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DATE/ 2023.09.26

玄関にあると危険!「玄関マーキング」とは

 警視庁の資料によると、空き巣は令和4年(2022年)の1年間で1万5,692件発生しています。一日あたりにすると約43件です。こういった侵入犯罪に至るまでには、「玄関マーキング」つまりその家に侵入できるかどうか印を付ける行為がなされている場合もあるようです。ということでここでは、「玄関マーキング」とはどのようなものかという点、およびその手口を理解しておきましょう。

マークは犯罪集団で共有される

 泥棒に入ろうとする人間は、できるだけリスクを下げるために空き巣に入れるかもしれないと思った家を下見します。このとき周囲の環境や住人の数、行動パターンといったところを把握します。こうして空き巣に入ることができる時間帯を暗号にして、玄関周りやポストなどにマーキングします。これが「玄関マーキング」と呼ばれるものです。

 マークは文字であったり単に傷であったり、テープやシールが貼られていたりすることもあるようです。この印は侵入を企図している犯人のみでなく、窃盗グループなど仲間内で共有される場合もあるとのこと。また実際に記される場所としては、「玄関」や「ポスト」だけでなく「表札」「インターホン」「メーターボックス」や「配管」などの場合もあるとのこと。さらにぱっと見てわかりにくいこれらの裏側や下、側面などにある場合もあります。

どのような「玄関マーキング」があるのか

 警備会社ALSOK(綜合警備保障)のサイトでは、実際に記されていたマークについて例を出して解説しています。これによると代表的なものとしては、以下のようなものがあるようです。

M:男性 W:女性 S:独身 F:ファミリー 学:学生 赤:赤ちゃんがいる
w8-20(ル):ウィークデイ(平日)8時から20時までは留守
20SW_9・21:20代独身女性、9時出勤21時帰宅
SS:土日休み
黒いシール:家族、男性、侵入は厳しいなど
白いシール:独身、女性、侵入の可能性があるなど
黄色いシール:もう一息など
〇:可能性あり ×:ダメ △:もう一息

 何気ない記号でもし見つけてもなにか工事や管理をするときのマークかな、という感じもしますが、実はこれが暗号です。また必ずしも空き巣でなくとも、押し売りをする訪問販売員などが目印に使っている場合もあるということです。また賃貸の場合、以前の居住人の情報である可能性もあります。これを頼りに侵入してきた犯人にもし鉢合わせてしまうと、より凶悪な事件に発展するリスクもあります。見つけたらすぐに対策をとりましょう。

見つけたら必ず消すこと

 「マーキング」を見つけた場合は、必ず消しましょう。油性ペンで記されていれば除光液やクレンジングオイルを使って消すことができます。またシールはシール剥がしやハンドクリームを使うとうまく剥がれるようです。もし傷で印がついていた場合は、補修剤を使うのも一手です。賃貸であれば、管理会社に連絡して対処してもらってもいいでしょう。もしそのままにした場合、「防犯意識の薄い家」と認識されます。

 さらにポストは毎日チェックして、新聞やチラシをため込まないことも大事です。これらがたまっていると、留守にしている時間が長いと認識されるので危険です。また空き巣は「5分以上かかるとあきらめやすい」とのこと。この点から、簡易的なものでもいいので鍵を追加して二重ロックにすることも対策となります。ほかにも玄関周辺に「防犯カメラ」や「センサーライト」を設置したり、空き巣が隠れる場所がないようにしたりすることも大事です。

 またオートロックだからと安心していると、かえって危険です。オートロックはほかの住人や宅配業者などが入るときに一緒に入ることができます。さらには非常階段や塀を越えたり、排水管をよじ登ったりして侵入できます。オートロックでは住人が油断して部屋の鍵をかけ忘れている場合も多いことから、逆に狙われています。特に単身マンションは不在の時間が長く、ターゲットとなりやすいようです。侵入犯罪に対しては、まずはとにかく「住人の防犯意識が高い」と思わせることが有効です。

<参考>
データで見る侵入犯罪の脅威|警視庁 住まいる防犯110番
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html
空き巣の手口「マーキング」とは?実例と対策│ALSOK
https://www.alsok.co.jp/person/recommend/199/
オートロックマンションの侵入の手口は?|ALSOK
https://www.alsok.co.jp/person/recommend/196/
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