社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
世界の「競争力」ランキング
国や地域の経済的な力を図る指標にはいくつかあります。中でも「競争力」という視点はこの先を占う上で重要な指標と言えるでしょう。この点ついてはスイス・ローザンヌのビジネススクールIMD(国際経営開発研究所:International Institute for Management Development)が「世界競争力年鑑(World Competitiveness Yearbook)」をまとめています。ここでは2021年版に示されているランキングをみてみましょう。
大分類:経済状況
小分類:国内経済、貿易、国際投資、雇用、物価
大分類:政府効率性
小分類:財政、租税政策、制度的枠組み、ビジネス法制、社会的枠組み
大分類:ビジネス効率性
小分類:生産性・効率性、労働市場、金融、経営プラクティス、取り組み・価値観
大分類:インフラ
小分類:基礎インフラ、技術インフラ、科学インフラ、健康・環境、教育
これらの分類に使用される統計データは各国ごとに337個の指標となっています。またこのうち、アンケートデータは92個です。
これによると、トップ3は1位スイス(2020年3位)、2位スウェーデン(2020年6位)、3位デンマーク(2020年2位)となっています。2位、3位に北欧の国が入っていますが、他にも6位にはノルウェー(2020年7位)、11位にフィンランド(2020年13位)が入っています。
一方、2020年版で1位だったシンガポールは5位に後退しています。このほか、アジアでは、7位の香港(2020年5位)、8位の台湾(2020年11位)といったところが比較的上位にランクインしています。ちなみにアメリカは10位(2020年10位)となっています。
1位スイスが評価されているポイントを見てみましょう。小分類での1位の項目は、「政府効率性」からは「財政」と「制度的枠組み」、「ビジネス効率性」から「金融」、インフラから「教育」となっています。平均して他の項目もおおよそトップ15以内にいるのですが、唯一「物価」のみ58位です。2017年からの順位変動としては、2017年2位、2018年5位、2019年4位、2020年3位といったように順調に上位をキープし続けています。
2020年のデータを分析している三菱総合研究所の資料では、特に近年においては「グローバル化」「ICT化」「人材」の3点が重視される傾向にあるとのこと。このあたりは以前から日本の弱みとしてよく話題に上がるポイントではあります。ランキングの低い項目をみると「財政」63位、「経営プラクティス」62位、「物価」61位となっています。一方、ランキングが高い項目は「雇用」が2位、「国内経済」が8位、科学インフラが同じく8位、国際投資が9位、健康・環境で9位といったところです。
2020年のデータと比較すると、あまり大きな変化はありません。2020年の調査でもっとも順位の低かった「経営プラクティス」は2020年から変わらず62位、次に低かった「財政」は61位から63位へ下げ、2020年で3つ目にランキングが低かった「物価」は59位から61位に下げています。順位変動の大きさで見ると「貿易」が39位から43位に4つ下げた以外は、全ての値で2020年から3つ以内の変動に収まっています。2020年に比べて最もランキングが上がった項目は「金融」で18位から15位です。
経済状況、政府効率性、ビジネス効率性、インフラの4つの指標
IMDの「世界競争力年鑑」は、競争力に関するその地域の統計データと、企業の経営層を対象とするアンケート調査から導き出されています。これを世界63の国や地域を対象として収集したものです。統計データだけでなくアンケートを取り入れることにより、データだけからは見えにくい側面を反映させ、幅広い視点から分析できる仕組みになっているようです。大分類としては「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4つがあり、ここからさらに大分類ごとに5つの小分類(計20個)があります。これらをもとにして、総合的な順位が導き出されています。5つの大分類、およびその下にある20の小分類は以下の通り。なお、和訳は三菱総合研究所のものに沿っています。大分類:経済状況
小分類:国内経済、貿易、国際投資、雇用、物価
大分類:政府効率性
小分類:財政、租税政策、制度的枠組み、ビジネス法制、社会的枠組み
大分類:ビジネス効率性
小分類:生産性・効率性、労働市場、金融、経営プラクティス、取り組み・価値観
大分類:インフラ
小分類:基礎インフラ、技術インフラ、科学インフラ、健康・環境、教育
これらの分類に使用される統計データは各国ごとに337個の指標となっています。またこのうち、アンケートデータは92個です。
2021年度のランキングトップはスイス
この調査における実際のランキングをみてみましょう(2021年版)。これによると、トップ3は1位スイス(2020年3位)、2位スウェーデン(2020年6位)、3位デンマーク(2020年2位)となっています。2位、3位に北欧の国が入っていますが、他にも6位にはノルウェー(2020年7位)、11位にフィンランド(2020年13位)が入っています。
一方、2020年版で1位だったシンガポールは5位に後退しています。このほか、アジアでは、7位の香港(2020年5位)、8位の台湾(2020年11位)といったところが比較的上位にランクインしています。ちなみにアメリカは10位(2020年10位)となっています。
