社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2023.12.07

いくつ知ってる?世界のマイナー国家5選

 外務省によると世界の国の数は196カ国とされています。一方で国連に加盟している国は193カ国です。なぜ違いがあるのかと言えば、日本が承認している国のうちバチカン、コソボ、クック諸島、ニウエの4カ国は国連に加盟しておらず、逆に日本が承認していない北朝鮮は国連に加盟しているからです。200近くもあれば、一般の人にはあまり知られていないような国もあります。ここでは特に日本でまだあまりその内実が知られていない国の中から、いくつかをピックアップして紹介します。

ニウエ(Niue)

 ニュージーランドの北に位置する美しい海に囲まれた南洋の島国で、近くにはフィジー、トンガ、サモア、クック諸島などがあります。首都はアロフィ。島の広さは屋久島の半分ほどで、人口はバチカン市国に次いで世界で2番目に少ない1,888人(2020年時点)。かなり小さな国ですが、先にも示した通り日本は2015年に国家として承認しています。ただし国連には未加盟です。ポリネシア系のニウエ人が90%を占め、言語はニウエ語(ポリネシア語系)と英語で、90%がキリスト教徒(プロテスタント、カトリック、モルモン教)です。

 ニュージーランドとの関係が深く、通貨はニュージーランドドルで、防衛や外交もニュージーランドが責任を負っています。さらに国家予算の3分の1はニュージーランドに頼っているとのこと。また、ニウエ国民はニュージーランドの市民権を持っていて、独自のパスポートはありません。島にはもちろんレストランやバーもあり、美しい海を生かしたスキューバダイビングなどのアクティビティもあるようです。

東ティモール民主共和国(The Democratic Republic of Timor-Leste)

 インドネシアの南東端にある国で、2002年5月、21世紀ではじめに独立した国です。東京、千葉、神奈川、埼玉を合わせた面積とほぼ同等の国土で、ティモール島の約半分を占めています(島の西部は飛び地であるオクエシ県をのぞいてインドネシア領)。人口は134万人で首都はディリ。メラネシア系、パプア系、マレー系、中華系、ポルトガル系およびその混血など、さまざまな人たちがいます。公用語はテトゥン語とポルトガル語ですが、多様な人種がいることからインドネシア語や英語そのほかさまざまな言語が使われているようです。

 宗教的にはキリスト教(主にカトリック)99.1%、イスラム教が0.79%となっています。美しい海岸線や教会、田園風景が広がっていますが、まだまだ若い国であることから発展途上にあります。石油と天然ガス資源がある程度の収入を国にもたらしている一方で、インフラの未整備、産業の未発達といった点などまだまだ課題の多い状況にあります。現在、ASEAN正式加盟に向けて、さまざまな取り組みを進めている国です。

モルドバ共和国(Republic of Moldova)

 東欧、ウクライナとルーマニアに挟まれた位置にある旧ソ連の構成国です。九州よりやや小さな国土に約260万人(2021年時点)が暮らしています。首都はキシナウ。住民はルーマニア系のモルドバ人が75%を占め、次いでウクライナ人6.6%、ガガウス人(トルコ系)4.6%、ロシア人4.1%などとなっています。公用語はルーマニア語(モルドバ語)ですがロシア語も通用し、宗教は約90%がキリスト教(正教)です。

 歴史的にルーマニアとのつながりが強い国ということもあり、ロシアのウクライナ侵攻を受けてEU加盟を申請しています。一方では、エネルギーの多くをロシアに頼るなど、たいへんむずかしい立ち位置にあるようです。主要な輸出品はワインです。ワイン発祥の地の一つともされ、巨大な地下ワイナリーを見学できるツアーもあるようです。ルーマニア、ブルガリアとセットで観光に訪れる人も多いとのこと。

アルバニア共和国(Republic of Albania)

 東欧バルカン半島南西部でギリシャの北に位置し、面積は四国の約1.5倍。人口はおよそ284万人(2021年)の国で、首都はティラナです。アルバニア語を話すアルバニア人が主です。宗教はイスラム教57%、ローマカトリック10%、正教7%となっています。アドリア海の対岸イタリアとの関係が深いですが、1990年頃まで鎖国的な体制にあったことで、特に日本ではまだあまり知られていないかもしれません。

