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世の中からいつの間にか消えた「モノ」は?
昭和・平成・令和と年号が変わるにつれ、世相も街の景色も変わっています。昔は当たり前に使われていたのに、今はほとんど使われていないもの、今の十代に話しても通じないもの、懐かしさを感じるものを探してみました。
1985(昭和60)年、日本電信電話公社がNTT(日本電信電話株式会社)へと民営化され、電話端末が自由化されると、黒電話は徐々に姿を消していきました。端末機器は電気通信事業者からレンタルされるものから家電店で購入するものへ。さらにコードレスホン化、留守番電話や多機能電話を経て、今では一人1台以上の携帯を持つ時代。固定電話自体を設置しない家庭も増えただけに、電話機の下に敷かれていた白いレースの感触まで懐かしいですね。
黒電話が圧倒的だった60~70年代、子ども部屋にはたいていペナントが飾られていました。観光地の土産物屋には、麗々しく地名を入れたペナントが必ずあり、大学のクラブやサークルも競ってオリジナルをつくったものです。ペナントの需要が減ったのは、「カメラが普及したから」「お土産としてもらっても困るから」「携帯ストラップが登場したから」など、諸説がささやかれています。ちなみにプロ野球が今でも「ペナントレース」と呼ばれるのは、優勝旗が四角いフラッグではなく、長三角形のペナントだったから。
黒のダイヤル電話に金モール華やかなペナントの頃、ひざ小僧をすりむいて帰ると、どの家でも常備されている「赤チン(マーキュロクロム液)」が迎えてくれました。学校の保健室でつけられるのは「ヨーチン(ヨードチンキ)」。どちらもすり傷・切り傷によくしみ、「赤チンでなければ消毒した気がしない」というファンも少なくなかったものです。原材料を製造する過程で水銀を含んだ原液が出ることから法規制がなされ、2020年12月末に最後の工場が生産を終了しました。
銭湯の脱衣場に必ず設置されているもので、今の十代には使い道の分からないものがあります。牛乳瓶のフタを開けるアレです。正式名称は特になく、「紙蓋取り」「安全牛乳栓ぬき」などと呼ばれていたようです。
ペットボトル全盛の現在、牛乳の紙蓋とともに消えつつあるのが、びん入り飲料の「王冠」。王冠のひだは21個あり、内側はコルク貼り、塩ビ、ポリエチレンと変化してきました。日本で王冠が開発されたのは1908(明治41)年。100年以上の歴史を持つ王冠ですが、「栓抜きがないと開けられない」「一度開けたら閉められない」などの理由から、今では昭和40年代後半の最盛期と比べると半分以下に減っているのだそう。
牛乳の紙蓋、ビールやコーラの王冠、どちらもなんとなく集めてしまう宝物ではなかったでしょうか。ついつい集めてニマニマしていたのに今や使われなくなったものに、テレカ(テレホンカード)があります。緑色の公衆電話に入れていたプリペイドカードは1982(昭和57)年12月にNTTが発行・発売をはじめたもの。ポケベルから携帯電話へと時代が移り変わった今、テレカどころか公衆電話も圧倒的に減ってしまいました。今やテレカは金券としてではなくコレクターズアイテムとして、ヤフオクやメルカリで売買されています。
家庭から消えてしまった通信機器としてはFAXも数えられるでしょう。オフィスではまだまだ現役ですが、メールやSNSでの通信が中心となった現在、紙や消耗品の必要なFAXは家庭では無用の長物となってしまいました。
この50年間で通信機器と同じぐらい隆盛の激しいのが、いわゆる媒体(記録メディア)。ビデオテープやカセットテープ、レコードなどは近年復刻されることも増えていますが、ほぼ駆逐されてしまったのがMD(ミニディスク)です。同様に1990年代に「光磁気ディスク」として登場した「MO(magneto-optical disc)」もUSBメモリーやDVDに席を譲り、生産・販売終了しています。
インターネットの出現は周りの風景を一変させてしまいましたが、オブラートなどのように、薬を包む用途から「キャラ弁」に欠かせないアイテムに変身を遂げているものも。探せば見つかる「消えたモノ」でノスタルジーを演出するのもいいですね。
黒いアレや赤いアレのない家はなかったのに…
いまだに昭和の世界を垣間見せてくれるのは、日曜夕方の「サザエさん」。1969(昭和44)年の放送開始以来、玄関先の電話台に置かれたダイヤル式の黒電話は、その象徴的な品物です。1985(昭和60)年、日本電信電話公社がNTT(日本電信電話株式会社)へと民営化され、電話端末が自由化されると、黒電話は徐々に姿を消していきました。端末機器は電気通信事業者からレンタルされるものから家電店で購入するものへ。さらにコードレスホン化、留守番電話や多機能電話を経て、今では一人1台以上の携帯を持つ時代。固定電話自体を設置しない家庭も増えただけに、電話機の下に敷かれていた白いレースの感触まで懐かしいですね。
