・「お酒は少しなら体にいい」がちょっと違うワケ 「酒は百薬の長」はもはや時代遅れ | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
https://president.jp/articles/-/29999
・Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990-2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016 - The Lancet
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)31310-2/fulltext
・アルコール|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
・休肝日 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-063.html
・お酒の代謝能力の違い|人とお酒のイイ関係|アサヒビール
https://www.asahibeer.co.jp/csr/tekisei/health/mechanism.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
全ては経済?…米中対立の現状とリスクが高まる台湾危機
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(2)米中対立の現在地
世界第一、第二の経済力を誇る米中の対立は由々しい問題である。第1次トランプ政権下で始まった対立はバイデン政権に継承されてきたが、トランプ第2次政権では主題はもっぱら経済に集中している。われわれも米中協議の行方を注...
収録日:2025-06-23
追加日:2025/08/14
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
硫黄島の戦いでの奇跡的な物語を深く探究したノンフィクション『大統領に告ぐ』。著者の門田隆将氏は、「読者の皆さんには、その場に身を置いて読んでほしい」と語る。硫黄島の洞窟の中で、自分が死ぬ意味を考えていた日本人将...
収録日:2025-07-09
追加日:2025/08/15
なぜウェルビーイングが大事?DEIとの関係と価値の多様化
DEIの重要性と企業経営(2)人的資本経営とウェルビーイング経営
今、企業の中に「人的資本経営」が急速に浸透している。経産省の定義によると、人的資本経営とは、人材を資本と捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方のこと。類似する概念と...
収録日:2025-05-22
追加日:2025/08/15
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
混迷を極める現代社会にあって、「学び」の意義はどこにあるのだろうか。次世代にどのような望みをわれわれが与えることができるのか。社会全体の運営を、いかに正しい知識と方針で進めていけるのか。一人ひとりの人生において...
収録日:2025-06-19
追加日:2025/08/13
「はやぶさ」の川口淳一郎先生が語る「宇宙開発の歴史」
編集部ラジオ2025(17)「宇宙開発の歴史」を総覧!
小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーを務められた川口淳一郎先生。テンミニッツ・アカデミーでは、その川口先生に「未来を知るための宇宙開発の歴史」を縦横無尽にお話しいただきました。京都大学工学部から東...
収録日:2025-06-25
追加日:2025/08/14