テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.11.09

なぜ家の中に「蜘蛛」が出るのか?

 ふと気づくと家の中にいる蜘蛛。苦手な人にとっては、なるべく遭遇したくない相手ですよね。

 蜘蛛はなぜ家屋に現れるのでしょうか? 今回は家の中に現れる蜘蛛の種類や生態、そして対処法について解説します!

 蜘蛛が苦手な方も、この記事を読めばちょっぴり蜘蛛が愛おしく……なるかも?

毒はある? 巣はつくる? 日本の家屋に出やすい蜘蛛6種

 今では海外からやってきた毒蜘蛛「セアカゴケグモ」に関する報道等の影響から「蜘蛛には毒があって怖い」というイメージを持つ人が増えているようです。

 けれども屋内に現れる蜘蛛のうち、毒に警戒したほうがいいのはその「セアカゴケグモ」くらい。ほとんどの蜘蛛には毒なく(あっても人体に影響がない程度)、また総じておとなしかったり臆病だったりするため、特別危険とまではいえません。

 日本には約1200種類もの蜘蛛がいますが、家屋に出やすい蜘蛛は5~9種類程度といわれています。
 今回は、その中でも比較的メジャーな蜘蛛たち6種を紹介します。

【1】ハエトリグモ
毒:なし
巣:つくらない
体長:1cmほど
黒、または茶の体に白いしま模様が特徴の小さな蜘蛛です。目が大きく、ぴょんぴょんと跳びはねる姿からペットとして愛玩する人も。巣は作りませんが、糸を出して移動することがあります。その名の通りハエやコバエを捕食するほか、ダニやゴキブリの幼虫など小型の昆虫も食べます。
家で見かける小さな蜘蛛のほとんどがハエトリグモだといわれており、「アダンソンハエトリ」「チャスジハエトリ」などさまざまな種類がいます。

【2】アシダカグモ
毒:なし
巣:つくらない
体長:10cmほど
名前の通り足が非常に長く、太さもある蜘蛛です。上から急にぶらんと現れようものなら腰を抜かしてしまいそうなほどインパクト大の風体ですが、性格は臆病で、人間が近づくと逃げだします。ゴキブリや蛾のほか、ネズミまで食べることがある大食漢で、益虫として知られています。

【3】イエユウレイグモ
毒:なし
巣:つくる
体長:1cmほど
全体的に白っぽく、細長い足とひょろりとした体を持つ蜘蛛です。薄暗い場所を好み、ふらつきながら歩く姿がまさしく幽霊のよう。コバエなどの小さな虫を食べます。毒は持たず人間を襲うことはありませんが、その見た目と巣の大きさから毛嫌いされがちです。

【4】ヒラタグモ
毒:なし
巣:つくる
体長:8mm~1cmほど
平べったい体に、黒の斑点と白いふちどりの腹部が特徴の蜘蛛です。平らな壁に、ふんわりと盛り上がった巣をつくると、そこで張りつくようにじっとしています。コバエなど小さな昆虫を食べます。

【5】ジョロウグモ
毒:あり
巣:つくる
体長:6mm~3cmほど
日本に生息する毒蜘蛛のうち、もっとも身近な毒蜘蛛がジョロウグモです。黒とイエローのしま模様を持ち、庭のような草木の多い場所に生息して巣を張ります。オスは1cmほどですが、メスは3cm近くまで大きくなります。噛まれた時の毒の量は微量といわれますが、それでも人によっては強い痛みを感じることもあり、素手で触るのは危険です。混同されやすい種に「コガネグモ」がいますが、こちらはおとなしく無害な蜘蛛です。コガネグモの巣には特徴的なX状の帯が見られます。

【6】セアカゴケグモ
毒:あり
巣:つくる
体長:1.5 cmほど
光沢のある黒い体と、腹部の赤い縦ラインが目立つ外来種の毒蜘蛛です。こちらからちょっかいを出さなければ襲うことはありませんが、怖いのはその毒の強さ。噛まれると激痛が走り、全身に麻痺症状が残るとも(現在日本での死亡例はなし)。温かい場所の物陰やくぼんだ場所を好み、エアコンの室外機の下やベランダのサンダルの中、自動販売機の下などはよくよく注意が必要です。もしも遭遇したら決して素手で触らず、靴で踏み潰すか殺虫剤で駆除しましょう。熱湯をかけるのも有効です。

蜘蛛はどこから出てくる?

