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DATE/ 2022.03.08

何もないのに音がする「家鳴り」の原因と対策

 家にいるとき、何をしたわけでもないのに、ギシギシやミシミシと音がして驚いたことはありませんか。ポルターガイストや心霊現象だと怯える人もいるかもしれませんが、ご安心を。これは家が音を立てる「家鳴り」という現象で、新築の家でも古い家でも起こるもの。その原因にはさまざまなものがあります。今回はなぜ家鳴りが起こるのか、その原因と対策をご紹介します。

家鳴りの原因その1:湿気や温度

 大きなものとしては「木材や金属が湿気や温度の影響を受けるため」です。木材は湿気が上がると金属は水分を吸って膨張し、乾燥すると水分は失われて縮小するという性質があります。それによって発生する軋みや歪みによって音が発生しているのです。また、木材が乾燥することによって木材に細かいひびが入る音がすることもあります。なお、木材にひびが入るのは自然のことなので、家の構造に影響はないのでご安心ください。

 新築の木造建築では家鳴りが起こりやすいのですが、これはまだ新しい木材は家に馴染むまで時間がかかるため。数年は家鳴りが続きますが、馴染むのに必要な過程なので過度に心配する必要はないことは覚えておきましょう。

 一方、金属は温度が高くなると膨張し、低くなると縮小するという性質を持っています。そのため、窓のサッシや釘やプレート、鉄板などが音を立てていることもあるのです。家鳴りは木造建築に多いといいますが、木造でなくてもこうした金属が原因の家鳴りが起こることは珍しくありません。

家鳴りの原因その2:傾きや揺れ

 もうひとつは「地震や家具の配置によって傾きや揺れが起こるため」。地震が起こったとき、私たちは感じないような些細な揺れでも、建物は影響を受けることがあるのです。その結果、崩れたバランスを直そうと建物が軋んで、家鳴りにつながることがあります。また、地震によって地盤が傾いたりしてしまうと、建物はその地盤に馴染もうと軋むことがあり、そのときにも音が発生することがあります。

 同様に、備え付けの家具など、重いものが家の同じところに置かれ続けると、私たちが気付かない程度の傾きが生まれ、軋みにつながることがあるともいわれています。これは一軒家に限らず、マンションやアパートなどの集合住宅でも起こることがあります。

家鳴りの対処法は?

 前述の通り、湿気や温度が原因の家鳴りは、家が馴染むために必要な過程でもあるので、完全になくすことは難しいでしょう。その中でもとれる対策としては、温度、湿度をなるべく一定に保つことが挙げられます。家鳴りは冬、特に夜が多いといわれていますが、これは木材や金属が一気に冷やされて急激な収縮が起こるため。つまり、急激な温度や湿度の変化が家鳴りを引き起こしやすいので、その変化が少しでもゆるやかになるよう、夜は早めに暖房を消すなどの工夫をするのが良いでしょう。

心霊現象ではないのでご安心を

 家の中で覚えのない音が怖いと思っていた方も、こうした家鳴りという現象を知ることで怖さを感じることもなくなるのではないでしょうか。

 しかし、温度や湿度の変化にかかわらずに家鳴りがする場合には、地盤や建物の歪みが原因の可能性も考えられます。建物の傷みが家鳴りの原因になっている可能性もあるので、特に古い家で家鳴りが気になる場合には、業者に調査を依頼することも考えてみてください。

<参考サイト>
・家鳴りって何?原因と対処法、心霊現象との違いを解説!│エスケーハウス株式会社
https://www.skhouse.jp/reform-contents/11315.php

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