松下幸之助を語る
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
仁王のような顔をして松下幸之助が言い放ったこと
松下幸之助を語る(2)経営者としての悟り
江口克彦(株式会社江口オフィス代表取締役社長 /元参議院議員/PHP総合研究所元社長)
かつて赤字続きだったPHP研究所を引き継ぐことになった江口克彦氏。2カ月ほど経った頃、毎週行う経営報告の席上で、幸之助の「鬼の形相」を目の当たりにする。「わしの言う通りにやるんやったら君はいらんで」。この一言から、江口氏は、経営者としての悟りを開いたと話す。幸之助の言葉から、江口氏は何を学んだのか。(全5話中2話目)
時間:7分41秒
収録日:2015年9月29日
追加日:2015年11月23日
≪全文≫

●松下幸之助が見せた「仁王」の表情


 そのころのPHP研究所は、売上9億円、しかも赤字でほとんど借金経営で、内部留保もほとんどゼロに近かったという状態でした。松下幸之助さんが買ってくれた株を、そのまま株券として持っていたぐらいなものでした。私の前に経営をやっていた人は、その経営状態を毎月報告するのですが、赤字ですね。でもその度に、松下幸之助さんが「いや、しゃあないな」と言うのですね。「みんな若い人たちは一生懸命やってんやから、しゃあないな」と。それで過ぎていました。

 それで私も、前の人は月1回だったのですが、私の場合は1週間ごとに、先週はこうでした、先週はこうでしたと、毎週の報告に切り替えたわけです。私の前の人が赤字、赤字、赤字で、「しゃあないな、しゃあないな。みんな一生懸命やっているから」ということだったので、私も同じように報告をしていました。でも当然のことながら赤字ですよね。売上もそんなに伸びているわけではありませんから。そういう報告を毎週やっていたのですね。

 それで2カ月ほど経って、6月の半ばを過ぎた頃、いつもと同じように「これだけの赤字です」と報告しました。売上もこれだけで、今月はこれだけですというような報告をしていた。その時もいつもと同じように言うのですね。「みんな若い人たちは一生懸命しているから、それはそれでしゃあないな、仕方ないな」ということを言う。

 それはいつもの通りですから、私はその経理の主要簿をパタパタしまって整理しながら、ふいっと顔をあげたら、松下幸之助さんが眉間にしわを寄せて、今思い出してもとても怖かった。仁王さんのような顔をして、私をにらんでいるのですよ。その時の松下幸之助さんは、ベッドの上に座っていたのですね。松下幸之助さんは、どちらかというと体が弱かったですから、1年のうち半分ぐらいはベッドの上で、報告を聞いていました。その松下さんがベッドに座って、本当に仁王のように眉間にしわを寄せて、私をにらみ下ろしているわけです。


●「わしの言う通りにやるんやったら君はいらんで」


 私は、何事かと思ってびっくりしました。そんな表情を初めて見ましたから。茫然自失して何だろうかと思っていたら、松下幸之助さんが一言、私の顔をにらみながら「君な、わしの言う通りにやるんやったら君はいらんで」と、こう言ったのです。

 それにはび...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
「進化」への誤解…本当は何か?(2)「進化論」対「創造論」
「進化論」対「創造論」…アリストテレスの目的論とは?
長谷川眞理子
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