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山手線はなぜ緑?各線ラインカラーの意外な由来
世界的な大都市で東京都心を中心とした首都圏は、JR東日本の山手線を中心とした鉄道の公共交通機関も充実しています。しかしながら、充実しているということは、複雑で絡み合った路線網であるともいえます。
そこでJR東日本や「東京メトロ」の愛称で知られる東京地下鉄といった充実した路線網が展開される都市部の鉄道各社は、各線ラインカラーを採用し、色で区別したわかりやすい案内標識などに活用しています。
1962(昭和37)年の国鉄時代から、山手線の車両は「ウグイス色」と親しまれた旧国鉄の「国鉄車両関係色見本帳」の「黄緑6号」に塗色されるようになり、さらに1964(昭和39)年以降「黄緑6号」色の量産車両が投入されました。当時は電車にカラフルな塗色を施すことがめずらしかったこともあり、緑(黄緑)が山手線のイメージとして定着したことを受け継いだのではないかといわれています。
なお、車両カラーとラインカラーは違います。車両カラーは車両全体の塗色を指しますが、ラインカラーは車両のハイライトの塗色を指します。ステンレス車の採用が主流となり、ラインカラーの採用が増えたと考えられています。
【JR東日本の主なラインカラー】(2022年10月現在)
[路線名:ラインカラー]
山手線:緑(黄緑)
東海道線:オレンジ
中央線・総武線各駅停車:黄色
中央線:青
中央線快速:オレンジ(朱)
中央線・地下鉄当座東西線直通:グレー
京浜東北線・根岸線:水色
埼京線:緑
湘南新宿ライン:赤
上野東京ライン:紫
ラインカラーの誕生と普及は、乗車案内の視認性を高め、誤乗車防止などに役立っています。
しかし、当時開業していた東京メトロの銀座線・丸ノ内線・日比谷線・東西線・千代田線の5路線と、都営地下鉄の浅草線・三田線の2路線重複するカラーがあったことなどから協議が行われ、各線のラインカラーが重ならないように割り振られ、正式に採用されることとなりました。
東京メトロの各線のラインカラーには、由来とされている意外でおもしろいエピソードがあります。
【東京メトロ9線のラインカラーと由来エピソード】(2022年10月現在)
[路線名:ラインカラー(由来エピソード)]
銀座線:オレンジ(ベルリンの地下鉄を模範した明るい黄色の車両色から)
丸ノ内線:レッド(丸ノ内線建設調査の欧州視察で入手した煙草の「ベンソン&ヘッジス」の缶の色を参考にした)
日比谷線:シルバー(初のステンレス車の無塗装の色から)
東西線:スカイブルー(ステンレス車で他線と区別するためのハイライトカラーとして、煙草の「ハイライト」の水色を参考にした)
千代田線:グリーン(ステンレス車で他線と区別するためのハイライトカラーとして、相互直通予定の常磐線を走っていた103系電車の車体色グリーンを参考にした)
有楽町線:ゴールド(ラインカラー制定後に開業。他と重複せず識別しやすい色。「有楽町」という語感から「都心のオフィス街」などの華やかなイメージから)
南北線:エメラルド(ラインカラー制定後に開業。他と重複せず識別しやすい色。沿線に点在する庭園のイメージから)
半蔵門線:パープル(ラインカラー制定後に開業。他と重複せず識別しやすい色)
副都心線:ブラウン(ラインカラー制定後に開業。他と重複せず識別しやすい色)
ただし、大阪メトロでは、1975(昭和50)年からラインカラーを採用しています。そして、東京メトロより意味づけが重視されているといえる、“おもろい”由来エピソードが各線にあります。
【大阪メトロ9線のラインカラーと“おもろい”由来エピソード】(2022年10月現在)
[路線名:ラインカラー(由来エピソード)]
御堂筋線:臙脂色(赤)(御堂筋は「大阪の大動脈」であり、大動脈を流れる血液のイメージから)
谷町線:京紫色(沿線に歴史のある寺が多いため、最高位の僧侶がまとう袈裟の色から)
四つ橋線:縹色(青)(御堂筋線よりも海側を走っていることや、御堂筋線の「大動脈」に対する「静脈」という位置づけから)
中央線:緑色(緑の多い大阪城公園の地下を走ることから)
千日前線:紅梅色(桃)(繁華街である千日前通りの夜を彩るピンク系のネオン色から)
堺筋線:茶色(相互乗り入れをしている阪急電車の車両カラーに合わせて)
長堀鶴見緑地線:萌黄色(沿線の鶴見緑地公園の芝生の色から)
今里筋線:柑子色(オレンジ)(他と重複せず識別しやすい色であり、また、暖かさをイメージ)
ニュートラム:水色(南港の海と空の色から)
いかがでしたでしょうか。意外と思った由来やおもしろいと感じた由来はあったでしょうか。知らない路線を利用する際には、ぜひラインカラーにも注目してみてください。おもしろい発見があるかもしれません。
そこでJR東日本や「東京メトロ」の愛称で知られる東京地下鉄といった充実した路線網が展開される都市部の鉄道各社は、各線ラインカラーを採用し、色で区別したわかりやすい案内標識などに活用しています。
ラインカラーの誕生は山手線から!?
