混沌のシリア情勢を読む
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
残酷がさらなる残酷を生む内戦のメカニズム
混沌のシリア情勢を読む(4)内戦の文法
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
シリアの内戦は、外国干渉が大きく介在し、今や泥沼化の様相を呈している。歴史学者・山内昌之氏は、そこには「内戦の文法」があると言う。その文法ゆえに多くの内戦は複雑化し、外と結び付けば戦争へという不幸なプロセスを経てしまうのだ。本シリーズ最終話では、人類が自ら生み出した不幸を歴史的文法という山内氏独自の観点で解説する。(全4話中第4話目)
時間:11分00秒
収録日:2015年10月5日
追加日:2015年11月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●シリアに見る内戦の文法


 皆さん、こんにちは。

 シリア、あるいはシリアの内戦におきましては、これまでの世界史のどの内戦にもまして、外国の干渉、外国の存在というのは、古代ローマやスペイン、ましてや日本における南北朝や戊辰戦争といった、そうした内戦と比べて、はるかに重要なものとなっています。シリア情勢の一部は、国内紛争、内戦というよりも、むしろ外部の対立する国々、すなわち、アメリカ、ヨーロッパ対ロシア、あるいは、ロシア、イラン対米欧のブロック、こうしたある種の代理戦争の様相を呈しているかと思います。

 イギリスのフィリップ・ハモンド外相の表現を借りますと、彼は英国の外交の責任者でありながら、「欧米の指導者たちは、もはやどちらが善でありどちらが悪であるか、どちらが善であるがゆえに支援するべきかどうかが分からなくなっている」と、このようなことを言ったことがあります。これはわれわれ分析者にとっても、なかなか簡単なことではないわけです。

 内戦というのは、最初素朴な意図から始まっても、やがて暴力や衝突がエスカレートし、そして、それが武力衝突から互いの殺し合いに発展する。それが戦いという形を取れば内戦になり、さらにそれが外と結び付けば戦争になるという、誠に痛ましいプロセスを経るのです。言ってしまいますと、そこには内戦のグラマー(文法)とでも言うべきものがあるのです。


●南北戦争にみるリンカーンの正義と狡猾さ


 かつて触れたマリウスとスッラ、あるいはカエサルとポンペイウス、このいずれが白でありいずれが黒か、どちらが正義でどちらが不正義なのかというようなことについて、簡単に断定することはできません。大体、カエサルびいきの人が多い、あるいは、マリウスの方がなんとなく善玉っぽい、だからマリウスやカエサルが善だというのは、その個人の主観によるものです。例えば、フランスにおけるカトリックのロイヤリスト(王党軍)と革命派がぶつかったフランス大革命のときのヴァンデの乱。このヴァンデの乱でどちらが正しいのかといっても、これは政治的な立場というものを入れないと、簡単に断言することはできません。

 あるいは一番近くの例で、映画なども考えてみればお分かりのように、南北戦争は一体どちらが正しかったのかということです。われわれは、あたかも奴隷解放宣言をしたリンカーンの目を通して...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
戦争と平和の国際政治(1)「合理性の罠」とインテリジェンス
国際政治の要諦は戦略とインテリジェンス
小原雅博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明

人気の講義ランキングTOP10
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
高市政権の進むべき道…可能性と課題(2)財政戦略3つの問題点
高市政権の財政政策の課題は…ポピュリズム政策をどうする?
島田晴雄
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
『タテ社会の人間関係』と文明論(8)タテ社会の構造改革を議論する
ヒントは幕末期の処士横議!?…タテ社会の構造改革に向けて
與那覇潤
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
おもしろき『法華経』の世界(7)真の救済に向かう
イエスも法華経のアバター?「全世界救済」の具体像を示す
鎌田東二
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(3)カントの公共性論
いま学ぶべきカントの挑戦~なぜ「公開性」が重要なのか
齋藤純一