 ヨーロッパの国としてはかなり物価が安く、外食で本格的なパスタとビールを頼んでも1000円以内に収まるという話もあります。オスマン帝国時代に作られた石造りの建築物、古代ギリシャ叙事詩『アエネイス』にも登場する世界遺産の古代遺跡「ブトリント」、ブルーアイと呼ばれる透明度が高くて深い湖など、かなり古い歴史や美しい自然を維持しています。

リヒテンシュタイン公国(Principality of Liechtenstein)

 オーストリアとスイスの間に位置する小豆島ほど(160平方キロメートル)の小さな内陸国で、人口は39,000人ほど(2020年12月時点)。首都はファドゥーツ、ドイツ語が使われています。宗教はカトリックが約79.9%、プロテスタント約8.5%、イスラム教が約5.4%となっています。通貨はスイス・フランが使われるなど、隣国であるスイス・オーストリア両方と経済や法律などさまざまな面で密な連携を保っています。

 1719年、神聖ローマ帝国の属国リヒテンシュタイン侯国が作られ、その後1806年に独立国家となりますが、この300年以上の間、リヒテンシュタイン侯爵家が国家元首となっています。リヒテンシュタイン家は美術品の収集にも熱心で世界最大級の個人コレクションを有しています。このことから国内の美術館や博物館にはかなり幅広い収蔵品が展示されているようです。また、ファドゥーツ城は映画「カリオストロの城」のモデルにもなったことでも有名です。リヒテンシュタイン家は現在でもプライベートバンクを経営し、世界の富裕層と共にさまざまな投資を行っています。

<参考>
世界と日本のデータを見る|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/world.html
人口1700人、世界で2番目に小さい国って? 移住者が「完璧」というニウエの生活|The Asahi Shinbun GLOBE+
https://globe.asahi.com/article/14697291
モルドバ共和国|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/moldova/data.html
意外と知らないウクライナの隣国「モルドバはどんな国?」|DIAMOND online
https://diamond.jp/articles/-/299657
ロシアから離れたい?離れられない? なぜ揺れるモルドバ?|NHK国際ニュースナビ
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/06/15/32371.html
東ティモール民主共和国|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/easttimor/data.html
現地からの声:「アジアで最も若い国」東ティモール~連絡調整要員が見た現在の姿と未来への夢~|内閣府
https://www.cao.go.jp/pko/pko_j/liaison/liaison07.html
リヒテンシュタイン公国|外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/liechtenstein/data.html
リヒテンシュタイン華麗なる侯爵家の秘宝|朝日新聞DIGITAL
https://www.asahi.com/event/liechtenstein2012-13/about.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ

「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造

宇宙とは何かを考えるうえで中国の古典である『荘子』・『淮南子(えなんじ)』に由来する「宇宙」という言葉が意味から考えてみたい。続いて、地球から始まり、太陽系、天の川銀河(銀河系)、局所銀河群、超銀河団、そして大...
収録日:2020/08/25
追加日:2020/12/13
岡朋治
慶應義塾大学理工学部物理学科教授
2

図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」

図書館の便利な活用法…全国の図書館からの「お取り寄せ」

歴史の探り方、活かし方(2)図書館「レファレンス」の活用

公共図書館では質の高い「レファレンス」サービスを提供しているが、活用する人は限られている。だが、実は全国の図書館ネットワークを縦横無尽に活用できる、驚くほどに便利な仕組みなのだ。今回は図書館のレファレンスで何が...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/15
3

知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」

知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方

人間がこの世界を生きていく上で、バイアスは避けられない。しかし、そこに居直って自分を過大評価してしまうと、それは傲慢になる。よって、どんな仕事においてももっとも大切なことは「謙虚さ」だと言う今井氏。ただそれは、...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/16
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
4

脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは

脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質

「ワット・ビット連携」の概念がある。これは神経と血管の関係にも似ており、両者が密接に関係するところから、それをもとに人間の本質について考察していくことになる。また、中村天風の思想から着想を得て、人間の心には霊性...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/13
5

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ

編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?

「何回説明しても伝わらない」「こちらの意図とまったく違うように理解されてしまった」……。そんなことは、日常茶飯事です。しかしだからといって、相手を責めるのは大間違いでは? いやむしろ、わが身を振り返って考えないと...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/13