黒電話が圧倒的だった60~70年代、子ども部屋にはたいていペナントが飾られていました。観光地の土産物屋には、麗々しく地名を入れたペナントが必ずあり、大学のクラブやサークルも競ってオリジナルをつくったものです。ペナントの需要が減ったのは、「カメラが普及したから」「お土産としてもらっても困るから」「携帯ストラップが登場したから」など、諸説がささやかれています。ちなみにプロ野球が今でも「ペナントレース」と呼ばれるのは、優勝旗が四角いフラッグではなく、長三角形のペナントだったから。
黒のダイヤル電話に金モール華やかなペナントの頃、ひざ小僧をすりむいて帰ると、どの家でも常備されている「赤チン(マーキュロクロム液)」が迎えてくれました。学校の保健室でつけられるのは「ヨーチン(ヨードチンキ)」。どちらもすり傷・切り傷によくしみ、「赤チンでなければ消毒した気がしない」というファンも少なくなかったものです。原材料を製造する過程で水銀を含んだ原液が出ることから法規制がなされ、2020年12月末に最後の工場が生産を終了しました。
お風呂上がりはコーヒー牛乳派? フルーツ牛乳派?
世界的に風呂好きで有名な日本人ですが、家庭のお風呂(内風呂)普及率が6割近くに達したのは、1回目の東京五輪前年の1963年(2008年には95.1%)。夕食の前か後で銭湯へ行くのは庶民にとって社交を兼ねた楽しみな日課でした。銭湯の脱衣場に必ず設置されているもので、今の十代には使い道の分からないものがあります。牛乳瓶のフタを開けるアレです。正式名称は特になく、「紙蓋取り」「安全牛乳栓ぬき」などと呼ばれていたようです。
ペットボトル全盛の現在、牛乳の紙蓋とともに消えつつあるのが、びん入り飲料の「王冠」。王冠のひだは21個あり、内側はコルク貼り、塩ビ、ポリエチレンと変化してきました。日本で王冠が開発されたのは1908(明治41)年。100年以上の歴史を持つ王冠ですが、「栓抜きがないと開けられない」「一度開けたら閉められない」などの理由から、今では昭和40年代後半の最盛期と比べると半分以下に減っているのだそう。
牛乳の紙蓋、ビールやコーラの王冠、どちらもなんとなく集めてしまう宝物ではなかったでしょうか。ついつい集めてニマニマしていたのに今や使われなくなったものに、テレカ(テレホンカード)があります。緑色の公衆電話に入れていたプリペイドカードは1982(昭和57)年12月にNTTが発行・発売をはじめたもの。ポケベルから携帯電話へと時代が移り変わった今、テレカどころか公衆電話も圧倒的に減ってしまいました。今やテレカは金券としてではなくコレクターズアイテムとして、ヤフオクやメルカリで売買されています。
家もオフィスもインターネットが景色を変えた
インターネット普及以前、家庭でパソコンを持つのは余程の趣味人で、オフィスですら清書用にワープロ(ワードプロセッサ)が使用されていました。歴史をひもとくと、1978(昭和53)年に東芝が初めて開発したワープロ専用機の価格は630万円。持ち運び可能な大きさのパーソナル仕様になったのは1980年代後半で、価格も平均16.4万円になります。「書院」(シャープ)、「OASYS(富士通)」、「文豪」(NEC)「Rupo」(東芝)が日本語ワープロ専用機の4大ブランドでした。家庭から消えてしまった通信機器としてはFAXも数えられるでしょう。オフィスではまだまだ現役ですが、メールやSNSでの通信が中心となった現在、紙や消耗品の必要なFAXは家庭では無用の長物となってしまいました。
この50年間で通信機器と同じぐらい隆盛の激しいのが、いわゆる媒体(記録メディア)。ビデオテープやカセットテープ、レコードなどは近年復刻されることも増えていますが、ほぼ駆逐されてしまったのがMD(ミニディスク)です。同様に1990年代に「光磁気ディスク」として登場した「MO(magneto-optical disc)」もUSBメモリーやDVDに席を譲り、生産・販売終了しています。
インターネットの出現は周りの風景を一変させてしまいましたが、オブラートなどのように、薬を包む用途から「キャラ弁」に欠かせないアイテムに変身を遂げているものも。探せば見つかる「消えたモノ」でノスタルジーを演出するのもいいですね。
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