1位スイスが評価されているポイントを見てみましょう。小分類での1位の項目は、「政府効率性」からは「財政」と「制度的枠組み」、「ビジネス効率性」から「金融」、インフラから「教育」となっています。平均して他の項目もおおよそトップ15以内にいるのですが、唯一「物価」のみ58位です。2017年からの順位変動としては、2017年2位、2018年5位、2019年4位、2020年3位といったように順調に上位をキープし続けています。
日本は31位
2021年の日本の順位は31位となっています。これまでの変動を見ると、この年鑑がスタートした1989年の時点での日本のランキングは1位となっています。その後1992年までは1位をキープし、1996年まで2位から4位を移動しています。1997年に17位まで落ち、ここ数年は25位前後で変動しましたが、2019年は30位、2020年は34位となっています。2020年のデータを分析している三菱総合研究所の資料では、特に近年においては「グローバル化」「ICT化」「人材」の3点が重視される傾向にあるとのこと。このあたりは以前から日本の弱みとしてよく話題に上がるポイントではあります。ランキングの低い項目をみると「財政」63位、「経営プラクティス」62位、「物価」61位となっています。一方、ランキングが高い項目は「雇用」が2位、「国内経済」が8位、科学インフラが同じく8位、国際投資が9位、健康・環境で9位といったところです。
2020年のデータと比較すると、あまり大きな変化はありません。2020年の調査でもっとも順位の低かった「経営プラクティス」は2020年から変わらず62位、次に低かった「財政」は61位から63位へ下げ、2020年で3つ目にランキングが低かった「物価」は59位から61位に下げています。順位変動の大きさで見ると「貿易」が39位から43位に4つ下げた以外は、全ての値で2020年から3つ以内の変動に収まっています。2020年に比べて最もランキングが上がった項目は「金融」で18位から15位です。
<参考サイト>
World Competitiveness Ranking
https://www.imd.org/centers/world-competitiveness-center/rankings/world-competitiveness/
IMD「世界競争力年鑑2020」からみる日本の競争力 第1回:日本の総合順位は30位から34位に下落|MRI三菱総合研究所
https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20201008.html
World Competitiveness Ranking
https://www.imd.org/centers/world-competitiveness-center/rankings/world-competitiveness/
IMD「世界競争力年鑑2020」からみる日本の競争力 第1回:日本の総合順位は30位から34位に下落|MRI三菱総合研究所
https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20201008.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
『武功夜話』は偽書か?…疑われた理由と執筆動機の評価
歴史の探り方、活かし方(5)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈下〉
豊臣秀次事件に対する見方を変えた『武功夜話』だが、実は偽書疑惑もある。今回は、そのことに鋭く迫っていく。『武功夜話』は、豊臣秀吉に仕えて大名まで上り詰めた前野長康の功績を中心に記された史料だが、その発表・出版の...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/28
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた主な要因として、二つのオウンゴールを挙げる島田氏。その一つとして台湾のモリス・チャン氏によるTSMC立ち上げの話を取り上げるが、日本はその動きに興味を示さず、かつて世界を席巻して...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/25
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
この人生を生きていくうえで、「歴史」をひもとくと貴重なヒントにいくつも出会えます。では、実際にはどのように歴史をひもといていけばいいのか。
今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/27
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
「習近平中国」「習近平時代」における中国内政の特徴を見る上では、それ以前との比較が欠かせない。「中国は、毛沢東により立ち上がり、鄧小平により豊かになり、そして習近平により強くなる」という彼自身の言葉通りの路線が...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/09/25


