儒家思想におけるリーダーシップ
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
より良き個人だけでなく、より良き社会のために
儒家思想におけるリーダーシップ(3)特徴と発想の原点
田口佳史(東洋思想研究家)
優れたリーダーは、周囲の人間を一致団結させ、国内外との関係すら良好なものにするだろう。老荘思想研究者・田口佳史氏は、リーダーシップについて、個人の話だけでなく、個人の力が社会をどう良くするのかまで論じたところに儒家思想の特徴があると言う。その発想の原点は、なんと「洪水」にあった。(第3話目)
時間:10分28秒
収録日:2015年2月27日
追加日:2015年8月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●個人と社会による儒家のリーダーシップ論


 とても大切なことは、「放勳欽明」と「文思安安」がリーダーの個人の在り方を示しているということです。通常、リーダーシップ論といった場合、多くがリーダーの条件やあるべき姿という個人の話で終わってしまいます。ですが、儒家は絶対に個人の話で終わることはありません。その個人のありよう、あるいはリーダーになったときの個人の力を組織や社会、国家にどう生かしていくのかというところが不可欠と考え、大きな陰陽として、個人と社会が両方設定されて初めて完璧な論になるのだ、ということを表しているのです。

 今までずっと言ってきたリーダーがリードする社会は、どうなるべきなのか。「克(よ)く俊徳を明(つと)め」の俊徳とは、目覚ましい徳のことです。「以て九族を親しみ、九族既に睦みて」の九族とは、通例いろいろな言い方がありますが、自分を中にして上の四族、下の四族のことを指すこともありますし、一家眷(けん)属全部を指すこともあります。

 どうして、ここで九族が出てくるのか。古代の王朝は全て、親族が主要なところを占めて成り立っていました。日本の歴史を見ても、鎌倉政権も徳川政権も全く同じことですね。現代風に解釈すれば、九族とは側近のことです。側近とはまずもって親しみ、親愛なる関係になるもので、側近と角突き合わせるような仲たがいをしている状態だと組織は駄目になります。組織は、立派なリーダーを慕ってやって来た人同士のサークルのようなもので、側近が皆「こういうリーダーの下で働けるなんていいね」と言いながら、親愛感を持って一枚岩になっていることが重要なのです。

 そういう側近がいるとどうなるのか。「百姓を平章(べんしょう)し、百姓昭明にして」と言います。百姓とはもろもろの姓が集まっていることですから、国民、国のメンバーということです。企業でいえば社員のことです。平章とは、現代の社会に照らし合わせていうと、身分相応の満足のことですから、「百姓を平章」とは、メンバーが身分相応の満足を心得ているということなのです。

 この世の中で犯罪がいろいろ起こりますが、なぜ犯罪が起こるかというと、基本的に身分不相応の望みを描くからです。そうすると、どうしても自分の資金では求められないとか、買えないという状態になるため、借金したり、揚げ句の果てに人から奪ってくるというこ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
歌舞伎はスゴイ(2)市川團十郎の何がスゴイか(後編)
歌舞伎十八番を定めた七代目市川團十郎、一番モテた八代目
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照