社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.02.17

花粉にも効果的!「緑茶」の優れた効能とは?

 緑茶には多くの「茶カテキン」が含まれています。茶カテキンには、抗酸化作用や殺菌作用をはじめ、身体にいいとされるさまざまな作用があることは、もはや多くの人が知るところとなってきました。ここで改めて緑茶の効能について確認しておきましょう。

緑茶は長寿につながる

 2015年には国立がんセンターから、「緑茶を習慣的に摂取する群において、男女の全死亡リスク及び心疾患、男性の脳血管疾患及び呼吸器疾患による死亡リスクが減少」という研究結果が発表されています。これは、平成2年と平成5年に、岩手県、秋田県、長野県など11の保健所管内に住んでいた人たちのうち、がんや循環器疾患に罹っていなかった40歳から69歳の男女およそ9万人を平成23年まで追跡調査した結果、明らかになったものです。

 では緑茶のどのような点が身体にいいのでしょうか。日経Gooday 30+では、「お茶博士」とも呼ばれる大妻女子大学の大森正司名誉教授の話を取り上げ、緑茶に含まれるカテキンの持つ効果の秘密は2つあるとして、以下のように伝えています。「1つは吸着性の強さ。これにより、虫歯菌にくっつき増殖を抑えたり、ウイルスの体内への侵入を防いだりするのです。腸内では悪玉菌に付着してやっつけるため、腸活効果も期待できます。2つ目は、体内で生まれる活性酸素を消去する抗酸化機能です。ストレスや紫外線、疲労などによって発生した活性酸素を消去する作用が期待できます」

 つまり、吸着性がなければ体内に入ってもすぐに流されてしまいますが、カテキンはしっかり菌に吸着してその増殖を防止し、ストレスや疲労で発生する活性酸素を消去するという非常にありがたい効果を備えているとのことです。

冬こそ緑茶で健康維持を

 ところで、冬の鍋にはおいしいものがいろいろありますよね。ついつい誘惑に駆られて脂肪を蓄えてしまう人もいるのではないでしょうか。いわゆる冬太りという問題ですが、ここで緑茶の出番です。茶カテキンは脂肪を代謝する力を高め、体脂肪を減らすのを助ける働きがあることがわかっています。冬場はぜひ緑茶をお供においしいものをいただきましょう。

 また、生活リズムが乱れているときなどは、朝の目が覚めたらお茶をいれてカフェインを摂取することも忘れずに。脳や身体の目覚めを助けてくれることでしょう。

アレルギーにも効果あり、風邪予防にも!?

 緑茶でも特に「べにふうき」という品種は、抗アレルギー作用があることがわかっています。ハウスダストや花粉によるアレルギー症状を抑える効果が期待できるようで、花粉症になる前の時期から継続的に飲むといいとのこと。また、カテキンには抗菌・抗ウイルス効果があり、「緑茶うがい」も一般的な風邪の予防には効果がありそうです。

 ただ、インフルエンザに関しては、現段階では未知数といわざるを得ません。平成28年11月9日時点ですが、厚生労働省はインフルエンザに対する「緑茶の効能」、さらに「うがいそのものに対する効能」に関しても明確な見解を出していません。今後研究が進むことを期待しましょう。いずれにしても、乾燥がウイルス繁殖にとって好ましい環境であることを考えれば、定期的にのどを潤しておいたほうがいいことは想像に難くないですよね。

<参考サイト>
・国立がん研究センター:緑茶摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3526.html
・厚生労働省ホームページ:インフルエンザQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html
・厚生労働省「総合医療」情報発信サイト:緑茶
http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c04/28.html
・日経Gooday 30+:見直したい「緑茶」の健康効果
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO07926430T01C16A0000000?channel=DF140920160927
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾

逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾

逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる

「逆境とは何に逆らうことなのか」「人はそもそも逆境でしか思考しないのではないか」――哲学者鼎談のテーマは「逆境に対峙する哲学」だったが、冒頭からまさに根源的な問いが続いていく。ヨーロッパ近世、ヨーロッパ現代、日本...
収録日:2025/07/24
追加日:2025/12/19
2

豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割

豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割

豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割

豊臣と羽柴…二つの名前で語られる秀吉と秀長だが、その違いは何なのか。また、これまで秀長には秀吉の「補佐役」というイメージがあったが、史実ではどうなのか。実はこれまで伝えられてきた羽柴(豊臣)兄弟のエピソードにはか...
収録日:2025/10/20
追加日:2025/12/18
黒田基樹
駿河台大学法学部教授 日本史学博士
3

古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著

古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著

渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会

渡部昇一氏には、若き頃に留学したドイツでの体験を記した『ドイツ留学記(上・下)』(講談社現代新書)という名著がある。1955年(昭和30年)から3年間、ドイツに留学した渡部昇一氏が、その留学で身近に接したヨーロッパ文明...
収録日:2021/08/06
追加日:2021/10/23
渡部玄一
チェロ奏者
4

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス

「重要思考」で考え、伝え、聴き、そして会話・議論する――三谷宏治氏が著書『一瞬で大切なことを伝える技術』の中で提唱した「重要思考」は、大事な論理思考の一つである。近年、「ロジカルシンキング」の重要性が叫ばれるよう...
収録日:2023/10/06
追加日:2024/01/24
三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授
5

「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない

「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない

「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会

アメリカが日本の運命を左右する国であることは、安全保障を考えても、経済を考えても、否定する人は少ないだろう。だが、そのような国であるにもかかわらず、日本人は、本当に「アメリカ」のことを理解できているだろうか。日...
収録日:2022/11/04
追加日:2023/01/06
橋爪大三郎
社会学者 東京科学大学名誉教授 大学院大学至善館教授