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倒産リスクの高い業種ランキング
エネルギー価格の高騰や円安などさまざまな問題が日本経済を揺さぶっています。この背景にはウクライナ問題やコロナ禍による原材料ならびに原油の高騰、アメリカの利上げに伴う経済の混乱など複数の要因が絡みあっているようです。こういった状況を受けて、これまで通りのやり方ではうまくいかず採算が悪化している企業もあるようです。ではどういった業種で倒産リスクが高まっているのでしょうか。調査結果をもとに確認してみましょう。
1位 農業 1.78%
2位 電気業 1.58%
3位 業務用機械器具製造業 1.13%
4位 職別工事業(設備工事業を除く) 0.97%
5位 洗濯・理容・美容・浴場業 0.94%
6位 広告業 0.85%
7位 繊維工業 0.82%
8位 繊維・衣類等卸売業 0.80%
9位 医療業 0.76%
10位 物品賃貸業 0.72%
1位は農業、日本での農業はもともとコストが高いことが問題となってきましたが、これに加えて肥料や飼料の高騰や燃料費の高騰が重なり、かなり苦境にあります。これに加えて鳥インフルエンザなどの発生により問題がさらに深刻化しているようです。資料の分析では、畜産農業で大手企業の倒産が発生した余波で連鎖倒産が発生しているとのこと。
2位の電気業は、原油価格、液化天然ガス価格の高騰の影響を直接的に受けています。特に自ら発電所をもたない電力小売り事業者では、仕入れ価格が提供価格を上回り、事業が成り立たなくなっているとのことです。すでに新規受付の停止、事業撤退といった動きは継続的に発生しています。
3位は業務用機械器具製造業。ここでの「業務用機械器具」とは、医療用機械、アミューズメント機器、光学機器といったもののことです。この業種はコロナ禍初期に急激な需要減となり、倒産や警戒情報が出ていました。こののち、コロナ禍が長引く影響で受注が確保できず、資金繰りが悪化、息切れ倒産を起こしているとのことです。
燃料費高騰やドライバー不足の影響を受けた運輸・通信業での倒産は26.3%増となっています。特に「トラック運送(一般貨物自動車運送)」会社の倒産は、2022年4月から9月で99件発生しており、約1.5倍(前年同期は65件)に急増しているとのこと。また大型倒産も発生しているようです。また、建設業は前年同期で512件だったものが、622件と21.5%増加しており、これは年度上半期としては2008年度以来14年ぶりの2桁増とのこと。なかでも空調工事、給排水工事などの設備工事関連が前年同期96件から156件となり全体を押し上げています。この一方で、小売業は19.3%減と、他の業種とはやや異なる状況にあるようです。
日本を直撃している問題は、肥料や飼料の高騰、燃料費の高騰といった輸入関連の問題が大きく、人材不足がこれに拍車をかけているようです。あとはこれに加えてアメリカの経済政策の影響が大きいことがわかります。資源の少ない日本では、世界情勢から大きな影響を受けることは免れません。ただ今後、状況が改善する可能性が全くないというわけではなさそうです。
エネルギー問題に関しては燃料に頼らない再生可能エネルギー(自然エネルギーなど)が発展することで、なにか状況が和らぐ糸口は生まれるかもしれません。また人材不足に関しては、自動運転技術やAIやロボット技術の活用による農業の自動化など、将来的に自動化技術が実用化される段階になれば、一定の変化が起こることも考えられます。今すぐにどうにかできる問題ではありませんが、私たちは大きな変化の時代に生きているということはできるでしょう。
倒産危険度の高い上位10業種
AI与信管理サービスを提供するアラームボックス株式会社は、1年以内に倒産する危険性がある「要警戒企業」を分析・抽出し「倒産危険度の高い上位10業種」を予測した結果を公開しています。調査は2021年12月1日から2022年11月30日の1年間に収集した10,767社・330,298件のネット情報等から分析したものとのことです。以下、このランキング結果を見てみましょう。データ中のパーセンテージは倒産発生率予測です。1位 農業 1.78%
2位 電気業 1.58%
3位 業務用機械器具製造業 1.13%
4位 職別工事業(設備工事業を除く) 0.97%
5位 洗濯・理容・美容・浴場業 0.94%
6位 広告業 0.85%
7位 繊維工業 0.82%
8位 繊維・衣類等卸売業 0.80%
9位 医療業 0.76%
10位 物品賃貸業 0.72%
