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21世紀以降に絶滅した動物
地球の歴史上、多くの生物が絶滅、あるいは絶滅の危機に瀕してきました。TV番組や動画などで、そうした稀少な生物について知る機会も増えてきています。とはいえ、絶滅生物について身近に感じる人は多くはないかもしれません。
しかしながら、実は今でも1日あたり数十種、1年で4万種以上の生物が絶滅しているといわれ、その絶滅スピードは自然に起こる1000倍ともされているのです。
それでは21世紀という現代において、いったいどのような生物が絶滅しているのでしょうか?
カリブモンクアザラシは、人為的に絶滅に追いやられた唯一のアザラシと言われています。
かろうじてチェコの動物園にオス1頭とメス2頭が飼育されていたものの、2014年に唯一のオスが死亡。自然繁殖は不可能となりましたが、オスの精子が冷凍保存されており、現在これを利用した体外受精の研究が進められています。
つがいとなるメスの発見に望みをかけ、ロンサム・ジョージは研究施設で保護されましたが、彼以外の個体はついに発見されないまま2012年6月24日に死亡。改めてピンタゾウガメは絶滅種に指定されたのでした。
しかし2017年には長崎県対馬、2018年に栃木県那須町、2020年に高知県大月町で目撃情報が寄せられており、生息の可能性が示唆されているものの、未だ確証にいたっていません。
生息調査をしたクイーンズランド州政府は「人類が引き起こした異常気象によって絶滅させられた、世界初の哺乳類だ」と発表しています。
以上、ごく一部ですが、21世紀で絶滅した動物、生物を紹介しました。
長い歴史の中で自然淘汰されて絶滅した生物もいますが、近年絶滅する理由のほとんどが、人間の活動の影響によるものだということがお分かりいただけたかと思います。
絶滅する種の中には私たちがうっかり見過ごしてしまうほどごく小さな、目立たない生き物もたくさんいます。そのために軽視されがちですが、彼らが大気や水をきれいにする、花の受粉を促すといった、生態系を保つ重要な役割を果たしていること、彼らの存在のおかげで地球環境が保たれていることを、私たちは決して忘れてはならないのです。
たった1年で4万種が絶滅!そのスピードは加速し続けている
確かに「絶滅した」というニュースを見聞きすること自体、あまりないように感じられます。しかしながら、実は今でも1日あたり数十種、1年で4万種以上の生物が絶滅しているといわれ、その絶滅スピードは自然に起こる1000倍ともされているのです。
それでは21世紀という現代において、いったいどのような生物が絶滅しているのでしょうか?
21世紀に絶滅した生物(1)ヨウスコウカワイルカ(2006年絶滅)
その名の通り中国の揚子江(長江)に生息したとされるカワイルカです。中国の昔話にも登場し“長江の女神”と呼ばれて愛されましたが、ダムや水門の建設、漁船との衝突事故、人口増加による都市開発や水中への騒音などが原因で激減したとされ、2006年に絶滅が宣言されました。21世紀に絶滅した生物(2)カリブモンクアザラシ(2008年絶滅)
カリブ海、メキシコ湾の温かい海に生息した亜熱帯性の唯一のアザラシです。17世紀、カリブモンクアザラシの脂肪が、砂糖農家が利用する機械油となるために大規模に乱獲されました。最後に目撃されたのは1952年。以降生存情報がなく、2008年に絶滅種に認定されました。カリブモンクアザラシは、人為的に絶滅に追いやられた唯一のアザラシと言われています。
21世紀に絶滅した生物(3)キタシロサイ(2008年絶滅)
アフリカのチャドやコンゴ共和国(旧ザイール)に生息したサイで、鼻の上の2本の角が大きな特徴です。1970年以降、激しい密猟のターゲットとなり個体数が激減。懸命な保護活動が行われましたが、コンゴの内戦により活動が中止に。乱獲に歯止めがかからないまま、野生のキタシロサイは姿を消しました。かろうじてチェコの動物園にオス1頭とメス2頭が飼育されていたものの、2014年に唯一のオスが死亡。自然繁殖は不可能となりましたが、オスの精子が冷凍保存されており、現在これを利用した体外受精の研究が進められています。
21世紀に絶滅した生物(4)ワキアカカイツブリ(2010年絶滅)
マダガスカル島の湖に生息した鳥類で、全長は25cm程度。先端が灰色の黒いくちばしを持ち、主に湖にもぐって魚類を捕らえて食べました。絶滅原因は乱獲や他種との交雑、さらに人間が湖にプラーチョンというドジョウを放流した影響と思われています。21世紀に絶滅した生物(5)ピンタゾウガメ(2012年絶滅)
