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DATE/ 2021.02.20

歩道の走行はNG?自転車の正しい交通ルール

 昨今、自転車が大活躍しています。食事のデリバリーサービスの自転車を見かけない日はありません。また、電車での密を避けたい、運動不足を解消したいといった目的で、自転車に乗る機会が増えたという人もいるのではないでしょうか。今後も環境保護の取り組みなどから、自転車の需要はより大きくなると思われます。ここで大事になるのが安全性です。ここで自転車のルールやマナーを確認しておきましょう。

自転車は原則車道を走る

 自転車は道路交通法上「軽車両」とされており、扱いは基本的に車両です。大前提として「自転車は車道の左側部分を、左端に寄って走るのが原則です。歩道を走っていい条件は、歩道に「普通自転車歩道通行可」の標識等があるときです。ただし、「13歳未満の子供や70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が普通自転車を運転しているとき」も歩道通行が認められています。

 これ以外では「道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行することが困難」、「著しく自動車などの交通量が多く、かつ、車道の幅が狭いなどのために、追越しをしようとする自動車などの接触事故の危険がある場合」など、「普通自転車の通行の安全を確保するためやむを得ないと認められるとき」とされています。ということで、普通自転車が歩道を通っていい場合の条件を整理すると、以下の通りです。

1、道路標識等で通行することができるとされている場合
2、13歳未満の子供や70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が普通自転車を運転している場合
3、車道又は交通の状況からみてやむを得ないと認められる場合

 つまり、歩道に「自転車歩行者道(自歩道)」があるような場合をのぞき、自転車の歩道走行は例外です。また、歩道を走行する場合も大きく言って以下3つのルールがあります。

1、車道寄りの部分又は道路標識等により通行すべき部分が指定されている部分を「徐行」して通行すること。
2、歩行者の通行の妨げとなる場合は、一時停止して歩行者の通行を妨げないようにすること。
3、歩道でほかの自転車と行き違うときは、対向する自転車を「右に見ながらよける」ようにすること。

 特に注意すべきは「歩行者の妨げになる場合」です。「自転車歩行者道」は自転車が通ることのできる歩道ですが、自転車優先ではありません。歩道はどのような場合でも歩行者優先です。

「車両の信号」に従う義務がある

 ここまでの通り、基本的に自転車は車道を走るのですが、車道の左端に「普通自転車専用通行帯(自転車レーン)」が設置されている場合、自転車はここを左側通行で通らなければなりません。自転車レーンは白い自転車のマークや矢印に加えて、「自転車専用」「左側通行」などと表示されています。

 ただし、ここも自転車優先ではありません。歩行者や自動車に十分注意する必要があります。また、車道を進行していて信号があった場合、車両用の信号機に従います。ただし「歩行者・自転車専用」と表示されている歩行者用信号機がある場合は、車道を通っていても、歩行者用信号機に従います。

酒気帯び(酒酔い)運転は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」

 ここまで見てきた通りさまざまなルールがあるのですが、特に違反すると懲役または罰金が科される場合もしっかり理解しておきましょう。「2人乗り運転」は2万円以下の罰金または科料(※ただし16歳以上の運転者が幼児用座席に6歳未満の幼児を乗車させることは可能)、「携帯電話使用運転」「傘さし運転」などは5万円以下の罰金となっています。より重い罪となるのは「酒気帯び運転」です。この場合「5年以下の懲役または100万円以下の罰金(酒酔いの場合)」となっています。「お酒を飲んだら運転しない」は自転車でも同様です。

 日本の道路はこれまであまり自転車を想定していなかったこともあり、場所によっては道路整備が追い付いていないところもあるようです。危険を避けるためにはこういったルールはしっかり意識しておきましょう。ともあれ、自転車はうまく活用できれば、省エネかつ経済的で運動不足解消と、いいことづくめ。最近ではシェアサイクル(レンタサイクル)の取り組みも進んでいます。だれもが安心して安全・快適に暮らすためにも、しっかりとルールは意識しておきましょう。

<参考サイト>
自転車の 正しい 乗り方|警視庁
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/bicyclette/jmp/bicyclette.pdf
[Q]自転車歩行者道(自歩道)や自転車専用通行帯(自転車レーン)って何ですか?|JAF
https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-drive/subcategory-sign/faq174
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