習近平中国の真実…米中関係・台湾問題
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一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
垂秀夫(元日本国駐中華人民共和国特命全権大使)
「習近平中国」「習近平時代」における中国内政の特徴を見る上では、それ以前との比較が欠かせない。「中国は、毛沢東により立ち上がり、鄧小平により豊かになり、そして習近平により強くなる」という彼自身の言葉通りの路線が踏襲されている。中国は強さを求め、しかも「一強独裁=1人独裁」体制を貫いている。だが、そこには大きな制限や忖度も見え隠れし……。(全7話中第1話)
時間:12分59秒
収録日:2025年7月1日
追加日:2025年9月25日
≪全文≫

●習近平の登場がもたらした変化を振り返る


 普段こういう話をするときは内政を中心に話すのですが、今日はできるだけ内政の話は短めにして、外交と米中関係の話をします。日中関係に入るかどうかは、その流れで見ていきましょう。それから、最近こういう話をするときには必ず台湾問題についての見方を訊かれます。そこで、台湾問題についてもレジュメ(資料)に載せています。

 さて、いわゆる「習近平中国」、習近平氏が統治している中国の外交問題を語る前に、やはり内政をお話しする必要があるかと思います。

 習近平氏が登場したのは2012年で、中国の共産党中央委員会の総書記としてトップになったときから「習近平時代」が始まりました。私は「習近平中国」とも呼んでいます。

 習近平氏の登場以来13年ほどたって、今は2025年です。厳密にいえば、(変化は)その前後から始まっていましたが、分かりやすくするために「登場」と申し上げておきます。習近平氏の登場によって、それまでの中国と(比べると)、非常に大きな変化があるのです。

 では、その前の中国はどういう時代かというと、胡錦濤の中国です。その前は江沢民、さらにその前は実質的に鄧小平(「鄧」の漢字は「登」へんにおおざと)。その3人の指導者について理解しやすく申し上げれば、鄧小平路線を歩んできたという意味で「鄧小平中国」と呼んでいます。だから、江沢民、胡錦濤は、もう鄧小平時代の中に含まれると理解していただくといいと思います。

 その「鄧小平中国」は、1978年12月の三中全会という会合により「改革開放」を進めていくことになります。それまでは何かというと、皆さん、歴史でよくご存じのように毛沢東の中国でした。毛沢東は1949年に建国をして、「毛沢東中国」が始まりました。これは、反右派闘争、大躍進あるいは(文化大革命という大きな誤りを犯しつつも)イデオロギー中心の中国であったといえるでしょう。


●習近平のインパクトは毛沢東や鄧小平に匹敵


 毛沢東の逝去とともに四人組の逮捕があり、「毛沢東時代」や「毛沢東中国」が終結して鄧小平(中国)が始まる。そして、1978年に「改革開放」ということです。

 このような流れで申し上げると、毛沢東から鄧小平に代わったときに大きな変化があったことは、皆さん、よくお分かりになります。今はみんな...

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