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DATE/ 2022.03.04

警察じゃなくても「逮捕」はできるのか

 「逮捕」は通常、警察が行います。しかし一定の条件を満たしていれば、一般人が被疑者を逮捕することも可能です。「逮捕」とは「相手を身動きできないように拘束する」という意味です。他者の自由を奪う行為なので、やはり一般人が行うには、リスクがあります。では、どういった場面で一般人が「逮捕」することができ、またどういったリスクがあるのでしょうか。

逮捕には大きく3種類ある

 法律上の「逮捕」には、大きくは「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」の3種類があります。「通常逮捕」は裁判官により発布された逮捕状をもとに、警察官や検察官が行う逮捕のこと。一般的に私たちがドラマなどで見ることの多いシーンでもあります。これに対して「現行犯逮捕」とは、犯罪が起きているその現場で逮捕したり、犯罪直後の被疑者を逮捕したりするものです。この場合、犯人を取り違えるおそれが低いことなどもあり、逮捕令状の発付は不要です。

 また事前の令状なしで逮捕できるのが「緊急逮捕」です。ただしこれは例外的な逮捕です。「緊急逮捕」できる場合の条件は、「重大な犯罪」であること、「被疑者の嫌疑が十分」であること、「被疑者に逃亡や証拠隠滅の恐れがある」ことです。ただしこの場合でも、逮捕したのち直ちに令状の発付を受ける必要はあります。

 唯一「現行犯逮捕」に関しては一般人でも可能です。一般人が逮捕することを「私人逮捕(常人逮捕)」と言います。「現行犯」の場合、今目の前で犯罪が行われている状況なので、犯行が明確かつ、犯人を取り違える可能性はかなり低いと考えられることもあり、「私人逮捕」が可能とされています。これに該当する事例はたとえば万引き行為を目撃した場合や、敷地に他人が侵入している場合、といったことが考えられます。

「私人逮捕」にはリスクが伴う

 犯罪はいつ起きるか分かりません。だからこそこういった「私人逮捕」が可能であることで、法秩序は保たれています。ただし、「私人逮捕」はトラブルに発展しやすいことも事実です。逮捕できる条件をしっかり意識しておく必要があります。

 私人逮捕できる条件は、現行犯もしくは準現行犯(罪を犯して間もない状態)であることが前提です。また、容疑が過失傷害罪や侮辱罪といった軽度の犯罪(30万円以下の罰金、拘留、科料の罪)の場合、犯人の住所や氏名が不明で、逃走するおそれがある場合に限られています。つまり、犯人の住所や名前がわかる場合などは私人逮捕できないことになっています。

 この条件に合致しないと、捕まえた人の方が罪に問われることもあるようです。また、相手に怪我をさせるような過度の取り押さえになった場合、暴行罪に問われるかもしれません。また、正当な理由なく警察署などへ引き渡さなかった場合は、逮捕監禁罪に問われる可能性もあります。もしこれらに該当せずとも、誤認逮捕だった場合、それなりの責任を問われることにもなりそうです。

指名手配犯は私人逮捕できない

 指名手配犯は現行犯ではないので一般人が逮捕することはできません。指名手配犯を見たと思ったら警察に連絡しましょう。もちろん私人逮捕は、社会の秩序を維持する上で必要な制度です。ただし、ここまで見てきたように、逮捕できる条件はやや細かいです。また、犯人が暴れるかもしれない場合や、犯罪の事実が確実とはいえない場合、私人逮捕のリスクはやや大きすぎるとも言えるでしょう。

 もちろん状況によりますが、基本的には110番通報を優先させましょう。その上で、現行犯をやめさせることが可能であればその方法に知恵を絞るのはどうでしょうか。また車のナンバーを控える、犯人を写真に撮っておくといったように証拠を抑えておけば、被害者がいた場合にその人を救うことにつながります。正義感を持つことは悪いことではありません。しかし、正義感ゆえにその場の状況を見誤ることは起こります。

<参考サイト>
私人逮捕とは|一般人でも逮捕できる要件と4つの事例を解説|刑事事件弁護士ナビ
https://keiji-pro.com/columns/5/
一般人でも犯罪者を逮捕できる?その仕組みは。|DARWIN LAW OFFICE
https://criminal.darwin-law.jp/column/1375/
逮捕には逮捕権が必要? 私人逮捕されるケースを解説|ベリーベスト法律事務所 刑事事件
https://keiji.vbest.jp/columns/g_other/5641/

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