1位は農業、日本での農業はもともとコストが高いことが問題となってきましたが、これに加えて肥料や飼料の高騰や燃料費の高騰が重なり、かなり苦境にあります。これに加えて鳥インフルエンザなどの発生により問題がさらに深刻化しているようです。資料の分析では、畜産農業で大手企業の倒産が発生した余波で連鎖倒産が発生しているとのこと。
2位の電気業は、原油価格、液化天然ガス価格の高騰の影響を直接的に受けています。特に自ら発電所をもたない電力小売り事業者では、仕入れ価格が提供価格を上回り、事業が成り立たなくなっているとのことです。すでに新規受付の停止、事業撤退といった動きは継続的に発生しています。
3位は業務用機械器具製造業。ここでの「業務用機械器具」とは、医療用機械、アミューズメント機器、光学機器といったもののことです。この業種はコロナ禍初期に急激な需要減となり、倒産や警戒情報が出ていました。こののち、コロナ禍が長引く影響で受注が確保できず、資金繰りが悪化、息切れ倒産を起こしているとのことです。
直近で倒産が多いのは運輸・通信業、建設業など
帝国データバンクの資料によると、2022年度上半期(4月から9月)での倒産件数は3123件、3年ぶりに前年同期比で増加しているとのことです。件数としては前年同期に対して185件(6.3%)増加しています。負債総額で見ると1兆7657億9500万円、前年同期比で205%増です。つまり、負債総額では2倍以上増えていることになります。また負債総額が1兆円を越えたのは、2017年上半期以降5年ぶりとのことです。燃料費高騰やドライバー不足の影響を受けた運輸・通信業での倒産は26.3%増となっています。特に「トラック運送(一般貨物自動車運送)」会社の倒産は、2022年4月から9月で99件発生しており、約1.5倍(前年同期は65件)に急増しているとのこと。また大型倒産も発生しているようです。また、建設業は前年同期で512件だったものが、622件と21.5%増加しており、これは年度上半期としては2008年度以来14年ぶりの2桁増とのこと。なかでも空調工事、給排水工事などの設備工事関連が前年同期96件から156件となり全体を押し上げています。この一方で、小売業は19.3%減と、他の業種とはやや異なる状況にあるようです。
日本を直撃している問題は、肥料や飼料の高騰、燃料費の高騰といった輸入関連の問題が大きく、人材不足がこれに拍車をかけているようです。あとはこれに加えてアメリカの経済政策の影響が大きいことがわかります。資源の少ない日本では、世界情勢から大きな影響を受けることは免れません。ただ今後、状況が改善する可能性が全くないというわけではなさそうです。
エネルギー問題に関しては燃料に頼らない再生可能エネルギー(自然エネルギーなど)が発展することで、なにか状況が和らぐ糸口は生まれるかもしれません。また人材不足に関しては、自動運転技術やAIやロボット技術の活用による農業の自動化など、将来的に自動化技術が実用化される段階になれば、一定の変化が起こることも考えられます。今すぐにどうにかできる問題ではありませんが、私たちは大きな変化の時代に生きているということはできるでしょう。
<参考サイト>
2023年以降の業種別倒産発生予測ランキングを発表|Alarmbox
https://alarmbox.co.jp/allnews/press/2212-tosanyosoku/
倒産集計2022年度上半期報 2022年(令和4年)4月~9月|帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/tosan/syukei/22dokami.html
2021-日本が抱えているエネルギー問題(後編)|経済産業省資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2021_2.html
2023年以降の業種別倒産発生予測ランキングを発表|Alarmbox
https://alarmbox.co.jp/allnews/press/2212-tosanyosoku/
倒産集計2022年度上半期報 2022年(令和4年)4月~9月|帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/tosan/syukei/22dokami.html
2021-日本が抱えているエネルギー問題(後編)|経済産業省資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2021_2.html
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