 家にいる蜘蛛の主な生息地は、家具の裏や天袋、押し入れ、水回りなどです。エサとなる虫が出やすい場所=蜘蛛の生息地と考えてよいでしょう。

 蜘蛛の侵入経路はドアや窓の隙間、換気扇や排水溝などですが、中でも見落としやすいのが段ボール。運搬中の段ボールと一緒に付着しているケースが多いためです。また保温保湿効果とほどよい隙間のある段ボールは、そもそもそれ自体がダニやゴキブリにとって非常に居心地の良い場所。それらをエサとする蜘蛛も繁殖しやすいといわれています。ついつい段ボールをため込みがちな人は十分注意しましょう。

どうしても蜘蛛と共存したくない人は

 いかがでしたか? 実は蜘蛛のほとんどが、不快な虫を食べる「益虫」であることがお分かりいただけたかと思います。

 「蜘蛛が良い虫なのは分かった。でもやっぱり気持ち悪い!」……蜘蛛嫌いの人にとっては、できるだけ視界に入れたくないというのが本音ですよね。

 どうしても駆除したい場合は、蜘蛛用の殺虫剤を使うか、外に誘導して逃がすかして対処しましょう。ホームセンターでは蜘蛛が巣をつくりづらくなるスプレーなども売っています。

 そもそもエサとなる虫がいなければ蜘蛛が棲み着くことはありません。蜘蛛を遠ざけるためには虫除け対策を万全に、部屋を常に清潔を保つことを念頭に置きましょう。
 
<参考サイト>
・家にいるクモは殺さないほうがいい?(くらしのマーケットマガジン)
https://curama.jp/magazine/465/
・家の中のクモはどうすれば?あぶない蜘蛛や対処方法・予防方法を詳しく説明!(賃貸のマサキ)
https://www.chinmasa.com/blog/entry-217655/
・気をつけて!危険な外来生物 セアカゴケグモ(東京都環境局)
https://gairaisyu.tokyo/species/danger_01.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的

トランプ関税はアダム・スミス以前の重商主義より原始的

第2次トランプ政権の危険性と本質(2)トランプ関税のおかしな発想

「トランプ関税」といわれる関税政策を積極的に行う第二次トランプ政権だが、この政策によるショックから株価が乱高下している。この政策は二国間の貿易収支を問題視し、それを「損得」で判断してのものだが、そもそもその考え...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/17
柿埜真吾
経済学者
2

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

大隈重信と福澤諭吉…実は多元性に富んでいた明治日本

デモクラシーの基盤とは何か(2)明治日本の惑溺と多元性

アメリカは民主主義の土壌が育まれていたが、日本はどうだったのだろうか。幕末の藩士たちはアメリカの建国の父たちに憧憬を抱いていた。そして、幕末から明治初期には雨後の筍のように、様々な政治結社も登場した。明治日本は...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/16
3

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

【会員アンケート】談論風発!トランプ関税をどう考える?

編集部ラジオ2025(8)会員アンケート企画:トランプ関税

会員の皆さまからお寄せいただいたご意見を元に考え、テンミニッツTVの講義をつないでいく「会員アンケート企画」。今回は、「トランプ関税をどう考える?」というテーマでご意見をいただきました。

第2次トランプ...
収録日:2025/05/07
追加日:2025/05/15
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
4

相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城

相互関税の影響は?…トランプが築く現代版の万里の長城

世界を混乱させるトランプ関税攻勢の狙い(1)「相互関税」とは何か?

トランプ大統領は、2025年4月2日(アメリカ時間)に貿易相手国に「相互関税」を課すと発表し、「解放の日」だと唱えた。しかし、「相互関税」の考え方は、まったくよくわからないのが実状だ。はたして、トランプ大統領がめざす...
収録日:2025/04/04
追加日:2025/04/10
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授