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日本の労働人口は50年後には4000万人を切る

全寮制国際高校ISAKの挑戦(3)これからの人材育成

小林りん
ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン 代表理事
情報・テキスト
多様性に開かれた社会が日本でも目前に迫っているからこそ、そこに対応していける教育が必要だと、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)代表理事・小林りん氏は説く。確かな現状認識や最新の教育テーマを織り交ぜながら、これからの人材育成に不可欠な視点を語る。(2015年8月28日開催島田塾GBHS小林りん氏トークセッション「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢~グローバル化・多様化の進む社会における真のリーダーとは~」より、全5話中第3話目)
時間:10:36
収録日:2015/08/28
追加日:2015/12/03
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≪全文≫

●なぜ「グローバル人材」が必要なのか


 二つ目の話題です。私のストーリーは今お話ししたような形ですが、二つ目として、ではどういう教育をどういう思想の下にやっていて、その背景にはどんな時代認識があるのかというお話をさせてください。

 たぶん時代認識からやった方が早いと思うので、こちらからお話しします。そもそも、グローバル人材、グローバル人材、グローバル人材と、耳にたこができるぐらい聞いていると思うのですが、なぜグローバル人材なのか。そもそもグローバル人材とは何でしょう?

なぜ今、余計にそういう人たちが必要だと言われ始めているのだと思いますか。「世界的に活躍できたらいいよね」というのは、ずっとそうですよね。だけどなぜ今、日本でこれほどグローバル、グローバル、グローバルと言われ始めていると思いますか?

おそらく10年前くらいまでのグローバル人材というと、まさに日本の中では人口が少なくなりマーケットが縮小していくので、海外に打って出る会社が多くなってきますというイメージでした。グローバルな会社、グローバルに拠点を設ける会社が多くて、そこで活躍する人材がグローバル人材だと言われたと思うのです。グローバル人材のイメージとは、海外の拠点で海外の人たちと海外でビジネスをする人ですよね。


●数十年後に日本も外国人労働者が当たり前の時代が来る


 でもそれだけでしょうか、ということを示すのが、このスライドです。いま日本には労働人口が6000万人超います。これが2060年まで、50年後までに42パーセント減ります。4000万人を切って、3800万人ぐらいになるといわれています。50年後ですから、もう皆さんは結構な年齢になっているかもしれません。これは、例えばいま言われている女性活用や少子化対策などでどの程度改善するかというと、女性がスウェーデン並みに90パーセントぐらい社会進出したとしても、あるいは出生率がフランス並みに高くなり2.07ぐらいまで回復したとしても、減るのです。そんなことでは間に合わないぐらい、減るのです。

 ということは、日本が今の経済規模を普通に維持しようとするためだけでも、移民は絶対に受け入れなければいけない。ものすごいイノベーションがあるかもしれませんし、技術革新で賄える部分もあると思いますが、それでも外国人労働者、移民に頼ることは絶対に不可避です。私が4年ぐらい前にこういう話をしていたら、「それは政治的にはタブーだから」などと言われていたのですが、今や新聞の紙面などでも、外国人労働者の方にどういう分野にどうやって入ってもらうかということが、本当に公にディスカッションされるくらいのテーマになってきていると思います。

 つまり、皆さんが10年後、20年後、30年後に生きる世界というのは、日本の中で、例えば長野にいても、一般的な地方や一般的な会社にいても、ふっと横を見たら外国人、ふっと斜め上や下を見たら外国人がいるという時代です。そういう時代が、もうすぐそこまで来ているのです。そして、それは不可避なのです。

 ですから、グローバル人材というと、グローバルな企業のために働く人の一部の人たちのことではなく、たぶん全員にとってものすごくワクワクする、これは全然怖いことではなく、エキサイティングな時代に突入していくのだと思うのです。なので、グローバルな人材が必要だと思いますし、かつグローバルというよりは、自分と全く違う、当たり前ではない人たちと働ける人が、どんどん必要になっていくのではないかと思っています。


●過去50年で無くなった職業


 もう一つです。これは教育界で最近よく話題になっている予測ですが、ニューヨークタイムズ紙に、米国のアイビーリーグの大学であるデューク大学のキャシー・デビッドソンという先生が発表した予測です。2011年度に全米で小学校に入学した子どものうちの65パーセントは、大学を卒業する時には現在は存在しない職業に就くだろう。すなわち、アメリカでは、これから15年ぐらいの間に3分の2の職業が入れ替わるだろう、という予測なのです。

 これが本当に起こると思う人はいますか。(会場を見ながら)結構懐疑的ですね。大人の方が多いぐらいですか。そうですね、確かに65パーセントかどうかは分かりません。45パーセントかもしれないし、35パーセントかもしれないですが、かなりの割合で起こるということは確実だと思います。

 皆さんは若いから分からないかもしれませんが、大人の方々に緊張感を持っていただくためにお聞きします。過去50年でなくなった職業には何があるでしょうか。タイピスト。はい、そうですね。タイピストで思い出したのですが、私が小さい頃などは、タイプがそもそもありませんでした。日本の漢字があるでしょう...
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