ガラパゴス諸島のピンタ島に生息したリクガメです。食用としての乱獲、家畜の移入による植生の破壊によって激減してしまい、1959年に一度絶滅が宣言されました。しかし1971年、奇跡的に生き残っていたオスを発見。「ロンサム・ジョージ(ひとりぼっちのジョージ)」と名づけられたこのピンタゾウガメは世界中のメディアで取り上げられ、一躍人気者となりました。つがいとなるメスの発見に望みをかけ、ロンサム・ジョージは研究施設で保護されましたが、彼以外の個体はついに発見されないまま2012年6月24日に死亡。改めてピンタゾウガメは絶滅種に指定されたのでした。
21世紀に絶滅した生物(6)ニホンカワウソ(2012年絶滅)
魚やエビ、カニなどをエサとし、伝説上の生き物「カッパ」のモチーフだともいわれるニホンカワウソ。1880年には東京でも見られるほどごくありふれた動物でしたが、明治以降、その良質な毛皮や薬の原料となる肝臓を目的に乱獲が横行し、個体数が激減。環境省は2012年、ニホンカワウソの絶滅を発表しました。しかし2017年には長崎県対馬、2018年に栃木県那須町、2020年に高知県大月町で目撃情報が寄せられており、生息の可能性が示唆されているものの、未だ確証にいたっていません。
21世紀に絶滅した生物(7)タイワンウンピョウ(2013年絶滅)
ウンピョウ(雲豹)とは森林に生息するネコ科の肉食獣で、体の斑紋(はんもん)が雲形に見えることがその名の由来となっています。台湾に生息していたタイワンウンピョウは、先住民族のパイワン族が「聖獣」として崇める稀少動物でしたが、毛皮や牙を求めて乱獲され続け、絶滅したとされます。しかし2013年、目撃情報が寄せられたのを機に、再度調査が進められています。21世紀に絶滅した生物(8)ブランブル・ケイ・メロミス(2016年絶滅)
オーストラリアのグレートバリアリーフにあるブランブル・ケイ島に生息した小さなネズミで、植物やウミガメの卵などを食べていました。しかし地球温暖化による海面上昇、高潮の影響で食料となる植物が激減し、生息地も水没したため、1983年頃から減少。2006年に目撃されたのを最後に、2016年絶滅が宣言されました。生息調査をしたクイーンズランド州政府は「人類が引き起こした異常気象によって絶滅させられた、世界初の哺乳類だ」と発表しています。
21世紀に絶滅した生物(9)シマハヤブサ(2018年絶滅)
北硫黄島および硫黄島にのみ生息していたといわれるハヤブサの固有亜種です。太平洋戦争前まで、北硫黄島は無人島で多くの固有種が生息していましたが、戦争によって人が入植し、同時に外来種のネズミが持ち込まれたことで島の環境が激変。この環境変化によって、シマハヤブサのエサとなる海鳥が局所絶滅したのです。以降、シマハヤブサの生息は確認されず、2018年に絶滅指定されました。21世紀に絶滅した生物(10)スムース・ハンドフィッシュ(2020年絶滅)
オーストラリアのタスマニア沿岸の浅瀬に生息した海水魚です。1802年に初めて目撃(個体はその後標本化)され、小さな手のようなヒレを使って海底を歩くように移動するユニークな姿から名づけられました。しかしその後は乱獲、海水汚染の犠牲となって減少の一途をたどり、最初の目撃から一度も生息が確認されることなく、2020年5月に絶滅種に指定。現代の海水魚で初の絶滅種となったのでした。以上、ごく一部ですが、21世紀で絶滅した動物、生物を紹介しました。
長い歴史の中で自然淘汰されて絶滅した生物もいますが、近年絶滅する理由のほとんどが、人間の活動の影響によるものだということがお分かりいただけたかと思います。
絶滅する種の中には私たちがうっかり見過ごしてしまうほどごく小さな、目立たない生き物もたくさんいます。そのために軽視されがちですが、彼らが大気や水をきれいにする、花の受粉を促すといった、生態系を保つ重要な役割を果たしていること、彼らの存在のおかげで地球環境が保たれていることを、私たちは決して忘れてはならないのです。
<参考サイト>
・LOST ZOOホームページ
http://lostzoo.com/index.html#welcome
・WWF JAPANホームページ
https://www.wwf.or.jp
・LOST ZOOホームページ
http://lostzoo.com/index.html#welcome
・WWF JAPANホームページ
https://www.wwf.or.jp
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