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「もの忘れ」と「認知症」の見分け方
コロナ禍中に外出が減り、物忘れが進んだ気がして不安な方も多いのではないでしょうか。今回は、「もの忘れ」と「認知症」の見分け方、対応の工夫などを調べてみました。
「もの忘れ」は、医学的には「加齢に伴う生理的健忘」と呼ばれています。認知症との大きな違いは、「(忘れている)自覚がある」こと。また、学習能力は保たれるので、新しい知識やルールなどを覚えていくこともできます。以下、おおまかな目安として「もの忘れ」と「認知症」の違いをまとめてみます。
<【もの忘れ】⇔【認知症】>
・体験の一部を忘れる⇔体験そのものを忘れる
・約束をうっかり忘れる⇔約束したこと自体を忘れる
・買い物に出かけ、何を買うか忘れる⇔買い物に出かけ、途中で外出の理由を忘れる、または自分の居場所が分からなくなる
・忘れたことを自覚している⇔忘れたことが分からない
・ヒントを与えると思い出せる⇔ヒントを与えても思い出せない
・間違いを指摘されると、謝る⇔間違いを指摘されると、辻褄を合わせた作り話をする
・探し物は自力で見つけようとする⇔探し物は「誰かに盗まれた」と訴える
・感情や意欲は若い頃と変化がない⇔怒りっぽくなる。やる気がなく何事も億劫になる、疑い深くなる
若い頃と比べて覚えにくくなったこと、忘れたことに対する自覚がハッキリしているため、「あれも忘れた」「これも覚えられない」と自分で認知症を疑いやすくなりますが、本人がもの忘れに悩んでいる間は逆に安心だともいえます。
認知症にはさまざまな種類があります。なかでも症例の7割近くを占めるのが「アルツハイマー型認知症」。「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」とあわせて「3大認知症」と呼ばれます。
アルツハイマー型認知症の主な症状はもの忘れのほか、同じ会話や質問を何度も繰り返すことです。症状が進むにつれ、人や物、時間、場所などの誤認識が始まり、妄想や徘徊を起こす人もいます。
最近注目されているレビー小体型認知症では、実際にはないものが見える「幻視」の症状が特徴です。また、レム睡眠中の悪夢により大声で寝言を言ったり、手足をばたつかせて周囲を驚かせることもあります。脳血管性認知症は、脳血管の障害により発症する病気で、歩行障害などを伴うことが知られています。
認知機能をチェックするためのサービスや簡易スケールなども開発されていますので、気になる方は「もの忘れ外来」とともに検討してみてはいかがでしょうか。
脳のワーキングメモリーを必要以上に使わないためには、ノートや手帳、付箋、スマホのアラートなどを用いて、記憶を外部化しておくのがおすすめです。いわば「記憶」から「記録」への乗りかえで、脳の負担を減らすことができます。
スマホから常に膨大な情報が流入し続ける現在の生活は、常に情報の濁流のなかにいるといっても過言ではありません。若い人でも情報処理が追いつかなくなり、「脳過労」「オーバーフロー脳」を引き起こしているという説も出てきました。一定時間スマホやパソコンから自分を遮断するデジタル・デトックスは、脳を休息させ、洪水のような情報を整理する役を果たしてくれます。
年齢にかかわらず、「テレビを観ながらスマホ」「パソコンの画面がいつも複数のタブだらけ」という人は、脳の苦手な「マルチタスク」を強いている状態ですから、自覚的に切り上げる必要があります。
最後に、睡眠時間と認知症の関係について調査したスペインのマドリード大学では、約7時間の平均睡眠が最も認知症リスクが低いと発表しています。同時に、睡眠時間が6時間以下の人は36%、8時間以上の人は27%、認知症及び軽度認知障害(MCI)発症リスクがあるとしています。
不要になった情報やノイズは、脳の容量を圧迫するゴミのようなもので、適度な睡眠で毎日排出する必要があると見なされています。快適な睡眠につながる運動や入浴などの基本的習慣も大切にしましょう。
「もの忘れ」と「認知症」はココが違う
「認知症診療ガイドライン2017」によると、認知症と診断されるのは、「認知の欠損によって日常生活が阻害される場合」と明記されています。分かりやすくいうと、「昨夜何を食べたか」メニューが思い出せなくても日常生活に支障はありませんが、「昨夜食事をしたかどうか」思い出せないと、食べた・食べないで家庭争議につながる、ということです。「もの忘れ」は、医学的には「加齢に伴う生理的健忘」と呼ばれています。認知症との大きな違いは、「(忘れている)自覚がある」こと。また、学習能力は保たれるので、新しい知識やルールなどを覚えていくこともできます。以下、おおまかな目安として「もの忘れ」と「認知症」の違いをまとめてみます。