電車のラインカラー誕生の起源は山手線にあると考えられていますが、残念ながら山手線のラインカラーが緑(黄緑)となった明確な理由は不明です。ただし、由来と考えられる歴史はあります。1962(昭和37)年の国鉄時代から、山手線の車両は「ウグイス色」と親しまれた旧国鉄の「国鉄車両関係色見本帳」の「黄緑6号」に塗色されるようになり、さらに1964(昭和39)年以降「黄緑6号」色の量産車両が投入されました。当時は電車にカラフルな塗色を施すことがめずらしかったこともあり、緑(黄緑)が山手線のイメージとして定着したことを受け継いだのではないかといわれています。
なお、車両カラーとラインカラーは違います。車両カラーは車両全体の塗色を指しますが、ラインカラーは車両のハイライトの塗色を指します。ステンレス車の採用が主流となり、ラインカラーの採用が増えたと考えられています。
【JR東日本の主なラインカラー】(2022年10月現在)
[路線名:ラインカラー]
山手線:緑(黄緑)
東海道線:オレンジ
中央線・総武線各駅停車:黄色
中央線:青
中央線快速:オレンジ(朱)
中央線・地下鉄当座東西線直通:グレー
京浜東北線・根岸線:水色
埼京線:緑
湘南新宿ライン:赤
上野東京ライン:紫
ラインカラーの誕生と普及は、乗車案内の視認性を高め、誤乗車防止などに役立っています。
東京メトロ各線ラインカラーの意外な由来
JR東日本と同様に、東京メトロも1970(昭和45)年からラインカラーを導入しています。ただし、東京メトロでは、1970年以前にも各線のシンボルカラーが存在し、車両の塗り分けも行われていました。しかし、当時開業していた東京メトロの銀座線・丸ノ内線・日比谷線・東西線・千代田線の5路線と、都営地下鉄の浅草線・三田線の2路線重複するカラーがあったことなどから協議が行われ、各線のラインカラーが重ならないように割り振られ、正式に採用されることとなりました。
東京メトロの各線のラインカラーには、由来とされている意外でおもしろいエピソードがあります。
【東京メトロ9線のラインカラーと由来エピソード】(2022年10月現在)
[路線名:ラインカラー(由来エピソード)]
銀座線:オレンジ(ベルリンの地下鉄を模範した明るい黄色の車両色から)
丸ノ内線:レッド(丸ノ内線建設調査の欧州視察で入手した煙草の「ベンソン&ヘッジス」の缶の色を参考にした)
日比谷線:シルバー(初のステンレス車の無塗装の色から)
東西線:スカイブルー(ステンレス車で他線と区別するためのハイライトカラーとして、煙草の「ハイライト」の水色を参考にした)
千代田線:グリーン(ステンレス車で他線と区別するためのハイライトカラーとして、相互直通予定の常磐線を走っていた103系電車の車体色グリーンを参考にした)
有楽町線:ゴールド(ラインカラー制定後に開業。他と重複せず識別しやすい色。「有楽町」という語感から「都心のオフィス街」などの華やかなイメージから)
南北線:エメラルド(ラインカラー制定後に開業。他と重複せず識別しやすい色。沿線に点在する庭園のイメージから)
半蔵門線:パープル(ラインカラー制定後に開業。他と重複せず識別しやすい色)
副都心線:ブラウン(ラインカラー制定後に開業。他と重複せず識別しやすい色)
大阪メトロ各線ラインカラーの“おもろい由来”
ところで、電車のラインカラーの採用は、JR東日本のエリアを中心とした関東での採用率が高い反面、JR西日本のエリアを中心とした西日本ではそれほど普及していないようです。理由としては、複数線区がまたがっていることや、線の相互乗り入れなども多いため、ラインカラーの採用がしにくいといったことが挙げられるようです。ただし、大阪メトロでは、1975(昭和50)年からラインカラーを採用しています。そして、東京メトロより意味づけが重視されているといえる、“おもろい”由来エピソードが各線にあります。
【大阪メトロ9線のラインカラーと“おもろい”由来エピソード】(2022年10月現在)
[路線名:ラインカラー(由来エピソード)]
御堂筋線:臙脂色(赤)(御堂筋は「大阪の大動脈」であり、大動脈を流れる血液のイメージから)
谷町線:京紫色(沿線に歴史のある寺が多いため、最高位の僧侶がまとう袈裟の色から)
