テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2021.09.29

わざわざ人の隣を選ぶ人の「心理」とは?

日常に潜む「トナラー」

 人は普段の生活の中で、意識しなくても「パーソナルスペース」を取って行動しています。パーソナルスペースとは、その名のとおりの個人的な空間で、縄張り意識ともいえます。広さには個人差がありますが、一般的には両手を広げた程度の範囲で、おおよそ半径45cmより内側に見ず知らずの人が近づくと、多くの人が不快感を覚えるといわれます。

 ましてやコロナ禍の現状で、他人と密になることは避けたいですよね。ところが、このような社会情勢をものともせず、なぜか隣にやってくる「トナラー」と呼ばれる人々が存在します。トナラーは電車やバス、飲食店、映画館など、日常のさまざまな場面に現れます。もちろん、混雑しているならしかたないのですが、周囲に人がほとんどいないガラガラの状態でも距離を開けず、あえて隣にくるのです。

 他にも場所があるのにわざわざパーソナルスペースの内側に入られたら、不快感を覚えても無理はありません。特に女性なら、変質者なのかもしれないと不審に思ったり、恐怖を感じたりすることもあるでしょう。法律的にはなにも悪いことをしていませんが、やはりトナラーには会いたくないですよね。

なぜわざわざ隣にくるのか?

 理解しがたいトナラーですが、一体どのような心理でわざわざ人の隣を選んでくるのでしょうか。実は、その行動には意識的なものと無意識的なものがあるようです。

 意識的なトナラーの心理には次のようなものがあります。

 座る場所を決めている:毎日乗る電車や、行きつけの飲食店などで座る席を決めている人がいます。この場合は席そのものにこだわりがあり、いつもの席に座ったら結果的にトナラーになっていただけなので、あえて隣に座ろうと思っているわけではないのです。

 端から整然と並んでいないと気がすまない:人やものがぱらぱらとばらけている様子が嫌いなタイプです。端からきちっと整列していないと落ち着かないため、間を詰めてきます。子どもの頃に「ちゃんとしなさい」と厳しく育てられた人に多いようです。

 隣の車を目印にしたい:駐車場に限られるパターンですが、駐車ラインよりも他の車を目印にするほうが車を停めやすいため、隣に並べて停めてしまう人がいます。特に運転が苦手な人はやりがちですが、失敗してぶつけられたらと思うと不安になりますよね。

 一方、無意識的なトナラーの心理には次のようなものがあります。

 近くに人がいないと不安を感じる:孤独になると寂しさや恐怖を感じるため、他人の近くに寄って安心感を得たい人です。本能的な反応なので本人に自覚はなく、無意識のうちにトナラーになっています。当然のように他人に寄ってきますが、悪意はないのです。

 ぼんやりしている、考えごとをしている:人間なら誰でも疲れていればぼんやりしますし、重要な仕事などがあれば公共の場でも考えごとに没頭することもありますよね。このような状態のときは周囲に気が回らないので、たまたまトナラーになっていることもあるのです。

トナラーを上手に避けるコツ

 このように、トナラーのほとんどは悪気がないのですが、なかには他人が驚いたり嫌がったりする姿を見たいというタイプや、本物の変質者という場合もあります。悪質なトナラーを近づけないためにも、次のようなコツを生かして回避してください。

 両隣が空いている席を選ぶ:席が自由に選べるときは、両隣が空いているところにすればトナラーが来ても反対側の席にすぐ移動できます。「いきなり移動すると失礼かな」と気を使う必要はありません。不快なら遠慮なく移動しましょう。また、店員さんが席に案内してくれる飲食店や、事前に席を予約する映画館など、トナラーが席を自由に選べない施設を利用するのもいい方法です。

 入り口が見られる角度で座る:人間も動物なので、他人と目が合うと本能的に脅威を感じます。このため、入り口に顔を向けて座ることがトナラー避けには効果的。飲食店や電車などに入ってきた相手の顔を、ちらりと見るだけでトナラーを遠ざけられます。じろじろ見たりにらんだりするとトラブルの原因になるので、一瞬だけ目が合うようにするのがコツです。

 トナラーには老若男女がいるので、外見からはすぐにわかりません。突如として現れるトナラーに不快な思いをさせられないよう、うまく自衛して穏やかな日常を過ごしてくださいね。

<参考サイト>
トナラーがうざい!わざわざ隣を選ぶ人の心理&上手な対策法をご紹介│ローリエプレス 
https://laurier.excite.co.jp/i/E1599544339787
松本人志も遭遇、空いているのに隣に来る“トナラー”の心理│NEWSポストセブン 
https://www.news-postseven.com/archives/20200325_1550197.html?DETAIL

~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために

百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために

大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために

硫黄島の戦いでの奇跡的な物語を深く探究したノンフィクション『大統領に告ぐ』。著者の門田隆将氏は、「読者の皆さんには、その場に身を置いて読んでほしい」と語る。硫黄島の洞窟の中で、自分が死ぬ意味を考えていた日本人将...
収録日:2025-07-09
追加日:2025/08/15
門田隆将
作家 ジャーナリスト
2

原発建設には10年以上も…小型モジュール炉の可能性と課題

原発建設には10年以上も…小型モジュール炉の可能性と課題

日本のエネルギー政策大転換は可能か?(2)世界のエネルギーと日本の原発事情

再生可能エネルギーのシェアが世界的に圧倒的な伸びを見せる中、第7次エネルギー基本計画において原子力発電を最大限活用する方針を示した日本政府だが、それはどこまで現実的なのか。国際エネルギー機関が発表した今後のエネル...
収録日:2025-04-04
追加日:2025/08/17
鈴木達治郎
長崎大学客員教授 NPO法人「ピースデポ」代表
3

なぜ社会的時差ボケになる?若者の夜型傾向とうつの関係

なぜ社会的時差ボケになる?若者の夜型傾向とうつの関係

睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(3)夜型人間と社会的時差ボケの関係

「夜型人間ほど社会的時差ボケは大きい」――つまり社会的時差ボケには、いわゆる夜型の生活習慣が大きく関わっているということだ。また、実はそうした睡眠のリズムは、持って生まれた遺伝子の影響も無視できないという。クロノ...
収録日:2025-01-17
追加日:2025/08/16
西多昌規
早稲田大学スポーツ科学学術院教授 早稲田大学睡眠研究所所長
4

日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本

日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本

戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来

日本陸軍は戦前の歴史をどう動かしたのか。シリーズでは陸軍の皇道派と統制派がどのような考えのもとに動いたかを論じる。第1話の今回はまず、第一次大戦が世界史的にいかなる意味を持ったかについて解説する。(全7話中第1話)
収録日:2018-12-25
追加日:2022/08/12
中西輝政
京都大学名誉教授 歴史学者 国際政治学者
5

全ては経済?…米中対立の現状とリスクが高まる台湾危機

全ては経済?…米中対立の現状とリスクが高まる台湾危機

トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(2)米中対立の現在地

世界第一、第二の経済力を誇る米中の対立は由々しい問題である。第1次トランプ政権下で始まった対立はバイデン政権に継承されてきたが、トランプ第2次政権では主題はもっぱら経済に集中している。われわれも米中協議の行方を注...
収録日:2025-06-23
追加日:2025/08/14
佐橋亮
東京大学東洋文化研究所教授