<【もの忘れ】⇔【認知症】>
・体験の一部を忘れる⇔体験そのものを忘れる
・約束をうっかり忘れる⇔約束したこと自体を忘れる
・買い物に出かけ、何を買うか忘れる⇔買い物に出かけ、途中で外出の理由を忘れる、または自分の居場所が分からなくなる
・忘れたことを自覚している⇔忘れたことが分からない
・ヒントを与えると思い出せる⇔ヒントを与えても思い出せない
・間違いを指摘されると、謝る⇔間違いを指摘されると、辻褄を合わせた作り話をする
・探し物は自力で見つけようとする⇔探し物は「誰かに盗まれた」と訴える
・感情や意欲は若い頃と変化がない⇔怒りっぽくなる。やる気がなく何事も億劫になる、疑い深くなる
老化による「もの忘れ」と「認知症」の特徴を知る
「財布をしまった場所が思い出せない」ために家中を探しまわったり、「テレビに出ているタレントの名前が出てこない」といったことがあったりするのは普通の「もの忘れ」で、認知症の症状ではありません。記憶には「記銘」「貯蔵」「想起」の3段階がありますが、「記銘」しづらくなるのが老化による物忘れ。そのため、比較的新しいことをすぐ忘れる割に、子供の頃の記憶はしっかりしているわけです。若い頃と比べて覚えにくくなったこと、忘れたことに対する自覚がハッキリしているため、「あれも忘れた」「これも覚えられない」と自分で認知症を疑いやすくなりますが、本人がもの忘れに悩んでいる間は逆に安心だともいえます。
認知症にはさまざまな種類があります。なかでも症例の7割近くを占めるのが「アルツハイマー型認知症」。「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」とあわせて「3大認知症」と呼ばれます。
アルツハイマー型認知症の主な症状はもの忘れのほか、同じ会話や質問を何度も繰り返すことです。症状が進むにつれ、人や物、時間、場所などの誤認識が始まり、妄想や徘徊を起こす人もいます。
最近注目されているレビー小体型認知症では、実際にはないものが見える「幻視」の症状が特徴です。また、レム睡眠中の悪夢により大声で寝言を言ったり、手足をばたつかせて周囲を驚かせることもあります。脳血管性認知症は、脳血管の障害により発症する病気で、歩行障害などを伴うことが知られています。
認知機能をチェックするためのサービスや簡易スケールなども開発されていますので、気になる方は「もの忘れ外来」とともに検討してみてはいかがでしょうか。
もの忘れを防止する工夫は日常生活にあり
もの忘れをこれ以上進めないため、脳トレやサプリメントなどに頼る人も増えています。もの忘れは「記銘」にいたるプロセスが阻害されているため、短期記憶の保存場所であるワーキングメモリーの負荷を減らすことが決め手になります。脳のワーキングメモリーを必要以上に使わないためには、ノートや手帳、付箋、スマホのアラートなどを用いて、記憶を外部化しておくのがおすすめです。いわば「記憶」から「記録」への乗りかえで、脳の負担を減らすことができます。
スマホから常に膨大な情報が流入し続ける現在の生活は、常に情報の濁流のなかにいるといっても過言ではありません。若い人でも情報処理が追いつかなくなり、「脳過労」「オーバーフロー脳」を引き起こしているという説も出てきました。一定時間スマホやパソコンから自分を遮断するデジタル・デトックスは、脳を休息させ、洪水のような情報を整理する役を果たしてくれます。
年齢にかかわらず、「テレビを観ながらスマホ」「パソコンの画面がいつも複数のタブだらけ」という人は、脳の苦手な「マルチタスク」を強いている状態ですから、自覚的に切り上げる必要があります。
最後に、睡眠時間と認知症の関係について調査したスペインのマドリード大学では、約7時間の平均睡眠が最も認知症リスクが低いと発表しています。同時に、睡眠時間が6時間以下の人は36%、8時間以上の人は27%、認知症及び軽度認知障害(MCI)発症リスクがあるとしています。
不要になった情報やノイズは、脳の容量を圧迫するゴミのようなもので、適度な睡眠で毎日排出する必要があると見なされています。快適な睡眠につながる運動や入浴などの基本的習慣も大切にしましょう。
<参考サイト>
・認知症ねっと
https://info.ninchisho.net/
・全国もの忘れ外来一覧
https://www.alzheimer.or.jp/?page_id=10108
・認知症ねっと
https://info.ninchisho.net/
・全国もの忘れ外来一覧
https://www.alzheimer.or.jp/?page_id=10108
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