四つ橋線:縹色(青)(御堂筋線よりも海側を走っていることや、御堂筋線の「大動脈」に対する「静脈」という位置づけから)
中央線:緑色(緑の多い大阪城公園の地下を走ることから)
千日前線:紅梅色(桃)(繁華街である千日前通りの夜を彩るピンク系のネオン色から)
堺筋線:茶色(相互乗り入れをしている阪急電車の車両カラーに合わせて)
長堀鶴見緑地線:萌黄色(沿線の鶴見緑地公園の芝生の色から)
今里筋線:柑子色(オレンジ)(他と重複せず識別しやすい色であり、また、暖かさをイメージ)
ニュートラム:水色(南港の海と空の色から)
いかがでしたでしょうか。意外と思った由来やおもしろいと感じた由来はあったでしょうか。知らない路線を利用する際には、ぜひラインカラーにも注目してみてください。おもしろい発見があるかもしれません。
<参考文献・参考サイト>
・『首都圏通勤路線網はどのようにつくられたのか』(首都圏通勤路線研究会著、洋泉社)
・『徹底カラー図解電車のしくみ』(曽根悟監修、マイナビ出版)
・『徹底カラー図解東京メトロのしくみ』(マイナビ出版編集部編、マイナビ出版)
・『東京メトロ』(渡部史絵著、KAWADE夢文庫)
・『大阪の地下鉄』(石本隆一著、産調出版)
・JR東日本:東日本旅客鉄道株式会社
https://www.jreast.co.jp/
・東京メトロ
https://www.tokyometro.jp/index.html
・トップページ|Osaka Metro
https://www.osakametro.co.jp/
・JR山手線の色はなぜ「黄緑色」になったのか│東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/222219
・【乗りもの豆知識】東京メトロの路線カラーはどのようにして決まった?│乗りものニュース
https://trafficnews.jp/post/55325
・銀座線はなぜオレンジ?地下鉄「路線色」の謎│東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/243510
・路線カラーでひも解く!Osaka Metroの路線の特徴│株式会社大阪オリコミ
https://www.osakaorikomi.co.jp/news/20201019-2/
・色にコマル…大阪地下鉄8路線に込められた色の意味│Osaka-Subway.com
http://osaka-subway.com/linecolor/
・『首都圏通勤路線網はどのようにつくられたのか』(首都圏通勤路線研究会著、洋泉社)
・『徹底カラー図解電車のしくみ』(曽根悟監修、マイナビ出版)
・『徹底カラー図解東京メトロのしくみ』(マイナビ出版編集部編、マイナビ出版)
・『東京メトロ』(渡部史絵著、KAWADE夢文庫)
・『大阪の地下鉄』(石本隆一著、産調出版)
・JR東日本:東日本旅客鉄道株式会社
https://www.jreast.co.jp/
・東京メトロ
https://www.tokyometro.jp/index.html
・トップページ|Osaka Metro
https://www.osakametro.co.jp/
・JR山手線の色はなぜ「黄緑色」になったのか│東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/222219
・【乗りもの豆知識】東京メトロの路線カラーはどのようにして決まった?│乗りものニュース
https://trafficnews.jp/post/55325
・銀座線はなぜオレンジ?地下鉄「路線色」の謎│東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/243510
・路線カラーでひも解く!Osaka Metroの路線の特徴│株式会社大阪オリコミ
https://www.osakaorikomi.co.jp/news/20201019-2/
・色にコマル…大阪地下鉄8路線に込められた色の意味│Osaka-Subway.com
http://osaka-subway.com/linecolor/
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